2019年7月15日月曜日

「箱根山、駕籠に乗る人かつぐ人」 言葉と心の相関関係

人間というものは、勝手なもので、都合がいいときには穏かに話していても、少し何かあると、とたんに不機嫌になったり、普段は使わないような乱暴な言葉を使ったりする。


それというのも、われわれが、言葉というものが持つ本当の意味(存在理由)を知らないからだ。あるいは、認識に欠けるからだ。

われわれが、日々何気なく使っている言葉。この言葉というものは、われわれの心の持ちように大きな影響を与える。かたぐるしい表現をするならば、言葉はわれわれの実在意識(潜在意識)に、大きな影響を与える、のである。

そこで、中村天風は、いかなる時においても、「積極的な言葉」のみを使え、を説く。



≪「箱根山、駕籠に乗る人かつぐ人、してまた、その草鞋をつくる人」。この世の中はもち合いです。ところが、因縁あって知り合いになったという不思議なあいだがらで喧嘩している奴がいるんですね。喧嘩する人間ぐらい下等な奴はないぜ。

・・・

それを考えてみたら、お互いにみんな世の中は助け合い。だから、かりそめにも自分の気持ちのなかに、あの人が憎いとか、あの人が気に入らないとか思っている人がいたら、その人は悪魔ですぜ。

人間の世界に憎む相手はないはずなんです。すべてはみんな自分と同じに考えなければだめなんですよ。もしも自分を人が憎んだらどうなるか考えてごらん。「ああ憎まれてありがてえ、どんどん憎んでください」って頼んで歩くか。

だから、どんな場合があっても、全てが自分と同じ人間だと思って、生きている命に対して尊敬をはらって、たとえむこうがどう出てこようと、こっちはあくまでも菩薩観音の気持ちで人生を生きなければ嘘よ。自分の気持ちのなかをすさびたものにしてはいけない。

自分の気持ちというものは、自分の命を守ってくれる心のなかから出ているということを考えてみたら、その心を大事にしなければ。この世の中に自分を守ってくれる人間に足蹴をしたり唾をひっかけるものはいないだろう。心が自分の命を守っているんだ。尊いものなんだ。

だから、常にできるだけにこやかな人生に生きて、何ごとに対しても感謝を先にして、そして喜びの人生に生きなさい。そうすると、この世の中、変わっちまうんですよ。何という、ほんとうに明るいうれしい、光明の輝く世のなかだろうというふうに。

宗教も何も信じる必要ないんだもの。人生は心ひとつの置きどころ。≫(中村天風『成功の実現』 日本経営合理化協会出版局 140頁~143頁、より)。



「まいった」「弱った」「どうにもならない」「困った」など、われわれが使う、消極的な心の状態をあらわす言葉には、事欠かない。

こういう言葉を発した時、同時にわれわれは、自分の潜在意識に語りかけてもいる。そうなれば、われわれの潜在意識に中は、消極的な言葉で満たされることになる。

それは、直ちにわれわれの行動に悪影響を与える。結果、人生はみじめなものとなり果てことになろう。

そうではなくて、どんな状況においても、積極手な言葉を使うようにすれば、それが潜在意識に直ちに良い影響をもたらす、ようになる。そうなれば、「治らない、と言われた病が治る」というような、奇跡が起こるかも知れない。

いや、そういった「奇跡」を起こす為にも、常に積極的な言葉を使うように、心掛けたいものである。

(2019年7月15日)


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