2014年8月20日水曜日

元木昌彦氏の”朝日新聞「慰安婦虚報」を糾弾する週刊誌に疑問符”を読む。

朝日新聞が「従軍慰安婦」についての訂正記事を載せて以来、マスコミ界が、騒がしい。


1) 日刊サイゾー が掲載している記事より__

”朝日新聞「慰安婦虚報」を糾弾する週刊誌に疑問符”というのが、そのタイトルである。

これ以外にも、興味深い記事が乗っているのだが、ここで取り上げるのは、朝日新聞「従軍慰安婦」の訂正記事のついてである。

週刊ポスト、週刊現代に記事を紹介した後で、元木昌彦氏は、こう書いてい

る。

『・・・まるで日韓関係の悪化は朝日の従軍慰安婦報道にだけあるかのような言い方ではないか。朝日新聞・植村隆元記者の数本の従軍慰安婦についての記事が誤りだったとしても、日韓併合や植民地時代の苛烈な支配、原爆症で苦しむ朝鮮人被爆者や慰安婦たちの苦しみを、この誤報で帳消しにはできない。
 86日付の朝日新聞で、父も祖父も太平洋戦争中に強制収容された日系人、米ジョージ・ワシントン大学教授のマイク・モチヅキ氏がこう語っている。
「多くの日本人がもう『もう十分だ。未来志向で行こう』と言うが、それを言うのは被害者の側であって、日本人はまず『私たちは忘れない。過ちを繰り返さない』と言い続けるべきだ」
 NHK BS1スペシャル『オリバー・ストーンと語る 原爆×戦争×アメリカ』でも、オリバー・ストーン監督がおおむねこう語っている。
「記憶こそが我々を人間たらしめる『よすが』なのだ。自分が何を為したのかの記憶なくして人は後悔したり罪の意識を抱くことはない歴史家が記憶を残すのはそれを忘れないためなのだ」
 朝日新聞が誤報を認めたからといって、日本がアジアでした行為を抹消することはできない。原爆を落とされても、核の平和利用だと言われれば数多の原子力発電所を作り、あれほどのことをされたアメリカを憎まず、植民地のように付き従う日本という国は、世界から見れば理解しがたい人間の塊のように見えているのではないか。

 自分たちの父祖がやったことを忘れず、それについて考え続けることこそ、今の日本人に最も必要であること、言うまでもない。』(日刊サイゾー 8/19)
* 尚、すでにご存じだと思うが、現代もポストも、アダルトな情報を扱っている。従て、この論評記事にも、そのことが出てくる。あらかじめ、ご承知おき、いただきたい。
2) 歴史は、ウソをつかない。人間が嘘をつく
産経新聞は、先日、いわゆる『吉田調書』__東電の原発事故にまつわる聞き取りレポート__を手に入れた、と発表した。それ以来、特集を組んで、『吉田調書』の内容を掲載し、朝日新聞を攻撃する材料に使っている。
これは、本来的には、安倍政権の官邸が不開示としているものだ。だが、今は、この問題は、横に置く。
さて、朝日新聞「襄軍慰安婦」虚報のことである。
元木昌彦氏の、この記事が、私が今まで読んだ記事の中では、一番冷静に、公正に判断している、と思う。
元木氏が言うように、たとえ朝日が、誤報をしようと、捏造記事を書こうと、我々日本人は、この事から、目を逸らすべきではない。

逸らした所で、何も変わらない。
また、たとえ朝日新聞が、間違っていたとしても、__正しかったとしても__ 歴史は、何度も、繰り返し、検証される必要がある。
書き直される必要がある。
そうしないと、学問をする意味がない。
研究する意味がない。
歴史は、あくまで、現在までで分かっていることを前提として、記述されている。
新しい事実が発見されれば、当然に、訂正される運命にある。
その意味では、歴史も、「仮説」の一つに過ぎない。
この認識は、決定的に重要である。
この事が分っていないと、物事の見方を間違う。判断を間違う。
歴史は、ウソをつかない。人間が嘘をつくのである。
(2014/8/20)