2014年7月28日月曜日

危機に立つオバマ政権。混迷する、ウクライナ、ガザ、イラク、シリア情勢。

我々は、「新しいもの」「物珍しいもの」が、好きなようだ。
そして、そのことで、他の事を忘れてしまいがちになるという、傾向があるようだ。


1) Newsweek(日本版)の記事より_
シリア、イラクの状況が、相変わらず、悲惨なようだ。


『このところ世界はガザとウクライナに目を奪われ、シリアとイラクの内戦のことは忘れてしまったようだ。メディアの報道では"目新しさ"が優先されるらしい。
シリア内戦は延々と続いているが、メディアが取り上げるのは、化学兵器使用の疑いが出たり、アメリカが空爆を行う可能性があるなど、劇的な変化が起きたときだけだ。
 シリアでもイラクでも最近はガザやウクライナのような派手な変化は起きていない。だがシリアでは先週、アサド政権側とスンニ派の過激派組織ISIS(イラク・シリア・イスラム国、別名ISIL)の戦闘で700人以上の死者が出た。
2日間の戦闘による犠牲者としては、シリア内戦における過去最悪の記録だ。
 イラクの首都バグダッドでも今週、ISISの自爆テロで31人の死者が出た。その多くは民間人だ。ISISは武力で占拠したイラク各地で政治的支配を進めている模様で、彼らの支配地域には油田もあり、密売ルートで石油を売り、新たな資金源にしている。

 イラク政府が派閥対立に引き裂かれ、機能不全に陥っているかぎり、ISISの台頭は押さえられそうもないが、シーア派、スンニ派、クルド人指導者の間での権力分配をめぐる話し合いはいっこうにまとまらない。
そうしたなか、イラクの治安部隊がシリアのアサド政権が使用したことで悪名高い樽爆弾(樽状の容器に金属片などを詰めて殺傷力を高めた爆弾)を空爆に使い、民間人の犠牲者を出した疑いが浮上し問題になっている・・・」(Newsweek 7/24)
そのような事を思い出させてくれる記事を、見つけた。
Newsweekの日本版に記事である。

記事の内容は、上に貼り付けたとおりである。

2) 何が問題か。

では、何が問題か。
記事は続けて、次にようにいう。

「ガザ、イラク、ウクライナ、さらには南シナ海と、「弧状に連なるグローバルな不安定要因」がオバマ政権を試練に立たせているという議論を最近よく耳にするが、こうした言説には大きな問題がある。長年火種がくすぶってきた地域における一時的な戦闘激化と、それよりもはるかに大規模で、国際情勢を大きく変容させかねない出来事を同列に扱っているからだ」

ただ、この文章の、「ガザ、イラク、ウクライナ、さらには南シナ海」が弧状というのは、言い換えなければならないが。正しくは、ウクライナ、ガザ、イラク、南シナ海である。


ここまで書いてきて、面白いことに気付いた。
なぜ、「ガザ、イラク、ウクライナ、さらには南シナ海」と書いているかという事についてである。このように書くと、説明した通り、弧状にはならない。

3)危機に立つオバマ政権が重要視している国の、優先順位を示しすもの

それでも、あえて、ガザ、イラク、ウクライナ、さらには南シナ海」と、書いている訳についてだ。おそらく、_記事を書いた当人は_、無意識のうちに書いたのであろうが、これは、米国が重要視している国の、優先順位を示している。

この事である。
その証拠に、「ガザの状況は悲惨・・・とはいえ、遅かれ早かれ停戦合意がまとまり、戦闘は収束」する、と予想している。

ウクライナについても、「ウクライナ東部の紛争が地域全体に広がる可能性は低く、せいぜい国境を接する国々に飛び火する程度」だろうと述べる。



ところが、「イラクとシリアはこれとは事情が異なる」のだと言う。  「この2つの内戦はいっこうに終わりが見えず、混迷は深まる一方で、これといった政治的解決策」がない、と書く。

4) ガザの状況に対する直接的な責任は、米国にある

(3)を、言い換えると、こうなる。

危機に立つバマ政権は、ガザの状況が、早く収束に向かい、米国の頭痛の種がなくなることを望んでいる。

イラクは、最悪だ。こんな状況では、何のために、米国の若い者が多くの血を流したのわからない。

ウクライナは、ロシアの領分だ。ロシアを責める口実にはなるが、それ以上ではない。できれば、関わりたくない。

それは、この記事に締めくくりの言葉に表されている。
こう言っている。

「(イラクとシリアは)アメリカが最も直接的な責任を負うのも、この2つの国の危機だ」

この言葉こそ、米国の本音であろう。だが、果たして、ガザの状況に対する直接的な責任が、米国にはないのであろうか。そんなことはない。そのことは、オバマ政権が一番良く解っている。だから、「ガザ」が一番に出てくるのである。

(2014/7/28)