2014年7月10日木曜日

鹿児島地裁は、刑務官らの違法行為を認め、賠償金の支払いを命じた。

氷山の一角にすぎなのかもしれない。
また、誰にでも起こりうることである。


1) ”朝日新聞 DIGITAL”が、昨日の夜に、伝えた記事より

宮崎刑務所の元男性受刑者の話である。

『宮崎刑務所(宮崎市)で服役中、刑務官らの虐待で心身に苦痛を受けたとして鹿児島県内の60代の元受刑者が国に損害賠償を求めた訴訟で、鹿児島地裁は9日、刑務官らの違法行為を認め、300万円を支払うよう国に命じた。

 刑務所の内部調査によると、男性は2008年7月、床暖房で室温38度になった同刑務所の保護室に25時間近く収容される虐待を受けたとされる。男性は、虐待でやけどを負い、刑務官らの隠蔽(いんぺい)行為で精神的苦痛を受けたと裁判で主張していた。

 判決で吉村真幸裁判長は、男性がやけどを負い、熱中症にもなったと認定。保護室への収容について「集団的組織的な私的制裁行為だった」と非難した。

宮崎刑務所の平田勝総務部長は「判決内容を真摯(しんし)に受け止め再発防止に努める。控訴については関係機関と協議したい」とコメントした・・』(朝日新聞 DIGITAL 7/9)
http://www.asahi.com/articles/ASG794HSJG79TLTB00H.html

こういう記事では、詳しい経緯が解らない。何故、受刑者が虐待を受けるような行動を取ったのか。まず、そのことを書くべきである。その上で、刑務所の対応についての、判断が出てくる。

2) 関係者以外の目の届かない刑務所で行われたという点が重要だ


ちなみに、2008年に気象状況を見てみよう。(wikipediaによると)以下に示すようなものになっている。これによると、2008年に夏は猛暑だ。

「7月中旬 - 8月中旬の最高気温平均値は名古屋市で35.4、京都市で35.1など1994年、1995年などの年に匹敵する猛暑となった。東海以西では真夏日や猛暑日の日数が軒並み平年を大きく上回り、観測史上有数の記録となった地点が多かった」

刑務所の所在地は、九州の宮崎市である。当然に、猛暑であったと思われる。

その中での出来事だ。
熱中症は、以前は熱射病といわれていた。一般には、屋外で起きるとされた。
しかし、今日では、室外においても起きることは、常識になっている。

症状がひどければ、死亡に至る。
それを認識していなかった訳ではあるまい。

もし、そうだとすると、これは虐待というレベルではない。
殺人未遂に近い行為だ。

しかも、それが関係者以外には知らない、密室で行われた。
この事のもつ重要性は、看過できない。関係者以外の目の届かない所で行われたという点を見逃すことは出来ない。

3) 安すぎる金額の賠償金の弊害

しかも、裁判所は集団的組織的な私的制裁行為」であったと認めている。
さらには、刑務官による隠ぺいがなされたという。この点を裁判所がどう判断したのかも、この記事は伝えていない。

元男性受刑者の主張に対して、裁判所がどういう判断を示し、こういう金額になったのかを書くべきだ。

他の報道機関の記事によると、男性が求めた損害賠償に金額は、2200万円であるという。
それに対して、300万円である。(そこまでが調べていないが、裁判所としては、法律に沿った金額を提示したのかもしれない。)

どちらにしても、金額が要求額の2割りも満たないということは、男性がやけどを負い、熱中症になった事への賠償金であると思われる。
もし、そうだとすると、刑務官による隠ぺいも、刑務所への過失も、その多くが「認められなかった」のではないかと思われる。

この事件に直接かかわったであろうと思われるもの等(ら)は、「宮崎地検に書類送検されたが、4人が不起訴処分(起訴猶予)になり、虐待を指示したとされる1人も同年3月に自殺」した、と記事は書く。

これでは、結果的には、誰も責任を取らなかったということになる。
「虐待を指示したとされる1人」がなくなったのは、同年(今年)の3月ということであるから、必ずしも「責任を感じて」の事と断定することは出来ない。



こういう事故を無くするに、まず、賠償金の大幅な引き上げが必要である。そして、事件に関わったものに、個人的に賠償金を補償させるべきである。

税金で支払っていたのでは、位置まで経っても、こういう事件は無くなることがないであろう。

(2014/710)