2014年7月8日火曜日

東電の凍土遮水壁の工事。着工して2か月が過ぎても凍結に成功せず。

当初から疑問とされていたことが、現実となったようである。
このブログでも、成功する可能性は少ない、と指摘してきた。


1)” YOMIURI Online”が伝えた

東電の汚染水対策のための、凍土壁工事の話である。


『東京電力福島第一原子力発電所の配管用トンネルを凍結止水して汚染水を抜き取る計画に対し、原子力規制委員会は7日、「凍結管の冷凍能力を大幅に強化すべきだ」と指摘、工事方法を抜本的に見直すよう東電に指示した



着工して2か月が過ぎても凍結に成功していないためで、水を抜き取らないと、土を凍らせて地下水が建屋に流入するのを防ぐ「凍土壁」をトンネル周辺につくることができなくなる』(YOMIURI Online 7/7)

工事にはいる前より、専門家から、疑問が呈されていた。
だから、規制委も、なかなか、GOサインを出さなかった。

2) 凍土壁の実現性にも疑問が

現状では、結果的には、疑問を呈した専門家や規制委の見解が正しかったことを、証明することになった。

東電は、規制委の会合において、「1分あたり2ミリの水の流れが凍結の障害」と説明した、ようだ。1時間にして60ミリである。
とてものこと、信じられない。

”規制委の更田豊志委員らから「その程度の流速で凍らないのはおかしい」と疑問の声が続出”した、と記事は書く。当然の指摘であろう。


さらに、”「このままでは、凍土壁も成り立たなくなる。凍結が不十分なら、2倍、3倍と冷凍能力を向上させてほしい」と要求した”と記事は続ける。

例によって、東電は、工事費を「ケチ」ったか。そうではなく、十分に工事を出して、工事を実施したか。
もし、十分な工事をした結果であるというのなら、更田委員の、次のような懸念は無理もない、ということになる。

更田委員は「凍結工事がうまくいかない以上、凍土壁の工事には進めない」と指摘。さらに、凍土壁も同じような仕組みで土を凍らせる工法のため、凍土壁の実現性にも疑問を投げかける形となっている。

3) 原子力規制委は、工事方法を抜本的に見直すよう東電に指示

原子力規制委員会は、「工事方法を抜本的に見直すよう東電に指示」した様である。
しかし、事ここに至っては、「甘い指示」ではないか。

工事方法を抜本的に見直すことよりも、汚染水対策そのものを根本的に見直す必要がある、のではないか。

もう、安倍政権の集団的自衛権のことで、マスコミも多くの国民も、すっかり忘れているようだが、今でも、汚染水が、海に垂れ流されたままである。

根本的な解決を計るには、まず、原子炉から溶け落ちた燃料が今どういう状態にあるのかを、公開する事である。

その上で、日本のみならず、世界から対策方法を募るべきだ。
もう、これ以上遅らせると、日本の威信に関わる。

オリンピックも、開催出来ないのではないか。
施設の心配ばかりが先行しているようであるが、選手や海外からのお客さんの安全が大事。

安倍総理は逃げまわってばかりいないで、真剣に対応すべきである。
東電の事故こそ、今そこにある危機ではないか。

日本の生存にかかわる事ではないか。
安全保障上の最重要課題ではないか。

(2014/7/8)