<web上「読書会」 正村(14)」>を投稿します。
原点を忘れた自民党は、今こそ、これを思い出して「再生」をはかるべきである
そうでないと、再び、国民から見放されることになるだろう。
いよいよ、「保守合同=自由民主党の誕生」の中身を見ていきます。
ここに、こんにちの自民党の「源点」がある。
自民党は、何を目指していたのか。結党の目的は、どこにあったのか。
それらについて、観ていく。
◆ 「保守合同」=自由民主党の誕生
≪鳩山内閣は、総選挙で保守勢力による国会議席三分の二の確保に成功せず、外交も難航した。少数与党内閣であるため法案や予算の審議も思うに任せず、憲法調査法案や国防会議設置法案などは社会党の強い抵抗にあって審議満了になった。
そのうえ、社会党合同の動きも進行した。鳩山のもっとも重要な協力者である三木武吉は、鳩山内閣の延命のためにも保守合同は不可欠と考えるようになった。
1955年4月の統一地方選挙のさなか、三木は「保守結集の期は熟している。必要なら鳩山内閣は総辞職をし、次期首班は改めて選出しても良い」と語り、自由党総裁緒方は「保守結集に原則として異存はない」と応じた。
5月以後、民主・自由両党の幹事長(岸信介、石井光次郎)と総務会長(三木武吉、大野伴睦)の四者会議が繰り返された。7月6日には両党共同の政策委員会が発足した。
11月15日、自由民主党結党大会が開催された。事前の話し合いで総裁選出方法が決まらず、とりあえず総務代行に鳩山、緒方、三木、大野の4人を選出した。首相は鳩山、党務は主として緒方という内部了解は成立していた。幹事長岸、総務会長石井、政務会長水田三喜雄が選ばれた。
『立党宣言』は「議会政治の大道を歩み、暴力と破壊、革命と独裁を政治手段とするすべての勢力または思想を排撃し、個人の自由と人格の尊厳を社会秩序の基本的条件となす」と述べ、『党の使命』は「自由、人権、民主主義、議会政治の擁護を根本の理念とし、独裁を企画する共産主義勢力、階級社会勢力と徹底的に戦う」と主張した。
『綱領』には、以下の政策が掲げられた。
(1) 民主主義の理念を基調として諸般の制度・機構を刷新改善し、文化的民主国家の完成を記すること。
(2) 平和と自由を希求する人類普遍の正義の立脚して、国際関係を是正し、調整し、自由独立の完成を期すこと。
(3) 公共の福祉を規範とし、個人の創意と企業の自由を基底とする経済の総合計画を策定実施し、民生の安定と福祉国家の完成を期すること。
『党の性格』では、国民政党、平和主義政党、真の民主主義政党、議会主義政党、進歩的政党、福祉国家に実現をはかる政党という性格づけにもとづき、「総合計画による生産の増強」「社会保障政策の実施と完全雇用、福祉国家の実現」などの目標が掲げられた。
『党の綱領』は、主要分野の政策を簡潔に要約したものだが、外交政策や独立達成の問題について以下の文章が書かれている。
「外交の基調を自由民主主義諸国との協力提携に置いて国際連合への加入を促進するとともに、未締約国との国交回復、特にアジア諸国との善隣友好と賠償問題の早期解決をはかる。
固有領土の返還及び抑留者の釈放を要求し、また海外移住の自由、公海漁業の自由、原水爆禁止を世界に訴える。」(平和外交の積極的展開)
「平和主義、民主主義及び基本的人権尊重の原則を堅持しつつ、現行憲法の自主改正をはかり、また占領諸法制を再検討し、国情に即してこれが改廃を行う。世界の平和と国家の独立及び国民の自由を保障するため、集団安全保障体制の下、国力と国情に相応した自衛軍備を整え、駐留外交軍隊の撤退に備える。」(独立体制の整備)
これら一連の文書には保守政治勢力結集の「大義名分」が示されている。それは、自由民主党が代表したいと考えた保守的支持層の多数の要求の集約であり、日本民主党結成以来の新しい保守主流の基本路線の再確認であった。
外交面では、自主独立を志向するナショナリズムが強く示された。アメリカとの集団安全体制を維持しながら、将来における駐留アメリカ軍の撤退を期するという姿勢も明示された。≫
◆ 今の自民党は、結党時代の「理想」を忘れている
「原点」と書くのが正しいのかもしれない。
だが、あえて、「源点」とした。
まさしく、ここが、こんにちの自民党の「出発点」であるからだ。
ここに、今日の自民党が取り組むべき課題が、示されている、と思うからである。
自民党や、安倍首相は、今一度、この原点に還って、よく自らの「言動」を点検し直すべきだろう。
何のための「保守合同」であったのか。今一度、振り返るべきであろう。
私には、今の自民党は「”混迷の極み”のただ中に或る」ように思える。
人が、迷い道に踏み込んだ時は、元の来た道に戻るのが、最良の選択である。
それは、政党であっても、同じことだ。
今の自民党は、結党時代の「理想を忘れ」、まったく、「真逆な方向」へと歩みだしている。
今こそ、立ち止まって、来た道を真剣に振り返り、行く道をしっかりと、見据えるべき時であろう。
※ 明日は、共産党について、観ていきます。
(2015年1月15日)
