2015年10月5日月曜日

安倍政権の本質「おごり、米追従、”上から目線”にある」  金子慶大教授

物申す「学者」の代表者の一人ということが出来るだろう。金子勝慶応大学教授のことである。
経済学者として、今日の日本のおける危機的状況について、積極的に発言をしている大学教授でもある。
安倍政権の本質は「おごり、米追従、上から目線」
にあると、述べる。 


その金子勝教授(慶應義塾大学経済学部)が、安倍政権について、その本質をえぐりだした記事が掲載された。(「日本農業新聞」)


◆ 安倍政権の「傲慢さやおごり」、「反日性」、「上から目線」

安保法制、TPP,金融緩和、「地域医療構想」など、安倍政権が現在集中して取り組んでいる政策を取り上げ、それらの政策の根底にある、安倍首相の、安倍内閣の、「本質」に迫っている。


安保法制の議論を機に、安倍内閣の本質が浮かび上がってきた。国民に対しては「上から目線」、米国には言いなりになるという姿である。
史上最低の投票率だった2014年の総選挙で安倍晋三首相(自民党総裁)は、「景気回復この道しかない」と、アベノミクスという見せ掛けのスローガンを繰り返した。実際にやりたかったのは集団的自衛権を行使する安全保障関連法とすれば、選挙公約は一種の「詐欺」だったことになる。
集団的自衛権の行使について判断していない1959年の砂川判決をもって、72年の政府見解を覆し、集団的自衛権の根拠にしたことは違憲だと追及されても、安倍首相はただ「(合憲だと)確信する」という答弁を繰り返すだけであった「私が決めたのだから間違いない」という上から目線の表れだ。結果として強行採決を繰り返したのも「数を持っているわれわれが正しいのだ」というおごりだ。根底には国民主権に対する軽視または無視がある。≫
そして、金子教授は次のように述べる。「こうした政策には、ひとりひとり主体的に動いている人たちがどういう行動原理で何を求めているかという視点はまったく感じられない」


さらには、それは「人々に決める権利を与えずに上から全体の数字だけ見てつじつまを合わせるように発想をする官僚、それを正当化している安倍政権の国家主権的な考え方」を示すものである。

その結果、「(日本の国民の)生活をどんどん破壊してしまうだろう」という。


◆ 安倍政権が認める学者、認めない学者

金子教授は、短い記事の中で、安倍政権の「傲慢さやおごり」、「反日性」、「上から目線」などについて、我々一人一人にまるで「講義」をするかのように語りかける。

しかも、その語り口は、「易しくて、解り易い」ものだ。

安倍政権は、集団的自衛権の行使容認の閣議決定、国会での安保法案の審議の過程において、多くの学者を「無視」し、彼らの「学問」を否定し、彼らを「敵」に回した。

だが、それにもかかわらず、一部の学者ー安倍政権を支持するーについては、それらの理論を積極的に受け入れた。自分たちに「耳ざわりにいい」理論だけを、認める姿勢を見せた。

「法的安定性は、関係がない」と講演で述べた磯崎補佐官は、かっては「自治大学校」で、教授を務めた経歴をもつ。

元自衛官、外交官の経歴をもつ、森本敏氏も、多くの大学で教鞭をとった。その森本氏は、安倍首相とともにテレビ出演をしている。「話題になった」、例の「火事の模型(巷では、「生肉に見える」と揶揄された)」を使って、安保法案の必要性を説明した「番組」のことである。

さらに、安保法制に賛成する百地章教授(日本大学)は、「21世紀の憲法と日本」有識者懇談会事務局長であり、「日本会議」のメンバーでもある。この「日本会議」には、多くの学者(名誉教授)らが、名前を連ねている。

例を挙げればきりがないので、これぐらいにするが、要するに「安倍政権に都合のいいこと」を言う学者は、「認める」という姿勢だ。


◆ 人々の動きは完全には収束しない

この安倍政権の姿勢は、一時的なものではない。今、安倍政権は、とんでもないことを、「企てている」のである。それは、「大学の解体」、「学問の自由」の否定といっていいほどの、「企て」である。

今年の6月8日には、「国立大学の組織の見直しが盛り込まれており、特に文学部などの人文科学系学部・大学院、法学部や経済学部などの社会科学系学部・大学院、ならびに、教育学部などの教員養成系学部・大学院について「組織見直し計画を策定し、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努める」と明記された、決定が出された。

安保法案の審議で、日本中が、「大騒ぎをしている」最中のことである。ここにも、安倍政権の姑息さが出ている。


金子教授が「(日本の国民の)生活をどんどん破壊してしまうだろう」と述べる根拠は、ここにもある。私は、そう思う。

この点においても、金子教授は非常な危機感を持っておられる、と思う。


だが、安保法案は、多くの国民を「鍛えあげた」。教授は、そのエネルギーが決して、一過性に終わることはないだろう、と言われる。

「盛り上がった人々の動きは完全には収束しない。火種のように残り、何かの拍子でまた火がつくだろう」と結論し、これからの日本の国民への期待感を表明されている。

(2015年10月5日)