2014年7月19日土曜日

LS:ベネッセ顧客情報漏えい事件。(Ⅳ)困惑する学校現場。その要因を読み解く。

驚きである。いわゆる「顧客」は、個人だけではなかったようだ。
もっと、大きな組織が、関係していた。

1) 毎日新聞の報じた記事から_

ベネッセホールディングス(岡山市)の顧客情報漏えい問題は、学校現場にまで、混乱を与えている、という記事である。

原田泳幸会長兼社長
『通信教育大手のベネッセホールディングス(岡山市)の顧客情報漏えい問題は、学校にも影響を与えている。

ベネッセは各地の学校に情報通信技術(ICT)を使った教材や学力テストを提供しているが、教委の担当者は「生徒や児童に関する情報には成績が含まれることもあり究極の個人情報。

今後の信頼に大きく関わる事態だ」と困惑している。


 福島県の南会津町と檜枝岐(ひのえまた)村は2006年、ベネッセの、テレビを使った遠隔授業や「進研ゼミ」を導入。両町村の計6中学校の1~3年生169人分の個人情報が漏えいした。漏れたのは生徒・保護者の氏名や住所、電話番号だった。』(毎日新聞 7/14)
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20140715k0000m040059000c.html

goo記事からの転載である。

2) これほどまでに、学校現場に私企業が、入り込んでいるとは、驚き

今度のベネッセの情報漏えい事件は、_この事は、別に、改めて強調するほどの事ではないのかもしれないが_意外な面を見せてくれることになった。

それは、今日の学校教育の矛盾点を、_我々、一般の国民に対し_浮かび上がらせてくれた。

これほどにまで、学校現場に、私企業が、入り込んでいたことは、驚きである。
このことが起きている一因は、教師にある、と思える。

それは、教師の能力が、低下してきていると、関係しているのであろう。

いわゆる『団塊の世代』にあたる教師たちが、すべて、退職をした。ベテランと言われる教師が、ごっそりと抜けた。

後の世代は、文部省による教育改革で、「猫の目」のように、コロコロと制度が変わる中で、教育を受けて、育ってきた。教育改革の翻弄され続けた世代だ。

このようにして、育ってきた世代に、本当の実力が、培われているはずがない。

3) もう一つの要因は、文科省が実施している、全国学力テスト

もう一つの要因は、今文科省が実施している、全国学力テストと関係がある、と思われる。統一テストであるから、全国同じテストを受けることになる。

ところが、現在の学校教育は、地域の状況に配慮したものになっている。

学校教育法によれば、21条で、_特にその中の”三項” で_ 我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養う・・・」事を目的とする、と規定されている。

また、小学校においては、第三十条において「  小学校における教育は、前条に規定する目的を実現するために必要な程度において第二十一条各号に掲げる目標を達成するよう行われるものとする」と書かれている。


さらに、中学校では、第四十五条 で「中学校は、小学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育を施すことを目的とする」と規定されている。

4) ベネッセのような全国展開をする教育業者に依存するのは、避けられない

だから、小学校も中学校も、「郷土の現状と歴史」を教育することに、重点を置いた教育内容になっていると、考えられる。

その様な地域の特色を生かした教育をめざしているである。
日本の国土は、細長い。
それぞれに、大きな違いがある。

そのような中で、統一的なテストをすれば、学校現場が混乱するのは、無理もない。
ベネッセのような、全国展開をする教育業者に、依存しようとするのは、避けられまい。

毎日の記事は、次のような例も挙げている。

 『大阪市では、市内の小中、小中一貫校の計7校で児童生徒にタブレット端末を配布。13年度はベネッセの教材を使っていた。タブレット端末でベネッセのサイトにアクセスしてテストを受けることもあり、その場合は子供の出席番号やテスト成績がベネッセ側サーバーに記録されていた。」(同上)

何と、テスト成績まで、ベネッセが、知っていた。
これは、児童や使途に生徒に、了解の上での事であるのか。

そうでないとすれば、この点も、さらなる問題である。

5) 今や、学校現場は、ベネッセのような教育産業に「簒奪されている」

これでは、記事が続けて書いているような、危惧が持たれるのは、当然のことである。

『今回の問題を受け、ベネッセのスタッフが大阪市教委を訪れ「漏えいしたシステムとは別のシステムで管理しているので問題はない」と説明したという。それでも同市教委の担当者は「成績情報は究極の個人情報。大丈夫と言われても、すんなり受け入れられない」と不信感を募らせる。』(同上)

これは、福島や大阪に限られないことであろう。
今や、学校現場は、ベネッセのような教育産業に「簒奪されている」、といっても過言ではないのかもしれない。

そして、この事の、元々の責任は、文科省にある。

≪関連サイトの案内≫

* ”「我々は明確に加害者」ベネッセ原田社長・・・”=ITmidiaニュース
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1407/17/news149.html

(2014/7/19)

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