2014年7月28日月曜日

安倍首相が行った閣議決定は、本当に「個別的自衛権に毛が生えたもの」なのか。

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「髪の毛、一本」ほど、であったように思っていたが、「「アリの一穴」であった。
言った人も、違っていた。






1) shuueiのメモ」 さんのブログより_
「カミソリ」といわれた、故後藤田正晴氏についての話である。


『いまの大学生に聞くと、中曽根康弘さんの名前は「総理大臣だった」とクラスで1人か2人は知っている。しかし後藤田正晴さんのことはまったく知らない。

 後藤田さんは、海部さんに「アリの一穴」を戒める前、中曽根内閣官房長官を長く務めた。そのときの有名なできごとに「後藤田の諫言(かんげん)」がある。

 1987年、イランイラク戦争両国ペルシャ湾に機雷を敷設、これに対し中曽根さんがタンカー護衛のために機雷除去の自衛隊の掃海艇を派遣したいと言い出した。

しかし、後藤田官房長官は「それを自衛だと言っても通りませんよ。戦争になりますよ」と諫(いさ)め、絶対だめだと拒否した。「私は閣議決定にサインしませんよ」と念を押した。さしもの中曽根首相もあきらめた。

 のちに後藤田さんにロングインタビューしたとき、なぜ中曽根首相にあえて逆らったか聞いてみた。「憲法上できないということもあるが、国民にその覚悟ができていたかね。できていなかったんじゃないか」と後藤田さんは明かした。

それから20年余りたって、安倍首相は、自公協議にコメントして、「極めて限定した集団的自衛権」の範囲に「ペルシャ湾での機雷除去」も含めるべきだと主張している。

 戦争が起きたら、戦地に行くのは安倍さんではない。われわれ昭和生まれの年配者でもない。自分の国が侵されたときならばともかく、他国の戦争にまでしゃしゃりでて、若者に血を流させる覚悟なんて、私たちはとうてい持てない。

持ちたくもない。憲法9条を読み返しても、そんな血を流すことを許容するとはどうしても読み取れない。閣議決定で解釈変更などとは勝手すぎる。

せめても憲法改正という手続きをとり、未来をになう18歳の若者たちを含めた国民投票によって、ほんとうに「血を流す覚悟」があるかどうかを聞くべきではないか。

私は「アベさん」の名前も知らない平和の時代の学生を前にして、そんなふうに思うのである。(早野透桜美林大教授・元朝日新聞コラムニスト)』(shuueiのメモ   6/17)

2) のどに引っかかった骨が、ようやくとれた

早野透氏は、桜美林大教授。元朝日新聞コラムニストとある。「マスコミ人」から、大学の教授になった方のようだ。その早野氏が、「平和の時代の学生を前」にして思うことを綴られたのが、この文章である。

大分前から、ずっと頭に引っかかっていた。それで探していた。やっと見つけることが出来た。のにの引っかかった骨が、ようやくとれた、という気がする。

実は、これは、故橋本竜太郎氏が言った言葉だ、と思っていた。人間の記憶とは、あまりアテにはならないものである。その点、今はネットがあるから、有り難い。

反面、いい加減な事を言うと、とんでもない目に合うことになる。もちろん、政治家の話である。われわれ、一般の国民が何を発言しようが、それは自由だ。もちろん、相手が、普通の人であれば、_相手の名誉を傷つけるようなことを言えば_罪を問われる可能性がある。

政治家に向かって言う場合とは、訳が違う。ここを「はき違える」と、とんでもない目にあうことになる。ここが肝心な所だ。

3) 安倍首相が述べた事は、個別的自衛権である

前置きが長くなった。
「アリの一穴」の話である。
上の話は、安倍政権が、集団的自衛権の行使容認の閣議決定を、発表する前のこと。

今は、もう、その決定がなされた後である。この決定について、論者の中には、これで却って「集団的自衛権が発動できない」ことになった、と解説する人々がいる。安倍首相が述べた事は、個別的自衛権である、と主張する人々がいる。

公明党の山口代表もその一人だ。山口代表は、週刊朝日にインタビューに答えて、こう言っている。

『公明党は昨夏の参院選でも「行使容認に断固反対」と言っていたのに、なぜ変わったんだとの批判を受けています。

私が反対していたのは、外国の防衛を目的とする全面的な集団的自衛権の行使。

今回の閣議決定ではそれを認めていません。あくまで自国防衛のための武力行使で、限定的なものになっています。いわゆる集団的自衛権は認めていない。個別的自衛権に毛が生えたものと、そう理解しています。』(7月25日 掲載分)

要するに、大した解釈の変更ではない、と言っている。基本的には、「従来の解釈と何ら、変わりはない」と言う認識である、と述べている、のである。

4) 「この度の戦い」は、「公明党が勝利を得た」

この山口氏の認識が正解である、と言うのである。最近知られるようになって来た、佐藤優氏などが言っている。佐藤氏は、「この度の戦い」は、「公明党が勝利を得た」、とまで極論する。

果たして、そうなのであろうか。
「限定的な容認である」
「三要件が満たされない限り、行使はない」
「自衛隊が海外に出て行って、武力行使をすることは、絶対にない」

本当に、これらの言葉を信用していいのであろうか。後藤田氏のいう「アリの一穴」のたとえ話を忘れてしまって、いいのであろうか。私には、とてもそうは思えない。肝に銘じておくべき話である、と思う。

(2014/7/28)