原点を忘れた自民党は、今こそ、これを思い出して「再生」をはかるべきである
そうでないと、再び、国民から見放されることになるだろう。
いよいよ、「保守合同=自由民主党の誕生」の中身を見ていきます。
ここに、こんにちの自民党の「源点」がある。
自民党は、何を目指していたのか。結党の目的は、どこにあったのか。
それらについて、観ていく。
◆ 「保守合同」=自由民主党の誕生
≪鳩山内閣は、総選挙で保守勢力による国会議席三分の二の確保に成功せず、外交も難航した。少数与党内閣であるため法案や予算の審議も思うに任せず、憲法調査法案や国防会議設置法案などは社会党の強い抵抗にあって審議満了になった。
そのうえ、社会党合同の動きも進行した。鳩山のもっとも重要な協力者である三木武吉は、鳩山内閣の延命のためにも保守合同は不可欠と考えるようになった。
1955年4月の統一地方選挙のさなか、三木は「保守結集の期は熟している。必要なら鳩山内閣は総辞職をし、次期首班は改めて選出しても良い」と語り、自由党総裁緒方は「保守結集に原則として異存はない」と応じた。
5月以後、民主・自由両党の幹事長(岸信介、石井光次郎)と総務会長(三木武吉、大野伴睦)の四者会議が繰り返された。7月6日には両党共同の政策委員会が発足した。
11月15日、自由民主党結党大会が開催された。事前の話し合いで総裁選出方法が決まらず、とりあえず総務代行に鳩山、緒方、三木、大野の4人を選出した。首相は鳩山、党務は主として緒方という内部了解は成立していた。幹事長岸、総務会長石井、政務会長水田三喜雄が選ばれた。
『立党宣言』は「議会政治の大道を歩み、暴力と破壊、革命と独裁を政治手段とするすべての勢力または思想を排撃し、個人の自由と人格の尊厳を社会秩序の基本的条件となす」と述べ、『党の使命』は「自由、人権、民主主義、議会政治の擁護を根本の理念とし、独裁を企画する共産主義勢力、階級社会勢力と徹底的に戦う」と主張した。
『綱領』には、以下の政策が掲げられた。
(1) 民主主義の理念を基調として諸般の制度・機構を刷新改善し、文化的民主国家の完成を記すること。
(2) 平和と自由を希求する人類普遍の正義の立脚して、国際関係を是正し、調整し、自由独立の完成を期すこと。
(3) 公共の福祉を規範とし、個人の創意と企業の自由を基底とする経済の総合計画を策定実施し、民生の安定と福祉国家の完成を期すること。
『党の性格』では、国民政党、平和主義政党、真の民主主義政党、議会主義政党、進歩的政党、福祉国家に実現をはかる政党という性格づけにもとづき、「総合計画による生産の増強」「社会保障政策の実施と完全雇用、福祉国家の実現」などの目標が掲げられた。
『党の綱領』は、主要分野の政策を簡潔に要約したものだが、外交政策や独立達成の問題について以下の文章が書かれている。
「外交の基調を自由民主主義諸国との協力提携に置いて国際連合への加入を促進するとともに、未締約国との国交回復、特にアジア諸国との善隣友好と賠償問題の早期解決をはかる。
固有領土の返還及び抑留者の釈放を要求し、また海外移住の自由、公海漁業の自由、原水爆禁止を世界に訴える。」(平和外交の積極的展開)
「平和主義、民主主義及び基本的人権尊重の原則を堅持しつつ、現行憲法の自主改正をはかり、また占領諸法制を再検討し、国情に即してこれが改廃を行う。世界の平和と国家の独立及び国民の自由を保障するため、集団安全保障体制の下、国力と国情に相応した自衛軍備を整え、駐留外交軍隊の撤退に備える。」(独立体制の整備)
これら一連の文書には保守政治勢力結集の「大義名分」が示されている。それは、自由民主党が代表したいと考えた保守的支持層の多数の要求の集約であり、日本民主党結成以来の新しい保守主流の基本路線の再確認であった。
外交面では、自主独立を志向するナショナリズムが強く示された。アメリカとの集団安全体制を維持しながら、将来における駐留アメリカ軍の撤退を期するという姿勢も明示された。≫
◆ 今の自民党は、結党時代の「理想」を忘れている
「原点」と書くのが正しいのかもしれない。
だが、あえて、「源点」とした。
まさしく、ここが、こんにちの自民党の「出発点」であるからだ。
ここに、今日の自民党が取り組むべき課題が、示されている、と思うからである。
自民党や、安倍首相は、今一度、この原点に還って、よく自らの「言動」を点検し直すべきだろう。
何のための「保守合同」であったのか。今一度、振り返るべきであろう。
私には、今の自民党は「”混迷の極み”のただ中に或る」ように思える。
人が、迷い道に踏み込んだ時は、元の来た道に戻るのが、最良の選択である。
それは、政党であっても、同じことだ。
今の自民党は、結党時代の「理想を忘れ」、まったく、「真逆な方向」へと歩みだしている。
今こそ、立ち止まって、来た道を真剣に振り返り、行く道をしっかりと、見据えるべき時であろう。
※ 明日は、共産党について、観ていきます。
(2015年1月15日)
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