2013年7月17日水曜日

原発再稼働…訴訟、海開き、愛媛の戦挙から

島原発事故の集団訴訟が始まった。


京電力福島第1原発事故で精神的苦痛を受けたとして、福島県内外の約800人が国と東電に原状回復と慰謝料などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が16日、福島地裁(潮見直之裁判長)であり、原告は「放射能へのストレスがない生活を返して」などと陳述した。国と東電は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。(毎日新聞7月17日 東京朝刊)


そして原告側の住民が、
「キャベツの出荷自粛で自殺した父親は原発に殺された。今でも汚染された農地での工作を強いれられている」。
「海が汚染され、漁業が出来なくなり、生きがいを失った」
「キノコや山菜取の生業を奪はれた。キノコを育て、川で魚を取る生活を返して欲しい」
などを、訴えた。

その原発の危険は薄々感じてはいても、安全であるとの国や県、東電などの明言を信じ、地域の「発展」のため、原発を受け入れざるを得なかった。
補助金をたくさんもらいながら、事故が起こったら、国、県、東電に責任を全部おっかぶせるのは、身勝手である。
補助金は、事故がおっこた時の、保障金の前払いではないか、という指摘もできなくはない。

しかしその危険をすべて過疎地の住民に押し付け、自分たちは安全な所でその恩恵を受ける。
その恩恵をうけた者たちが、事故の責任を回避し、「棄却を請求」するのは、虫が良すぎる。
国、県、東電は、事故の責任を認め、それぞれ責任を取るべきである。

日来、福島で高濃度の放射性物質のかたまり見つかったり、福一の事故現場の井戸で高濃度のセシウムが検出されたりしている。
ところがその近くで、

「海の日」の15日、福島県いわき市の四倉(よつくら)海水浴場で3年ぶりの海開きが行われた
(毎日新聞 7月15日)

と、報じられた。
若い女性や子供らが水しぶきを上げ「風評被害の払拭」の期待をこめた。
海水からは放射性物質は検出されず、空間線量は、0,2マイクロシーベルト以下であると報じている。
そして「一人でも多くの人にいわき紙に来てほしい」と話した、とのことだ。


事故で最も大きな影響を受けたであろう子供や若い人を、今度は、安全をアピールするために使う。
海が汚染され、漁業が出来ない。
高濃度の汚染されたら地下水が見つかった。
その実態を公表せず「風評被害」だと詭弁を使う。
そして国民に一人でも多く、被爆してもらいたいと願う。

これが「絆」を深めることになるのか。
「風評被害」を言うのなら、住民が関係者に実態の公表を要求し、正確な情報を国民に伝えることが先決である。
伝え聞くところによると、現地では日常生活のなかで、事故や被曝や放射性物質などことに触れることが、タブ-視されつつあると言われる。

生活の再建を優先したいばかりに、現状に目をつむり、批判を許さない状況になってはいまいか。
そのことが心配である。

議院選挙も終盤にちかずいてきた。
原発再稼働の安全審査が始まろうとしている。
そのうちの一つ愛媛の報道である。

再稼働の近い原発を抱えるのに、エネルギー政策を巡る論戦が深まらない。愛媛県伊方町に四国電力伊方原発3号機がある愛媛選挙区(改選数1)。自民新人の井原巧氏は15日、愛媛県今治市の島しょ部や郊外などで街頭遊説に臨んだ。同市波方町でマイクを握り、「不退転の決意で、安倍政権の経済政策『アベノミクス』をやっている」と説明。しかし、8分間の演説で伊方原発の再稼働に触れることはなかった。(毎日新聞 7月16日)

自民党は「不用意な発言を避けるよう指示」。
また安部首相は規制委の「安全審査に合格すれば、地元の理解を得て再稼働」し「低廉なエネルギーを供給する責任がある」と主張、これに沿った発言をするよう要求している、と伝えている。

参議院選で、再稼働の論議が白熱し、再稼働を困難にすることを恐れてのことか。

他方でみんなの代表の候補者は、党の方針が新基準での再稼働に反対の方針にもかかわらず、
伊方町では、そのことを明言しなかったと伝えている。
二枚舌を使った。

地域の実情を勘案したと言うことであろうが、争点をぼかそうとする自民党とあまり変わらない。
このような発言を見ると、やはり、参議院は、政党と関係のない議員で構成されるのが良いと思う。