2015年10月11日日曜日

保守合同が急がれたのは「左翼勢力の政治的台頭にあった」

<web上「読書会」 正村(10)>の投稿です。今回は、保守合同の背景の第三の要因についてです。なかなか、実際の合同場面にまで行き着きませんが、合同そのものよ
り、合同が必要であった理由の方が、より重要であると、思います。

それは、合同後に出来た政党の「性格」を規定するものになると思うからです。

いわば、「出生の秘密」にあたると思うからです。


◆ 左翼勢力の政治的台頭

そこで、保守合同の背景の第三として、左翼勢力の政治的漸増をあげなければいけない。

1950年代のなかばには共産党・産別会議や総評高野指導部などに示された革命主義は退潮に向かっていたし、国会では保守はなお圧倒的優位を維持していた。しかし、社会党の得票率や議席は漸増しており、とくに総評の支持する左社の進出が顕著であった。

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衆参両院における社会党系の進出は保守勢力にとって脅威であった。しかも、左右社会党は1954年春ごろから再合同の気配を強めていた。保守勢力が分裂・抗争を繰り返す余裕はなくなりつつあると感じられていた。

保守政党内部の自由主義的・中道的潮流が独自の中間政党を形成し、社会党提携して保守の統治にとって代わるというような中道・革新の連立が生まれる可能性も、当面は存在しなかった。

保守政党内部の自由主義的・中道的潮流は弱小すぎたし、社会党と自由主義的・中道的勢力のあいだの距離も遠すぎた。マルクス主義の影響の強い左派社会党と保守政党内部の自由主義的・中道的派との距離はあまりにも大きかった。

こうした政治的状況により、敗戦直後の混迷期を経過したのちに、さしあたり戦前型の保守二大政党時代から戦後型の保守・革新二大勢力の対峙の時代への移行が起こった。

保守勢力の指導的政治家や財界の指導層にとって、とくに左派社会党の進出は不気味に感じられた。左社は、当面、共産党とは一線を画する方針を取っていたが、内部ではマルクス主義派が有力であった。

左社を支持した総評も現実的な労働組合主義への転換の兆候が見えていたとはいえ、依然として階級闘争理論による労使対決を求める景況が強かった。

保守勢力には、こうした左社勢力による政権掌握の危険を排除するため、保守の長期安定政権を確立しなければならないと考える人びとが多かった。

鳩山を擁して吉田と執拗にたたかい、吉田退陣後は保守合同の強力な推進者となった三木武吉は、「日本の全動脈を停止させようととした2・1ストの停止も、直接的にはマッカーサーの指示にもとづくものであったが、実際には、ほとんど全国民の反感によるものと見るのが正しかろう。その反感こそ、日本を守ろうとする保守の思想から生まれたものである」と述べている。

三木武吉はこうした保守的な国民を政治的に代表する勢力の結集を志向した。三木は、保守は左翼の浸透を阻止する力をもった抗生物質またはウイルスの役割を演じなければならないとも語っている。

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現実の政界再編には、保守と革新のあいだの相互作用が働き、それぞれの相手の動きに対抗する必要から合同を急いだ。左右両派社会党は、吉田内閣打倒という当面の目標にために総選挙の実施を条件に鳩山内閣の成立に協力したものの、その後に現れた予想以上の「鳩山ブーム」に不安を感じ、保守よりも先に急いで再合同を実現する。

社会党のこの動きは保守の側にはねかえり、保守合同を加速する役割を演じた。≫


◆ 現在の政治状況との関連で観てみると、「味わい深いもの」になる

保守合同が急がれたのは、ひとつには「保守勢力の指導的政治家や財界の指導層にとって、とくに左派社会党の進出」が、「不気味に感じられた」からでした。

それは同時に、「左社勢力による政権掌握の危険を排除する」ためにも、必要なことでした。

左右両派社会党は、「予想以上の”鳩山ブーム”に不安を感じ」て、「保守よりも先に急いで再合同を実現」したのでした。

この再合同が、結果的に、保守の合同を加速させた_。

今の日本の政党の状況は、ある意味において、この頃とそう大差がない、ように私には思えます。

「安保法案」をめぐる政党間の駆け引きは、これから後、いかなる方向にすすんでいくのかは、今の時点では、まだ「未知数」です。

ですが、いずれにしても、「安保法案」の採決で賛成に回った少数野党の会派は、自民党に吸収されるか、解散へと追い込まれることになる、ような気がしています。

また、これらの少数野党の存在は、公明党にとっても、「軽く扱う」ことが出来ない事態でしょう。

「維新の党」を含めた、これらの少数野党が連合し、ひとつの政党になり公明党と対抗する勢力になれば、自民党にとって、公明党と連合を組む必要がなくなります。

あくまでも、自民党との連立に固執する公明党にとって、それは驚異でしょう。

だから、「安保法案」を成立させるためには、自分の党の支持者に対してさえ、「過酷なほど」の「仕打ち」に出たのだと思います。(署名の受け取り拒否、三条件を飲ませたうえでの受け取りなど。)

正村氏が描き出す「世界」は、私にとっては、「無味乾燥」に思える「政治劇」ですが、現在の政治状況との関連で観てみると、味わい深いものに見えて来ます。


 明日は、「鳩山ブーム」と、社会党について、観ていきます。

(2015年10月11日)

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