「女性蔑視も、甚だしい」発言である。
いつもは、他の閣僚や自民党の議員の「失言」や「暴言」の火消しに走るばかりであった。その菅長官が、今回は自身の「失言」の火消しに躍起となっている。
ある俳優のことで、「子供を産みたいとか、そういう形で国家に貢献してくれたらいい」と、発言したのだ。
懸案の安保法案が国会を通過したことで、気が緩んだのか。それにしても、あまりに「不用意」な発言である。
こういう発言が出るということは、「私的なもの」と「公的なもの」との区別が出来ていないという証拠である。恐ろしいことだ。
◆ 「そういう形で国家に貢献してくれたらいいな」
『朝日』は、これをさっそく取り上げた。
≪菅義偉官房長官は29日、フジテレビの情報番組で、歌手で俳優の福山雅治さんと俳優の吹石一恵さんの結婚について「この結婚を機に、ママさんたちが一緒に子供を産みたいとか、そういう形で国家に貢献してくれたらいいなと思っています。たくさん産んで下さい」と発言した。
菅氏は、番組後にあった同日の記者会見で発言の真意を問われ、「結婚について聞かれたので、大変人気の高いビッグカップルで、皆さんが幸せな気分になってくれればいいと思っている中での発言だった」と説明した。
「”産めよ増やせよ”との政策を連想する人もいる。」との質問に対しては、「全く当たらない」と反論した、ようだ。
そして、「安倍晋三首相も、不妊治療を受ける方を応援する趣旨の発言をされている」と、まったく関係のない「言い訳」をした。(「朝日新聞」=星野典久)
◆ 政権内や、自民党の面々は、どうしてこうも「口が軽い」のか。
おまけに、後がいけない。ここは、素直に「多くの方の心を傷つけるような、心ない発言だった。本当に申し訳ない」といっておけばいいものを、言い訳に始終した。
後始末としては、最悪のパターンを選択した、といえる。
それにしても、どうしてこうも、政権内や、自民党の面々は、「口が軽い」のか。
これまでにどれだけの閣僚や、国会議員が、「失言」や「暴言」をおこない、国民の「ひんしゅく」をかったことか。そのたびに、菅長官が火消しに躍起となってきたことか。
それでも、一向に収まる気配がない。これは、ひとえに安倍首相の姿勢にある、と思う。安倍首相の「政権の痛手になること」は、「目をつむる」という姿勢にある。
安倍首相が、毅然とした対応を取らないことに原因がある。だから、「どんな発言をしようと許される」のだと勘違いをするのだろう。
それとも、「頭(かしら)」が言いたい放題であるなら、我々も許される、と思うのか。
◆ 安倍政権の「”本性”を垣間見せた」
しかし、まったく、女性蔑視も、はなはだしい発言である。また、子供が欲しくても、いろいろな事情で、「生むことが出来ない」夫婦も多い。これらのカップルからすれば、「許せない発言」だろう。
まったく、「私的なもの」である結婚を、である国家(「公的なもの」) への貢献と結びつけるなど、時代錯誤も甚だしい。マスコミは、もっと、強く批判すべきである。
国民が、戦前の「産めよ増やせよ」という掛け声を連想するのは、当然の反応である。それを、「全く当たらない」とは、よく言えたものだ。
この政権は、安倍首相をはじめとして、磯崎補佐官など、「自分たちへの批判」に対して、まったく聞く耳をもとないという態度は、一貫しているようだ。
安倍首相は、事あるごとに、世界に向けて、「女性を大切にする」、「女性が確約する場を造る」と大見得を切ってきたが、これでは全く世界からは、「空手形を切った」と思われることだろう。
これでは、到底、安倍政権は、「”女性を大切ににする”政権です」と、胸を張れる事など出来はしない。
今回の菅長官の発言は、安倍政権の「”本性”を垣間見せた」、言語道断の発言である。
※ 稲田氏についての記述を削除し、加筆して、再投稿しました。2015/10/3
(2015年10月2日)