2014年6月30日月曜日

多事叢論:CSC条約(国家間の原発事故保障)の締結は、日本の利害に反する。

れで、本当に成長戦略と言えるのであろうか。
国民の生活と暮らしを守る、ことが出来る、と思っているのであろうか。


1) 東京新聞の記事から、伝える

原発の再稼働を進め、今また、このような条約を取り結ぼうとする、安倍首相の姿勢は、何の反省も見られない、反日本的、ともいえるものである。

『政府は、原発を持つ国同士が重大事故時の賠償金を支援する条約を、米国などと結ぶ方針を決めた。表向きは被害に備えるためだが、条約では事故の賠償責任は発生国の電力会社が全て負うルールで、本当の狙いは、日本から原発輸出をしやすい環境づくりにある。条約加盟で、日本は脱原発からさらに遠ざかる。 (岸本拓也、山川剛史)

 この条約は、米国が中心の「原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)」。日本が加われば発効条件を満たすため、米国はかねて参加を強く求めていた。安倍晋三政権は既に米国に加盟の意思を伝え、今秋の臨時国会に承認案を提出する準備を進めている。』(東京新聞 6/30)
http://www.tokyonp.co.jp/article/national/news/CK2014063002000107.html

2) 何故、これが、「日本から原発輸出をしやすい環境づくり」になるか

「原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)を結ぶことが、何故、日本から原発輸出をしやすい環境づくり」になるか、そこをしっかりと、よく読む必要がある。

記事の、「原発を持つ国同士が重大事故時の賠償金を支援」する条約である、と言う点に、注意が必要である。

実に分かりにくい条約である。
国の義務と、メーカーの義務とが錯そうしていて、まるでトリックに引っかかったような気がする。

だが、次の文章を読めば、良く解る。

この条約には、「わが国メーカーが海外にプラント輸出する場合、(中略)原子力事故の責任を免除される」明記されていた、というのだ。

3) 儲け」はメーカーが取り、「リスク」は国が取る

なんと、メーカーの責任が、回避されることになっている。
儲けはメーカーが取り、リスクは国が取る、という全く、メーカーさま様の、条約である。

だから、「日本から原発輸出をしやすい環境づくり」になる。
カラクリは、ここにある。

もちろん、福島の東電の事故が示すように、国が責任を持つ、ということは、結局は、国民が責任を持つ、ということである。

国民の支払った税金で賠償金が支払われる、と言う仕組みだ。

これでは、社会主義と変わりがない。
いつから、日本は、社会主義に変わったのであろうか。

4) この条約は、国民の命も、暮らしも守ることには、ならない

安倍首相が、せっせと、原発外交に勤しんでいた訳は、ここにあった。
大企業には、大幅な減税を施し、国民には、大きな負担を強いる。

全く、企業優先の姿勢が、露骨に見えている。
これが、「アベノミクス」と言われるものの正体であろう。

このような条約を結ぶことは、決して、国民の命も、暮らしも守ることには、ならない。

(2014/6/30)