2014年8月21日木曜日

LS:取り調べの全過程の録音・録画試行は、対象事件3315件のわずか0・9%。

欧米から、批判が出るのは、無理のない事である。


1) SIKOKU NEWS(四国新聞社)が報じた記事より__

全国の警察の内、「5道府県警が2014年度から全過程の録音・録画(可視化)の試行」を始めたと、と伝えられた。

現状は、裁判員裁判となる事件が、その__可視化__対象である。
そして、その中において、全ての過程で可視化したのは2013年度は、29件。対象事件3315件のわずか0・9%であったという。



『 裁判員裁判対象事件の警察による取り調べで、北海道、栃木、茨城、富山、京都の5道府県警が2014年度から全過程の録音・録画(可視化)の試行を始めたことが19日、共同通信の集計で分かった。

法律に基づかない試行は、13年度から実施している8県警と合わせ計13道府県警となった。埼玉、奈良、和歌山の3県警も14年度中の試行を決めたり、予定したりしている。

 裁判員裁判対象事件で取り調べ全過程可視化の義務付けを認めた法制審議会(法相の諮問機関)特別部会の議論が後押ししたとみられ、刑事訴訟法などの改正に向け、今後もこうした動きが広がりそうだ。

全国の警察は、調書を読み聞かせる場面などに限定した一部可視化の試行をすでに実施している。・・・

捜査員らへのアンケートでは、全過程可視化に「誘導や強要がなかったことを立証するのに有効」と評価する声がある一方、「容疑者が真実を供述しにくい」と抵抗感を示す回答もあり、意見が割れた。・・

 「取調室でだけ反省の態度を示す容疑者が出てきて、裁判員の量刑判断を誤らせる恐れがある」(和歌山県警捜査員)。「弁護側の接見も可視化すべきだ」(香川県警幹部)との声があった。

 一方、「自白を強要したと誤解されなくて済む」(神奈川県警捜査員)、「取り調べ段階と公判での供述の変遷に対応できる利点がある」(京都府警捜査員)などと受け止める捜査員もいた。』(SIKOKU NEWS 8/20)


2) 可視化したのは、「対象事件3315件のわずか0・9%」

3県警も14年度中の試行を模索中とのことである。
これらをすべて合計すると、17の警察が、「可視化」を実行することになる。

それでも、まだまだ半数にも満たない。

また、裁判員裁判対象事件が、「可視化」の対象である点も、見逃せない。
朝日新聞の報道によると

「警察が取り調べの録音・録画(可視化)の試行対象としている裁判員裁判となる事件で、全ての過程で可視化したのは2013年度、29件だったことが24日、警察庁のまとめでわかった。対象事件3315件のわずか0・9%可視化は対象の9割以上の事件に及んでいるものの、可視化した事件でも取り調べ時間全体に占める割合は約10%にとどまっている」(注①)

のだという。

驚くべき数字である。
たかだか、「対象事件3315件のわずか0・9%」でしかないとは。

さらに、「可視化は対象の9割以上の事件」に適用されるものの、その実態は、とんでもないものだ。

すべてが可視化されていたのではなく、、「可視化した事件でも取り調べ時間全体に占める割合は約10%」にしか過ぎないのだ、という。

驚くべきことに、わずかに、10%である。
これは、「取り調べを可視化する」とは、いうものの、ほとんど、録音・録画していないのと同じである。

この10%に掛けられる時間は、取り調べの「供述書」を読み上げる時間に相当すると言われている。この程度の録音・録画(可視化)でしかない。

これでは、ほとんど、意味がない。
形だけで済ましている。

3) 現在の日本における、犯罪捜査の実態を反映している。

全過程可視化することについては、警察には、大きな抵抗があるらしい。
例えば、このような事が、反対する理由として挙げられている。

「容疑者が真実を供述しにくい」
「取調室でだけ反省の態度を示す容疑者が出て」(くる)。

要するに、自分たちが、「仕事をやりにくく成る」という訳だ。
だが、テレビなどで見る「取り調べ」が、現状であるとすると、やはり全過程の可視化をすべきである。

容疑者は、孤独だ。
周りは、すべて警察官である。

誰の助けも借りることが出来ない。
気の弱い容疑者なら、「やっていなくても、やりました」と言ってしまうだろう。

一方で、賛成する意見もあるようだ。
「自白を強要したと誤解されなくて済む」
取り調べ段階と公判での供述の変遷に対応できる」

要するに、その取り調べが、「違法なものでなかった」ことの証明が出来る、という訳であろう。
有能な警察官であれば、当然の反応である。
だkら、可視化に反対するのは、ある意味、無能な警察官である、といえるかもしれない。

どちらにしても、この事は、現在の日本における、犯罪捜査の実態を反映している。
それは、「自白偏重主義」と言われるもの。
「証拠主義」と正反対に位置する考え方である。

本当の改革すべきは、この「自白偏重主義」を見直すことである、と思う。

(注①)

警察の取り調べ、全過程可視化は0.9% 昨年度試行分


(2014/8/20)