「マイナンバー・カード」は、現代の「赤紙」である。 そして、それは「1億総活躍」社会を支えるものだ。また「1億総活躍」とは、「一億総活用」のことである。
日本は、タテ社会である、と言われる。これに飽き足らず、「たこつぼ社会」と規定する人も現われた。
要するに、それほどまでの、閉ざされた世界に閉じ込められて生活をしているということであろう。
それだけに、その社会にだけ通用する独特の言葉を生み出した。それは、「東大話法あるいは東大用語」に代表されるような、その社会でのみ通用する独特の話法(用語)のことである。
業界用語というのも、それにあたる。官庁用語というのもある。その中でも、「霞が関用語」というのは、独特であると言われる。
◆ 「霞が関話法」の典型例
安保法案の審議が終わった途端に、安倍首相は、「一億総活躍」というスローガンを打ち出した。
先ごろ行った講演会で安倍首相は、この「一億総活躍」について、次のように述べた。
それは、「最も大切なことは、1億人の一人一人が家庭で、地域で、職場でもう一歩前に踏み出すことができる。それぞれの志望がかない、それぞれの能力を発揮でき、それぞれが生きがいを感じることができる社会を作ること」であるという。
そして、「若者もお年寄りも女性も男性も、難病や障害のある方々も、一度失敗を経験した人も、みんなが活躍できる社会を作る。そのために、一人一人の希望をかなえ、あらゆる制約を取り除く。こうした思いから生まれたのが『1億総活躍』」なのだという。
つまりは、「一人一人それぞれの人生を大切にする考え方が、1億総活躍である」と言うのである。
これらの言葉をそのまま素直に受け止めれば、確かにすばらしいことであり、ぜひ実現してもらいたいと思う。
だが、これをそのまま、世間で言われる言葉と、同じように受け取ってはならない。これこそが、「霞が関話法」の典型例であると思うからだ。
◆ 「1億総活躍」は、「一億総活用」のこと
「1億総活躍」と言うのは、「一億総活用」と読み替える必要がある。それは、これからは、あなた方の一人一人に「お国のために働いてもらいますよ」ということである。
そのために国が、働きかけていきます、ということである。
だから、「1億人の一人一人が家庭で、地域で、職場でもう一歩前に踏み出すこと」とは、「1億人の一人一人が、家庭で、地域で、職場でもっと、”国が楽が出来る”ように役割を果たしてもらう」と言うことである。
「それぞれが生きがいを感じることができる社会を作ること」というのは、「国のために役割を果たす事」でそれが実現できると思いなさい、ということだ。
そのためには、「若者もお年寄りも女性も男性も、難病や障害のある方々も、一度失敗を経験した人」も、「社会のあらゆる人々を動員」して「国家の目標」に向かってまい進して行ってもらう、ということである。
そのために「仕掛け」が、マイナンバー制度だ、と考えることが出来る。
「お年寄りも、難病や障害のある方々」も、例外なく、「参加してもらう」ということであり、それは、これまで以上に「負担」を背負ってもらうということだろう。
具体的には、「社会福祉への資金を減らす」ということなのであろう。病院でなく、自宅で療養できる人は、自宅に帰ってもらう。
障害があっても、自己の責任で「身の回りのことは、やって欲しい」ということになろう。あるいは、家族が協力し合って。
そのためには、今存在している、「あらゆる制約を取り除く」覚悟である、ということだ。これまでの「規制」も、「法律」も、関係がない。邪魔なものは、すべて取り除く、と言う覚悟だ、ということだろう。
◆ マイナンバー・カードは、「赤紙」
だから、もう「甘えは許されない」というのであろう。これは、「一億総活用」というような「生易しい」ものではない、のかもしれない。
その意味では、マイナンバー・カードは、現代の「赤紙」である。それどころか、「赤紙」以上である。「赤紙」は、まだ、例外があった。その対象は、限られていた。
だが、この「一億総活用」に、例外は許されない。
まさに、「棺桶」に足を突っ込むまで、とことん、使いたおす、という思想であろう。それは、誰一人として例外を許さない、と言う決意でもある、と観てとれる。
「恐るべき」、「すさまじい」社会が創りだされようとしている。
