2014年8月13日水曜日

LS:オバマ大統領の「イラク空爆の決定」についての社説比較(1)北海道新聞の社説は、激しく非難。

空爆を決定して、休暇に入り、ゴルフを楽しむオバマ大統領。
心は、晴れているか、それとも、大荒れか。

イラク情勢が、泥沼化しないか。
かえって、大きな混乱を招ク事になりは、しないか。


1) 北海道新聞 が載せた記事より__


「二つの戦争終結を公約に掲げ」て、選挙に出た。
オバマ大統領が、基本にすると述べた、「対話路線に戻るべき」だ。

これが、社説の要点である。

『イラク情勢が泥沼化しないか。
 米軍がイラク北部のクルド人自治区に侵攻したイスラム過激派組織「イスラム国」を標的に空爆を行った。
 オバマ大統領は、現地の米国人の安全確保や山岳地帯に追い詰められたクルド人救出のために空爆を承認したと表明していた。
 米軍が2011年末にイラクから完全撤退して以来、初の軍事介入で、対話による安定化路線からの大きな転換となりかねない。
 オバマ氏は地上部隊は派遣しないと強調する一方、空爆は継続させる姿勢だ。住民に犠牲が広がらないか懸念される。
 戦闘激化や内戦に発展する恐れがある軍事介入は、問題解決にならない。武力で国を奪おうとする過激派を封じるためにも国内の宗派・民族の融和を急ぐべきだ。
 ペルシャ湾に展開中の米空母から戦闘攻撃機FA18などが複数回、自治区の中心都市アルビル近郊に迫った過激派を攻撃した。
 アルビルはイラク軍と米軍の戦略上の要衝で、米石油大手など外国企業の拠点でもある。
 オバマ氏があえて空爆を強行したのは、石油利権確保が目的との指摘もある。11月の中間選挙を意識しての行動なら見当違いだ。
 米国の軍事介入によって、イラク国内の反米感情が再び吹き出す可能性も否定できない。そうなれば過激派の思うつぼである。
 イラク情勢をここまで流動化させたのは、旧フセイン政権打倒のために戦争を始めた米国である。
 オバマ氏はアフガニスタンとイラクでの二つの戦争終結を公約に掲げた。米国内でも厭戦(えんせん)気分が強い。対話路線に戻るべきだ。
 山岳地帯に逃れた4万人のクルド人に対し、米軍は食料など人道支援物資を空中投下している。英国、トルコが参加の意思表明をしたという。支援の輪を広げたい。
 イラクでは4月の総選挙後、次期首相選びが難航している。シーア派のマリキ首相は続投に意欲的だが、政府や軍中枢からスンニ派を排除したことで過激派に協力する勢力をつくってしまった。
 一方、クルド側には独立国家の樹立を模索する動きもある。
 国家分裂の危機にシーア派内からもマリキ氏退陣を求める声が強まっている。次期首相が誰であれ、挙国一致体制を築き、過激派を孤立化させることが大事だ。
 過激派への資金や武器の流入を防ぐために周辺国をはじめ国際社会は団結すべきだ。そこにこそ米国の指導力が求められる。]」(北海道新聞 8/10)http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/556119.html
2) かえって、「イラク情勢が泥沼化しないか」

社説は、冒頭で「イラク情勢が泥沼化しないか」と、問いかける。
この問いかけに、オバマ大統領は、どう答えるであろうか。

「そんなことは、どうでもいいことだ。我が国の、国民の安全が脅かされているのだ。我が国の、安全保障のためである。自国の防衛をしているのだ」と答えるのか。

「対話による安定化路線からの大きな転換」
「武力より、外交で」解決をすると言ったことは、反故にするのか。

如何にも、戦略思想に欠けては、いないか。
もっと、別の選択は、なかったのか。
取るべき道は、他にもあったのではないか。

これでは、さらなる混乱を、イラクに持ち込むだけではないか。
記事が書いているように、イラクに混乱を招いたのは、「旧フセイン政権打倒のために戦争を始めた米国」の責任である。

だから、その責任を果たすためにイラクに戻ってきた。
それは、イラクの国民にとっては、余計なお世話、というものであろう。
「もう、我々の事は、彫っておいてくれ」というのが、本心ではないか。

オバマ大統領が、、イラクに混乱を持ち込んだことを「心から、反省」をしているのなら、もっと、対話を重要視した、戦略を用いるべきだ。
武力を用いての介入は、「さらなる、米国への憎しみを」重ねることになるだけである。
この社説も、「二つの戦争終結を公約に掲げた」オバマ大統領は、「対話路線に戻るべきだ」と述べている。

3) 「米国は、イラクから手を引け」

ただ、この社説が言う、「挙国一致体制を築き、過激派を孤立化させる」べきという考えには、賛成できない。

「過激派を孤立化」させては、挙国一致体制は、築けないであろう。
そもそも、挙国一致体制を葛くことが必要か。
出来るか。
日本においてさえ、そんなことは出来はしないし、無用なことである。

何でも、ひとつにしようとする思想が、この混乱を産んでいる。
「相手の心を、敬い、尊重」しようとしない思想が、国を混乱に陥らせている。
これが、根本的な原因である。

「憎しみと武器」の代わりに「寛容と、対話」が必要な時だ。
これなくしては、根本的な解決には、ならないであろう。  

米国が、クルド側に、武器の供与を始めた、と報道されている。
これでは、新たな武力による対立を、産みだすだけである。

「憎しみの連鎖を拡大するだけの結果にしかならないであろう。
これで、オバマ大統領は、イラクに二重の混乱を、生起させた事になる。

「米国は、イラクから手を引け」というのが、イラクの国民の大方の気持ちであろう。世界中の心ある人々の、叫びであろう。

休暇で、ゴルフに熱中するオバマ大統領に、この声は、果たして、届くのであろうか。

自国の国民のことしか頭にない、オバマ大統領には、「馬に耳に念仏」か。

≪関連サイト案内≫

米空爆の効果小さく、オバマ大統領に難問―軍事介入を拡大するか”=WSJ

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303721104580087170524170114?mod=trending_now_3 

米国、イラク北部に軍関係者の追加派遣の可能性”=ロイター
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPKBN0GC1YY20140812

(2014/8/13)