2014年8月10日日曜日

LS:フクイチの今(12)原子炉内にあった燃料棒は、今何処に、どんな形であるか。

福島の事故について、東電が、これまでの検証結果を公表した。
相変わらず、小出しにする手法は、変わらない。


1) 現在の「フクイチ」の現状の、予想図

次に示したものは、在日スイス公館が、公表した現在の「フクイチ」の現状の、予想図である。

あくまで、これまで公表されているデータに基づいた、予想図。「推定が・・・」、となっていることに、注意して頂きたい。

その点を、くれぐれも、誤解のないようにして頂きたい。
(図の一番下に、注意書きがある。)

さて、問題は、「メルトダウンした核燃料」の現在の位置と、その形状である。
この予想図では、格納容器を突き抜けて、地中に埋まってしまっている。

東電の、今回の公表では格納庫内に溶け落ちてはいるが、コンクリートを突き抜けてはいない、と説明している。つまり、まだ、格納庫内に留まっている、という見解である。

だから、東電側からすれば、この図は、誤っているという事になる。


              (フクイチの現状の予想図)














http://enenews.com/nhk-top-story-new-highly-radioactive-leak-at-fukushima-believed-to-be-draining-into-pacific-ocean-200000-bqliter-of-strontium-and-otherbeta-ray-emitters-video

2) NHK が、6日に報じた記事__

繰り返しになるが、問題は、溶け落ちた燃料が、現在どこに存在するかである。
東電は、あくまでも、格納庫内に留まっている、という見解だ。

東電の説明図
現在の3号機の溶け落ちた燃料は、格納容器のコンクリート床に、68センチの所まで、ノメリこんでいる。(東電の見解)

だから、東電は、このコンクリート床にある燃料を冷却するために、今も、冷却水を循環させ続けている。

だが、もし、溶け落ちた燃料が、格納容器を突き抜けていたとすると、冷却水を流す続けることは、汚染水を増やし続けることになるだけである、と思う。



理由が何であれ__津波であれ、地震によってであれ__全電源が停止した。そのことで、それまでの計測されていたデーターが、すべて失われた。これは、電源が回復した後においても、元に戻すことが出来ない。

だから、データーがないのであるから、東電が検証をした、といっても、__果たして、それがどこまで__事実を示しているかどうかは、大いに疑問がある。

また、これまでの東電のデータの出し方、度々の__公表された__数字の訂正などを考えると、東電のこの発表も、信用できない、と思える。

「3年前の原発事故を巡り、東京電力は未解明の問題の検証を続けていて、6日、一部の検証結果を公表しました。

これについて、東京電力が原子炉の圧力などのデータを分析したところ、HPCIは手動で停止するより前の3月12日午後8時ごろには機能を失ったとみられ、解析の結果、これまでの推定より5時間余り早い3月13日の午前5時半ごろから燃料が溶け始めて、翌14日の午前7時ごろには原子炉の底を突き破り、大部分が格納容器にまで溶け落ちた可能性があると分かったということです。これまで、3号機で格納容器に溶け落ちた燃料は、一部と考えられていますとした・・・」(NHK 8/6)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140806/k10013587031000.html

「NHKらしい」、紛らわしい、長ったらしい表現の文章である。わざと読みづらくしているのかと思うぐらいである。

要するに、これまでは、ほとんど圧力容器内に留まっている、としていた。
それを否定して、ほとんどが、格納容器の床に溶け落ちている、と見解を改めた。

そういう記事である。

3) NHK が、9日に報じた記事__

茨城県内で採取された大気中のチリから、ウランのほか、原子炉内の構造物の素材が検出された、という記事である。

「・・・東京電力福島第一原子力発電所の事故が起きた直後に茨城県内で採取された大気中のチリから、ウランのほか原子炉内の構造物の素材が検出され、分析に当たった研究グループは早い段階から大規模な原子炉の破損が進んでいたことを裏付ける結果だとして、さらに分析を進めることにしています。・・


その結果、放射性セシウムのほか、ウランや燃料棒の素材のジルコニウム、圧力容器の素材の鉄など、核燃料や原子炉内の構造物と一致する物質が検出されたということです。

これらのチリは直径2マイクロメートルほどのボール状をしていて、高温で溶けたあと外部に放出されるなどして急に冷えた場合の特徴を示しているということです。」NHK 8/9)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140809/k10013675161000.html

4) 3号機の爆発は、核爆発である

「大規模な原子炉の破損』と、NHKは書いている。
が、槌田敦氏は、__物理学者__核爆発である、と明確に述べている。
(ここでは、取り上げないが,youtubeに動画がある)

この槌田敦氏の見解は、正しいと思われる。何故なら__。

もし、3号機の爆発が、水素爆発であれば__解りきった事であるが、水素は、軽いから、上昇するので、__原子炉の破損が、起こるはずがない。

また、水素爆発であれば、建屋の天井が__水素は、建屋の天井付近に集まっている訳であるから__吹き飛ぶだけで、壁(厚さが2mある)までが壊れるはずがない。

さらには、水素爆発で、あのようなキノコ雲が、発生する訳もない。
あの雲は、まさしく、きのこ雲である。

槌田敦氏は、燃料プールの爆発であろうと述べている。

当然、東電は、このような見解も、NHKの報じたものも__この記事も__無視するだろう。

原発施設に関する情報は、__当然に、原発施設は、テロの標的にされるから__特定秘密保護法で保護されることになるだろう。

そうなると、もうすぐ、このような情報は出てこなくなるであろうと思われる。
その意味では、貴重な記事だ。

それにしても、NHKにどんな心境の変化が起きたのであろうか。
その点は、不思議だ。

(2014/8/10)