(2015年11月19日)
日本は、タテ社会である、と言われる。これに飽き足らず、「たこつぼ社会」と規定する人も現われた。
要するに、それほどまでの、閉ざされた世界に閉じ込められて生活をしているということであろう。
それだけに、その社会にだけ通用する独特の言葉を生み出した。それは、「東大話法あるいは東大用語」に代表されるような、その社会でのみ通用する独特の話法(用語)のことである。
業界用語というのも、それにあたる。官庁用語というのもある。その中でも、「霞が関用語」というのは、独特であると言われる。
◆ 「霞が関話法」の典型例
安保法案の審議が終わった途端に、安倍首相は、「一億総活躍」というスローガンを打ち出した。
先ごろ行った講演会で安倍首相は、この「一億総活躍」について、次のように述べた。
それは、「最も大切なことは、1億人の一人一人が家庭で、地域で、職場でもう一歩前に踏み出すことができる。それぞれの志望がかない、それぞれの能力を発揮でき、それぞれが生きがいを感じることができる社会を作ること」であるという。
そして、「若者もお年寄りも女性も男性も、難病や障害のある方々も、一度失敗を経験した人も、みんなが活躍できる社会を作る。そのために、一人一人の希望をかなえ、あらゆる制約を取り除く。こうした思いから生まれたのが『1億総活躍』」なのだという。
つまりは、「一人一人それぞれの人生を大切にする考え方が、1億総活躍である」と言うのである。
これらの言葉をそのまま素直に受け止めれば、確かにすばらしいことであり、ぜひ実現してもらいたいと思う。
だが、これをそのまま、世間で言われる言葉と、同じように受け取ってはならない。これこそが、「霞が関話法」の典型例であると思うからだ。
◆ 「1億総活躍」は、「一億総活用」のこと
「1億総活躍」と言うのは、「一億総活用」と読み替える必要がある。それは、これからは、あなた方の一人一人に「お国のために働いてもらいますよ」ということである。
そのために国が、働きかけていきます、ということである。
だから、「1億人の一人一人が家庭で、地域で、職場でもう一歩前に踏み出すこと」とは、「1億人の一人一人が、家庭で、地域で、職場でもっと、”国が楽が出来る”ように役割を果たしてもらう」と言うことである。
「それぞれが生きがいを感じることができる社会を作ること」というのは、「国のために役割を果たす事」でそれが実現できると思いなさい、ということだ。
そのためには、「若者もお年寄りも女性も男性も、難病や障害のある方々も、一度失敗を経験した人」も、「社会のあらゆる人々を動員」して「国家の目標」に向かってまい進して行ってもらう、ということである。
そのために「仕掛け」が、マイナンバー制度だ、と考えることが出来る。
「お年寄りも、難病や障害のある方々」も、例外なく、「参加してもらう」ということであり、それは、これまで以上に「負担」を背負ってもらうということだろう。
具体的には、「社会福祉への資金を減らす」ということなのであろう。病院でなく、自宅で療養できる人は、自宅に帰ってもらう。
障害があっても、自己の責任で「身の回りのことは、やって欲しい」ということになろう。あるいは、家族が協力し合って。
そのためには、今存在している、「あらゆる制約を取り除く」覚悟である、ということだ。これまでの「規制」も、「法律」も、関係がない。邪魔なものは、すべて取り除く、と言う覚悟だ、ということだろう。
◆ マイナンバー・カードは、「赤紙」
だから、もう「甘えは許されない」というのであろう。これは、「一億総活用」というような「生易しい」ものではない、のかもしれない。
その意味では、マイナンバー・カードは、現代の「赤紙」である。それどころか、「赤紙」以上である。「赤紙」は、まだ、例外があった。その対象は、限られていた。
だが、この「一億総活用」に、例外は許されない。
まさに、「棺桶」に足を突っ込むまで、とことん、使いたおす、という思想であろう。それは、誰一人として例外を許さない、と言う決意でもある、と観てとれる。
「恐るべき」、「すさまじい」社会が創りだされようとしている。
(2015年11月19日)
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