2014年8月14日木曜日

安倍首相が、正式の外交ルートで、ロシアの北方領土での軍事演習に抗議。

私人の間で話なら、笑って済まされることも、正式の外交ルートに乗ると、戦争になることもある。

1) 時事ドットコム が報じた記事より__

安倍首相が、ロシアの軍事訓練に対し、「不快感をあらわにした」



『政府は13日、ロシア軍が北方領土を含む極東地域で演習を行ったことに対し、外交ルートでロシア側に厳重抗議した。ウクライナ情勢をめぐり、日本は米欧に足並みをそろえて追加の対ロ制裁を発動。・・・



安倍晋三首相は同日午後、ロシア軍の演習について山口県下関市で記者団に「到底受け入れることはできない」と、不快感をあらわにした。外務省の武藤顕欧州局参事官は同日、在京ロシア大使館のジョスキー臨時代理大使を同省に呼び抗議。ジョスキー氏は、ロシア領内での演習で問題はないとの認識を示した上で、「抗議は本国に伝える」と答えた。・・・ 

 ロシアは5日、日本の追加制裁に反発し、北方領土問題を議題とする次官級協議の「延期」を発表したばかり。日本政府はこの頃、ロシア軍が北方領土で演習を行う可能性があるとの情報を入手。在京ロシア大使館を通じて、演習を行わないよう申し入れていたが、警告を無視された格好だ。


 ただ、ロシアは欧米による制裁への報復として農産品などの禁輸措置を発表した際、欧米に同調した日本は対象外とし、「硬軟両様」の構えも見せている。


北方領土問題の進展を目指す首相に対し、揺さぶりを掛ける狙いがあるとみられるが、今回の演習強行で日本国内の対ロ世論が硬化するのは確実だ。・・・』(時事ドットコム 8/14)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&rel=j7&k=2014081300627 

2) 近代国家社会における外交の基本は、二つ  

安倍首相は、この外交の基本原則が分っているのであろうか。

首相が、ロシアが、北方領土で、軍事演習を行ったことに対して、外交ルートを通じて、厳重に抗議をした、と報じられた。

ところで、近代国家社会における外交の基本は、二つある。
ひとつは、内政不干渉。
もう一つが、相互主義。

内政不干渉とは、国家における主権を犯さない。
平たく言えば、他国の事には口を挟まない、ということ。

相互主義とは、相手がやった事と同じ方法で、仕返しをする。
やられたら、やり返す。
キリスト流に言えば、「目には目を、歯には歯を」、で償わせる、ということである。

3) 安倍首相は、ロシア制裁に踏み切るべきではなかった

ロシア側からすれば、__国内問題である__ウクライナの事で、日本から、制裁を受けた。しかも、それは、安倍首相が、重大な決意のもとに、行ったことではない。

たんに、米国に、追随しただけのことだ。
米国の、尻馬に乗っただけの事である。

それぐらいの事は、プーチン大統領も良く解っているだろう。
しかし、「非難声明」を出すぐらいならともかく、具体的な制裁措置を取られれば、それなりに反撃をせざるを得まい。

まして、クリミヤというデリーケートな問題の事である。
日本で言えば、「尖閣諸島」問題に相当する。

旧ソ連からロシアに変わったことで、ロシアでは、民族問題が、一気に噴出した。
この事は、プーチン大統領にすれば、死活問題だ。

安倍首相が、この事をよく認識したうえで、ロシアへの制裁に踏み切ったのなら、それも、一つの選択であり、ロシアもある程度の理解をしよう。

だが、そうではなく、米国の尻馬に乗ってのことである、と見抜かれることを、前もって覚悟しておくべきであった。そして、それなりの反撃を受けることがあるのを、理解しておくべきだった。

それを「到底受け入れることはできない」などと、子供が駄々をこねるようなことを言っても、笑いものになるだけのことだ。それさえも分らないようだが・・。

ロシアが、__自国内の何処において__軍事演習をしようと、他国が干渉できることではない。もちろん、それによって、挑発的な行為があったという事なら、話は別だが。

「北方領土」という場所が問題だ、と思っているのであろうが、__ロシア側にすれば__ここ以外でやっても、仕返しの意味がない。効果がない。

ロシアは、前もって、十分に考え、その効果を期待して、行っている事なのである。それを、子供がするように、幼稚な反応をしたのでは、自身の「頭の中身」を見透かされるだけの事である。

             *     *           *

外交は、難しい。
一歩間違えば、戦争になりかねない。

今、安倍首相は、夏休み中だ。
好きなゴルフに熱中にして、黙って、「昼寝」を決め込んでおけばよかった。

もっとも、それでは、国内の「スズメ」が黙っていないであろうが・・・。

(2014/8/14)