2015年10月22日木曜日

フクイチ「作業現場で白血病。男性に初の労災認定が降りた 」

いかにも、その対応が遅い。行政の怠慢である。そういわざるを得ない。認定を「わざと遅らせた」と、受け取られても、仕方があるまい。
東電、フクシマ原発の、事故後作業で白血病を発症した男性の労災認定が、認められた。

厚労省が、因果関係の否定できないとした結果のことである。


 「日本経済新聞」の記事から

厚生労働省は20日、東京電力福島第1原子力発電所事故後の作業に従事し、白血病を発症した40代男性について「被曝(ひばく)と疾病の因果関係が否定できない」として労災認定したと発表した。同原発の事故後の作業を巡って、白血病を含むがんで労災認定が認められたのは初めて。

 厚労省や東電などによると、労災が認められたのは40代前半の元作業員。2011年11月~13年12月の間に1年半、複数の原発で放射線業務に従事し、うち12年10月~13年12月は福島第1原発で原子炉建屋のカバーや廃棄物焼却設備の設置工事に当たっていた。作業時には防護服を着用していたという。≫


 労災の申請は、14年の3月

1976年の厚生省の放射線被曝による白血病の労災認定基準は、年間5ミリシーベルト以上、となっている。

この男性は、2014年3月に、労災の申請をした。
厚生省が、検討会を開いたのが、この13日のことである。

あまりに遅すぎる対応である。
「怠慢」のそしりを受けることを、免れることはできまい。

ところで、原発で重大な事故が起きた際に緊急作業に当たる作業員の被曝線量の上限は100ミリシーベルトとされている。

そうであるのに、安倍政権は、作業員が働ける期間を長くするため、その基準値を大幅に引き上げ、来年4月以降は250ミリシーベルトに引き上げられる。

記事は、「被曝線量が累積100ミリシーベルトを超えると発がんリスクがわずかに上昇する」とされるが、「100ミリシーベルト以下の低線量被曝が健康に与える影響はよく分かっていない」と書く。

これでは、「低線量被曝が健康に与える影響はよく分かっていない」から、よくわかっている「被曝線量の累積量が高い方」が、「発がんリスクはそうかわらない」し「安全」なので、基準を引き上げても、問題がない。

そういっているように聞こえる。
とんでもないことである。


なぜ、「被曝線量が累積100ミリシーベルトを超える」⇒「発がんリスクがわずかに上昇する」といえるのか。

基準値が、250ミリシーベルトに引き上げられれば、当然、被曝線量の累積量が増え、「発がんの可能性が高くなる」と考えるのが、「普通」ではないのか。


男性は、「作業時には防護服を着用していた」と記事は書いているが、この「防護服」なるものは、「気休め」にすぎない、という指摘もある。

そもそも、この記事は、男性の受けた被曝線量の累積量を明示していない。
認定するには、それだけの根拠があるはずだ。

この男性が、どれくらいの間作業に従事し、その結果、どれくらいの被爆をしたのかを明らかにしてこそ、マスコミとしての「責任」を果たしたことになる、と思う。

このことを日本経済新聞がいち早く、他社に先駆けて報道したことは、認めるが、この点の追及が「甘い」ことは「不満」が残る。

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(2015年10月22日)

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