2014年7月25日金曜日

政府は、2020年度の基礎的財政収支が、11兆円の赤字になるとの試算発表。

そんなバカなことが、出来るわけがない。
また、過去と比べても、意味がない。

1) 47ニュース が伝えた記事より_
政府は、2020年度の基礎的財政収支が、11兆円の赤字になるとの試算をした。

「政府は25日の経済財政諮問会議で、2020年度の国と地方の基礎的財政収支が11兆円の赤字になるとの試算を示した。税収増などで赤字はことし1月時点の試算から約9千億円改善するが、20年度に収支を黒字にする目標の達成は依然として困難な状況。政府は15年度予算の概算要求基準をこの日に閣議了解。財政再建と経済再生の両立を目指す。


 税収などで政策経費をどれだけ賄えているかを示す基礎的財政収支に関し、政府は15年度に10年度と比べて赤字を半減し、20年度に黒字にする目標を掲げている。」(47ニュース 7/25)

2) 税金を取られる国民は、企業と較べて、ますます貧しくなるばかり

「15年度に10年度と比べて赤字を半減し、20年度に黒字にする目標」をかかげるのは、いい。

だが、過去と比べても意味がない。安倍政権は、「アベノミクス」の成功したことを、_これだけ成果を挙げましたと_示したいのであろうが、増税をされた国民は、そんなことを納得は、しない。

企業が儲かる事ばかりの政策を実行する安倍政権を、認めない。他方で、働く人々や、税金を取られる国民は、企業と較べて、ますます貧しくなるばかりである。

消費税、電気、ガスなどの公共料金、社会保険料・介護保険料、医療費をはじめ、入院の際の食事代の値上げなど、国民の負担は増えるばかりである。

3) 消費税の目的税化も、信用できない。

消費税の目的税化も、信用できない。
果たして、全額が、社会保障費に回されているかどうかは、不明である。

* もし、消費税が全額、社会保障費に回されているとすれば_バランスしているとすれば_、以下のようになるはずだ。(金額は、任意の設定)

      歳出                       歳入

 社会保障費    20              消費税      20
 他の歳出     60               所得税   
                             法人税
                             公債金収入   60
            80                          80       (単位兆円)

国債費の歳出を含まない)

(これは、ごく簡単に表したものである)
政府が発表するようなものを、国民の中で、わざわざ_、複雑な表を_確認する人々がいるだろうか。もし、いても、少数であろう。多くの国民は、政府が「全額社会保障費に使いました」、と政府が言えば、_多少疑問に思っても_そうだろう、と思う。

そこが、政府の付け目だ。
言葉の、「魔術」である。

「社会保障費に使われる」のだ、と言われれば、_これから、高齢化していくことは誰も分っているのだから、_反対できない。

集めてしまえば、「勝ちだ」
自由に_もちろん、上手に誤魔化すだろうが_使える。
「文句を言って」いく国民は、まずなかろう。政府の「取得」だ。
だから、我々国民の多くは、「20年度に黒字にする」などということは、「あて」にはしていない。


≪参考≫
(Ⅰ)
「来年度からの法人税減税について、引き下げの幅や期間が注目されている。経済界の期待の表れといえようが、肝心の「裏付け」がない見切り発車には強い懸念を覚える。 
 政府は、法人税の実効税率を現在の約35%から数年で20%台に引き下げる方針を決めた。だが、減税で穴があく財源の確保策は、秋以降に本格化する税制改正作業に先送りされた。 
 国内企業の国際競争力を高め、海外から投資を呼び込むためとはいえ、方針決定後も財源がはっきりしない状況は、先進国最悪の財政に対する危機感の乏しさを示していよう。地に足の着いた議論を求める。 
 法人税減税は安倍首相の強い意向から、新成長戦略と経済財政運営の指針「骨太方針」に盛り込まれた。むろん、財政状況が許すなら企業支援に異論はない。 
 しかし、今の日本に新たな歳出への余力はほとんどない。財務省によると、法人税率1%当たりの税収は約4700億円で、ドイツ並みの29%程度に下げた場合、3兆円規模の減収となる。減税は本来、代替財源とセットで考えるべきだろう。 
 財源の具体化を先送りした背景には、政府・与党内の意見の隔たりがある。財務省や与党の税制調査会は現行より課税対象を広げる形で「恒久減税には恒久財源」を求める。一方、経済界や首相周辺などは、アベノミクスによる増収分の活用を主張する。 
 実際、2013年度の税収は見積もりを約1兆6千億円上回った。これを受け、増収分を財源に充てる主張が勢いづいているという。 
 とはいえ、税収増は株式の優遇税制が終了する前の売却や、消費税増税の駆け込み需要などによる「臨時収入」分が多いとみられる。それを恒久減税に必要な財源とするのは、財政規律のタガを外すに等しいといえる。 
 14年度予算も歳入の4割強を国債に依存する、厳しい懐事情に変わりはない。税収などで政策経費をどれぐらい賄えるかを示す「基礎的財政収支」を20年度に黒字化する政府目標にも、黄信号がともった状態だ。「増えたら使う」では、いつまでたっても財政再建はできまい 
 財源確保策が決まる年末には、消費税再増税の是非も判断される。財政再建への危機感に乏しければ、国民への説得力も欠くことになろう。」
(高知新聞 2014/7/6 )

(Ⅱ)
「また、赤字会社の場合には、当期の納税額は発生しない。しかし、繰越欠損金は、通常一定期間(通常7年間)を限度として将来の課税所得と相殺することができる。このため、繰延税金資産を認識し、それに見合う額をマイナスの法人税等調整額として当期の損益計算書に計上する。それを利益と相殺させる年度でプラスの法人税等調整額を計上する。
なお、一定限度を超える交際費や寄付金についても、会計上の取り扱いは税務上の扱いと異なる。ただし、これらについて税務上は永久に損金に算入されないので、以上で見たような処理の対象とはならない。
日産の場合、法人税等調整額はほとんどの年でプラスだ。つまり、企業会計上の観点から言えば支払うべき法人税等を、将来に繰り延べていることになる。
法人税の負担を表のb(現実に支払った法人税等)で見るべきか、それともd(会計上の観点から本来その年度に支払うべきだった法人税等)で見るべきかは、客観的な答えが出ない問題である。法人税等調整額に計上できるのは一時的なものだから、本来からいえば、一定期間の間にはプラスとマイナスが打ち消し合うはずだ。そうであれば、ある程度の期間を平均して見れば、どちらで見ても同じはずである。
しかし、日産のようにプラスの数字が続くようだと、どちらの指標で見るかによって、税負担率は大きく変わる。仮に現実に支払った法人税等であるbをとって、そのaに対する比率を見れば、負担率は一部の年度を除いて20%程度となる(表のe)。これは、最初に見た実効税率とは大きく異なるものだ。「法人税の負担が低い」と言われるアジア諸国の数字(中国が25%、韓国が24.20%)よりも低い。

このように、法人税負担をめぐる問題は、簡単ではない。少なくとも、実効税率の数字のみを用いて「6重苦の一つ」などとは言えない問題なのである。』(東洋経済=野口悠紀雄)
(2014/7/25)