2014年7月3日木曜日

多事叢論:松阪市の山中市長が、閣議決定が無効だ、との確認を求め提訴へ。

勇気ある行動だ。
安倍首相に内閣不信任案さえ出すことをしない、国会議員らに較べれば、ずっと立派である。


1) スポーツ報知が伝えた


何と一般紙でなく、スポーツ紙のニュースである。


『三重県松阪市の山中光茂市長(38)は3日、市役所で記者会見を開き、集団的自衛権の行使を可能とする閣議決定は国民の平和的生存権を保障する憲法に反するとして、決定は無効だとの確認を求めて提訴する考えを表明した。


 全国の首長や議員、一般市民に提訴への参加を呼び掛けるという。活動の受け皿として、近く「ピースウイング」と名付ける市民団体をつくる方針も明らかにした。
訴訟を起こす理由について「愚かな為政者が平和を壊した後で、現場で当たり前に生きている人が平和を取り返すことは難しい。違憲だと法的に確認することが大事だ」と強調した。

 集団的自衛権に関しては「戦争を仕掛けられるきっかけを与えないことが重要だ。平和主義を徹底することが戦争抑止につながる」と述べ、容認すべきでないと訴えた』(スポーツ報知 7/3)
2) 山中光茂市長の論理は、筋が通っている
筋に通った、論理である。
だが、果たして、裁判所が受理するであろうか。
こういう、「高度に政治的」ことに関しては、審査しない、というのではなかろうか。
裁判所が、これまでの前例に倣い、受け付けない可能性が高い。
国民に対して、「具体的な、違憲行為がない」と判断して、審査を回避するのでなかろうか。
法律の専門化ではないので、確かな事は言えない。
しかし、法律は、本来、予防措置的な面があるはずだ。
犯罪を未然に防ぐ、と言う面を含むはずである。
そのことからすれば、現に「国民の平和的生存権を保障する」ということが侵害される可能性が大きいのであるから、裁判所は、訴えを受理すべきである、と考えられるのではなかろうか。
3) 国会議員は何をしている
山中光茂市長が、このような努力をしている時に、国会議員は何をしている。
寝ているのか。
それでも国会議員か。
いまこそ、その職務を果たすべき時ではないのか。
国会は、内閣の上位機関のはずだ。
何故、不信任案を上程しない。
51名いれば出来ることではないか。
1党だけで無理なら、党派を超えて集めれば、いい事である。
真に日本国憲法を守る意思があれば、出来るはずだ。
また、そうすべき責任がある。
これは憲法に、はっきりと記載されていることである。
日本国憲法を蹂躙した安倍内閣に、不信任案を出さない、ということになれば、国会が、安倍内閣を、許したということになる。
日本国憲法に違反した安倍首相を、認めたことになる。
そのことは、日本国憲法を守るべき立場にある国会が、その憲法に違反したことになる。いわば、共犯だ。
それで、本当にいいのか。
4) このままでは、急性アノミー状態になり、犯罪が蔓延する
法律を作るべき立場にあるものが、法律を違反したものを、見逃すのか。そんなことをすれば、今後の日本社会は、崩壊するであろう。
急性アノミー状態になり、犯罪が蔓延することになろう。それでも、犯罪者らに何も言えないであろう。
内閣総理大臣自らが、憲法を破ったのだ。それを国会が、見逃したのだ。今後、誰が、どう言って、犯罪者らを裁ける、というのだ。
裁判所は、言い訳をせず、訴えを受理し、真摯に、判断を下すべきだ。それが司法としての義務であろう。
裁かれるのは、司法である。この事を、よく考えるべきであろう。
(2014/7/3)