2015年10月29日木曜日

条約を結ぶ必要がある、「日本との平和条約なしに70年」


条約を「結ぶ」必要はある。”70年なしで済んだ”からといって、これからも「平和状態が続く」とは、限らないからである。「日露平和条約」のことである。
スプートニクの記事が言うように、「プーチン大統領と安倍首相との会談が実現すれば、4島が返還されると考えている人々は、日本の中の一部の国民にはいる。
だが、「ポツダム宣言」を詳らかに読んでおれば、それは主張できることではない。

Гポツダム宣言」は、諸島は、「我々が決める」と宣言しているからである。



もっとも、安倍首相でさえ、「ポツダム宣言」を「詳らかに読んでいない」と言うほどであるから、どれだけの国民が読んでいるのか、分からないが。


 モスクワで調印されたソ日共同宣言は、「平和条約」締結が前提=「スプートニク」
1956年10月19日にモスクワで調印されたソ日共同宣言では両国は「正常な外交関係が回復したあと、平和条約締結交渉の継続を行うことに合意した」とある。ところがこれは、日本の反論者やそれを支持するコメンテーターがなんとか確証づけようと躍起になっているように、領土の確定に関する交渉の継続、ではない。
ソ日共同宣言の第9条は「ソヴィエト社会主義共和国連邦は,日本国の要請にこたえかつ日本国の利益を考慮して,歯舞諸島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし,これらの諸島は,日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする」とある。≫

 「ポツダム宣言」こそが、出発点

これは、間違いがない。正村公宏著『戦後史』でも、詳しく記述されている。(このブログの読者であれば、御存じのとおりである。)

あくまでも、「日ソ間」で、平和条約が結ばれることを前提にした「約束」である。
また、それを裏付けるのが、「ポツダム宣言」である。

「ポツダム宣言」の8項は、「カイロ宣言の条項は履行さるべきものとし、日本の主権は本州、北海道、九州、四国及びわれわれの決定する周辺小諸島に限定するものとする」と述べる。

「われわれの決定する周辺小諸島に限定する」と、ハッキリと述べている。これには、疑問の余地がない。

もちろん、「われわれ」とは、「連合軍」のことである。その中には、当然、ソ連(=現ロシア)も入っている。

我々は、この「ポツダム宣言」を受け入れることで、「戦争を終わり」にした。ここが崩れれば、全てが崩れてしまう。話が、「ぐちゃ、ぐちゃ」になる。


 「歯舞、色丹は平和条約締結後に日本に渡すことはできる」

以下は、1956年10月16日に、フルシチョフが、日本側の全権代表を務めていた河野一郎農林大臣に対し、語った内容である。


日本側は歯舞と色丹を平和条約を締結せずに受け取り、そのあと、我々も知らない、実際は存在していない別の何らかの領土問題を解決したいと望んでいる。ソ連政府は一刻も早い日本との合意を望んでおり、領土問題を取引には利用していない
 だが私は再度、完全に明確に断固として言っておかねばならない。それは、歯舞、色丹以外は、我々は日本側からの領土問題に対するクレームを一切受け付けず、これに関するいかなる提案も話し合うことは拒否するということだ。
 我々はそれを越えた先の何らかの譲歩はできず、行わない。歯舞、色丹は平和条約締結後に日本に渡すことはできるだろうが、示された諸島を渡すことで、領土問題は全て完全に解決済みとせねばならない。」(同上)[読みやすいように、間を開けてある。原文はそうなっていない]
確かに、フルシチョフが語ったことは、「正しい」かも知れない。


 国家間のおいても、「誠実さと正直さ」が、必要だ

だが、一点だけ、疑問が残る。「日ソ中立条約」のことである。この条約は、1941年4月13日に結ばれた。

その有効期間は、5年間である。そして、この条約には、「当該期間内の破棄その他条約の失効に関する規定は存在しない」のである。

ソ連が破棄を通告した1945年4月5日の時点で、まだ残り1年間の有効期間が、ある。それを「無視」して、ソ連は、日本国に戦争を仕掛けてきた。

このことをいかに「説明」する」のか。どう「正当化する」のか、そのことへの疑問が残る。

「ポツダム宣言」に従う限りにおいて、ソ連の「主張には、正当性」がある。だが、「日ソ中立条約」を破ったことには、ソ連の「正当性」がない。

 そのことに、我々は、いつまでも「こだわる」つもりはないが、そこは「魚心あれば、水心」ということになるだろう。

もちろん、安倍首相の態度が「誠実性」に欠けることも、また、事実である。

今、日本の大半の国民は、安倍首相に「期待」していない。はやく「辞めてほしい」と思っている。

そして、「誠実さと正直さ」をもった「指導者」を選びたいと思っている。
その上で、プーチン大統領と「腹を割って」話をして欲しいと思っている。

それには、その首相が、まず、プーチン大統領に会いにロシアまで行くことが重要であると考えている。

(2015年10月29日)