2015年11月28日土曜日

前途多難「”1億総活躍”に対し、自民党や知事から批判の声」

前途多難の船出となった。安倍政権の緊急対策に対して、早くも、「批判の声」が出されている。「1億総活躍」についてのことである。しかも、それは、自民党内や、全国の知事会からの声だ。
 
まるで、政府の広報誌のようである。大手のマスコミが、この話題を取り上げない日はない、ぐらいの「異常」な事態が起きている。昨日も、毎日新聞が、この話題を取り上げた。

しかし、マスコミが騒げば騒ぐほど、「ボロ」が露呈し、安倍政権の「いい加減」さが、国民の前に明らかになっている。


 「1億総活躍」に対し、与党や地方から厳しい声=「BIGLOBE」(+「毎日」)

安倍晋三首相が重点政策と位置づける「1億総活躍社会の実現」に対し与党や地方から厳しい声が上がっている。自民党の1億総活躍推進本部では27日、政府の緊急対策に対して「全体のつながりが見えない」などの批判が続出。同日の全国知事会議でも、1億総活躍が打ち出されたことで「地方創生」が後退しているのではないかとの声が相次いだ。

 「ひどい中身だ。『実現できていない』と国民や野党にたたかれて、(来年の参院)選挙に突入していいのか」。木村義雄元副厚生労働相は自民党本部で開かれた推進本部で、加藤勝信1億総活躍担当相に不満をぶちまけた。直前の党総務会でもやり玉に挙がり、参院幹部は「総花的で何をどうしたいのか分からない」とため息をついた。

 党側が問題視するのは、子育て支援や介護の充実を打ち出したものの、財源が示されず、各府省の連携も不足しているとみられる点だ。わざわざ1億総活躍を掲げて期待に応えられなかった場合を懸念する声に対し、加藤氏は「来春に向けてしっかりと(正式なプランを)とりまとめていく」と繰り返した。


 自分を「アイドル化」

「全体のつながりが見えない」、「地方創生」が後退しているのではないか」との声が、相次ぐのは当然のことだろう。むしろ、出ない方が、おかしいぐらいである。

自民党の野田聖子氏や、石破茂氏でさえ、これは、党内で、「”了解された”ことではなく、突然に出てきたことだ」と証言している。

政府がいくら「緊急対策」を打ち出そうとも、――むしろ、性急に緊急対策を打ち出せば、出すほどに――「不審感」が広がることの方が、自然である。

そもそもが、この「1億総活躍」は、安倍首相が――安保法案の審議で、支持率が低下したので――参議院選を、意識して、打ち出してきた「イメージ戦略」の一環である。

「”1億総活躍”社会なるもの」を持ち出して、国民の意識を逸らすことが目的である。そうすることで、参議院選を有利に戦い、安倍政権を存続させることが、「隠された」動機である。

こう、考えることが出来るだろう。だから、安倍首相の「視線」は、国民へは向けられておらず、自身にフォーカスされている。安倍首相は、自分を「アイドル化」している。

安倍首相の関心は、自分自身にしかない。すべてが、自分に向けられ、残りの任期を無事に乗り切ることだけに、全精力が傾けられている。

いや、もしかすると、安倍首相は、2020年のオリンピックまで、「権力の座」に居座るつもりなのかもしれない。今の自民党の「現状」では、それが可能になる「条件」は、揃っている。

もし、それを阻むものがあるとすれば、それは、安倍首相自身であろう。それは、――言わずと知れた――首相の「健康問題」のことである。

今の、安倍首相の「”前途”を阻むもの」は、これ以外には、「存在しない」と言っても過言ではないであろう。

(2015年11月28日)