安倍首相は、さぞ、「うらやましい」ことであろう。
韓国の朴槿恵大統領が、中学・高校の韓国史教科書で現行の検定制をやめ、「国定教科書」に一本化するという決定をした。
首相の腹の中では、「これが出来たら、どんなに好いことだろう」という感情があるのではないか。
この決定に対し、野党側からだけでなく、政府内からも、批判の声が上がっているようだ。
◆ 「連合ニュース」の記事より
≪韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は13日、中学・高校の韓国史教科書で現行の検定制をやめ、「国定教科書」に一本化するとした政府の方針に野党が強く反発していることについて、「歴史教育の争いや理念対立により国民や生徒を引き裂いてはならない」と強調した。青瓦台(大統領府)首席秘書官会議で述べた。
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朴大統領は「正しい歴史教育を通じ子どもたちに正しい認識と国民としての誇りを持たせることが重要だ」と強調。また、「北東アジアと周辺の情勢が急速に変化する中、確固たる歴史観と誇りを植えつける努力をしなければ、文化的、歴史的に他国の支配を受けかねない」と述べた。≫
◆ 「歴史観」を、政府が自国の国民に押し付ける野は、間違い
これは、大統領自身が、韓国が「民主国家ではない」ということを、世界に向かって宣言した、にひとしい。
「国定教科書にすること=正しい歴史教育」と、何故、言えるのか。
あまりにも、単純な発想である。
自国の歴史を誇ることはいいだろう。
国民の歴史を称賛する気持ちを、持たせたいのも、よく解る。
政治を司るものとしては、それほど楽なことはないであろう。
だが、「歴史に対する観方」つまり「歴史観」を、政府が自国の国民に押し付けるようなことは、断じてあってはならない。
政治権力が、国民の心の中にまで踏み込まない、というのが、民主主義のルールである。
それは、韓国であろうと、日本であろうと、変わりはない。
ましてや、両国とも、世界に向かって民主国家であると、公言し、法治国家であると、宣言をしてきている。「教科書を国定化」などすれば、それを否定することになる。
教科書の国定化は、当然に、国家による教育統制につながる。
それは、韓国自身が、痛いほどよく解っていることだ。
日本の「植民地化」の歴史を非難しながら、今度は、それと同じことをしようとするのは、自己矛盾ではないか。
野党や、政権内部からの批判さえ聞かれるという、報道もある。
当然の反応だ。
こんなことを黙って見過ごせば、「それを認めた」ことになる。
自国が、民主国家ではない、と了解したことになる。
もちろん、これは、隣の国の出来事であり、我々が「目くじらを立てる」必要のないことかも知れない。
だが、隣国が教育の国家統制を強め、国民に「正しい歴史」を押し付けるような国家になろうとしていることを見過ごしには、出来ない。
それは、我々日本人の、過去の歴史の反省を「無にするもの」である、と思うからだ。
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・韓国、歴史教科書の「国定化」復活を決定…=ハヒ・ポス
(2015年10月13日)
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