2015年10月4日日曜日

日本にとって、今やこれは「対岸の火事」ではない


<「米軍のアフガン病院誤爆」>
米軍が、アフガンの病院を誤爆した。
今は、遠く離れた国での出来事であるかもしれないが、決して、「よそ事である」と軽視するわけには、いかない。
今やこの「事件」は、日本にとっても対岸の火事と、傍観出来る状況ではなくなった。


これでますます、アフガン人による米国への憎悪の感情は増幅されることになった。それは、反米感情に発展することになる。

この誤爆による、死者は19人になった。調査が進めば、もっと被害者は増えることであろう。それにつれて、国連への「憎悪の感情」も、増幅されることになる。

つまり、今や、PKOは決して安全な活動ではなくなった。


◆ 『CNN』の記事より

10月4日付でCNNは、「アフガン病院誤爆 死者19人に、オバマ氏が徹底調査を約束」というタイトルの記事を載せた。
アフガニスタン北部クンドゥズで国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」の病院が空爆を受けた問題で、MSFは同日、死者は少なくとも19人、負傷者は37人に上ったと発表した。
オバマ米大統領はホワイトハウスを通じた声明で弔意を表明したほか、今回の件について徹底的な調査を実施すると約束した。
MSFによると、空爆で病院の一部が炎上、破壊された。死者のうち12人がスタッフ、7人が患者で、この中には3人の子ともが含まれている。死傷者は全員アフガニスタン人だという。
MSFは空爆を「国際人権法への重大な違反」と非難。依然として多数の患者、スタッフが安否不明になっていて、犠牲者の数はさらに増える恐れがあると述べた。


                (MSFへの誤爆)


   
            (2008年の「誤爆」を報じた動画)

◆ 誤爆は、米国人への憎悪に「拍車」をかける

アフガニスタン北部クンドゥズが、「タリバン」に制圧されたのは、9月28日のことである。その後「タリバン」は、病院や警察本部などを占拠していた。

このタリバンの動きに対して、29日には、アメリカ軍は空爆を行っていた。その中においての「出来事」である。

MSFは、各勢力に病院の正確な位置を知らせていた。病院が攻撃を受けた時点で米軍とアフガン軍に通報した。それでも、空爆は中止されることがなく、その後も30分以上続いた。(同上)

これまでもこうした「誤爆」は、度々、起こっている。それにもかかわらず米軍がこうした空爆をやめる気配は、一向に観られない。

こうした誤爆による被害や、被害者が出るたびに、米国のアフガニスタンでの立場は悪化する一方であると思うのだが、米国の当局は、「なんとも思っていない」ようだ。

こういう「事件」が、米軍への、米国への、米国人への憎悪に「拍車」をかけることになるのに、気が付かないのであろうか。

米国の政府がいかにこの空爆の正当性を主張しようとも、「誤爆」により家族や子供を殺された人々の怒りは、永遠に消えることはないであろう。

「9・11」については、多発テロ当時、アルカーイダによる犯行声明などは行われていない。それにもかかわらず、「アルカーイダ」を犯人と推定したのは、アメリカ当局によるものである、とされる。

しかも、アメリカによる推定は、「明確な根拠」を欠いたもの。「アルカーイダ」による「明確な関与」は、判明していないのである。

そうである以上、米国による「空爆」には、正当性がない。そのような中においての空爆による犠牲者が後を絶たない。

これでは、アフガニスタンの人々の心には、「根深い」憎悪の念が巣食う事になることだろう。


◆ 「テロ」の危険性が、強まる

これらのことを、安保法案に結びつけて考えることは、「飛躍しすぎである」という批判を受けることになるかもしれない。だが、私は、それはけっして、大げさなことであるとは、思わない。

アフガンの病院誤爆事件は、今の日本にとっても、対岸の火事と傍観出来る状況ではなくなった。安倍政権による安保法案の「強行採決」が、それを現実のものに近づけてしまった。

現に、安倍政権は、早くも南スーダンへのPKOについて、「駆け付け警護」の検討に入ったと、報道されている。

また、安倍首相は、国連の演説において、「難民支援」を世界に向けて宣言をした。いずれ、日本にも「お金だけ出すのではなく、難民を受け入れろ」という声が、世界に渦巻くことになるであろう。

そうなれば、その中に、「タリバン」などの「戦士」や「同調者」が紛れ込んで、日本に上陸することもあり得る。「テロ」の危険性が、強まることになるのだ。

そうなれば、日本人も「普段の脅威」の中で暮らすことになる。いつも「ビクビク」としながら暮らすことになるのである。


安倍首相は、安保法案が日本を危険から守ることになると、盛んに宣伝しているが、多くの国民はそんな「たわ言」を、決して信じてはいない。

だからこそ、安保法案に反対した時の「エネルギー」を、安倍政権打倒へと転換させようとしている。

最後のもう一つ、重要なことを付け加えておきたい。

それは、「この「誤爆」により国連が、アフガンの人々の「敵に回すこと」になった、と事実のことだ。

すなわち、日本が「いくら当事国のために良かれ」と思っていても、もはや国連と行動を共にすること自体が、危険をはらんだものになる、ということである。


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(2015年10月4日)