2015年11月20日金曜日

歴史観の強制の危険がある「”歴史を学び未来を考える本部”を設置=自民党」

歴史観の強制につながる、危険性がある、のではないか。
自民党は20日の総務会で、日清戦争以降の歴史を検証する安倍晋三総裁(首相)の直属組織「歴史を学び未来を考える本部」の設置を決めた。
結党60年記念式典を行う29日に正式に発足させ、本部長には谷垣禎一幹事長が就任する。

谷垣氏は総務会で同本部について「我が党の歴史はもとより、我が国の歴史を客観的に学ぶ場としたい」と述べ、了承された。・・・≫(「毎日新聞」)


 谷垣氏は「リベラル」ではない

「歴史修正主義」などの指摘を避けるため、谷垣氏の主導で議論を進めるのだという。しかも驚くべきことには、報告書さえ作成しない方向なのだという。

谷垣氏が主導すると、なぜ「歴史修正主義」という批判を受けなくなるのか、意味が不明だ。

谷垣氏が、「リベラル」だと思われているから、ということなのか。もし、そうであるなら、それはとんでもない思い違いである。

今や谷垣氏は、「リベラル」と評価を下せるような人物ではなくなっている。それは、「マスコミ懲らしめ発言」のことを考えただけでもよく解る。

谷垣氏は、あの時の責任者の木原稔氏を、安保法案が通過したとたんに、「無罪放免」にする処置をとった。このことは、谷垣氏が、あの事件をそれほどまでに、重要視していないということの表れだ。

あの時点では、安保法案の審議に影響があるから、「木原氏にペナルティを科した」が、安保法が成立したので、何の心配もなくなった。そこで、木原氏を自民党文部科学部会長に据えた。

国民の「言論の自由」を脅かすような発言を許した木原氏を、あろうことか、文部科学部の会長にしたのだ。これでも、谷垣氏を「リベラル」と呼ぶのか。(ほかにも、谷垣氏が自民党の幹事長として、「見逃した国会議員の例はたくさんあるが、ここでは省略したい)

私の観るところでは、今や谷垣氏は「タカ派」である、といってよいと思う。イメージがソフトな感じがするので、「ハト派」のように思えるが、その本質は「タカ派」だ。私はこう断じたい。


 「歴史観」の強制につながる

「我が党の歴史はもとより、我が国の歴史を客観的に学ぶ場としたい」というが、「日清戦争以降の歴史を検証する」ということなら、目的はあくまでも、日本が行ってきた戦争の歴史を跡付けるということだろう。

「我が党の歴史」は、あくまでも「付け足し」であろう。

それにしても、日本の国民を代表する国会議員が、「我が国の歴史」をわざわざ改めて学び直さなければならないとは、何とも情けないことだ。

しかも、それを総理大臣の直属機関にするのだという。そこで、誰を講師に呼んで学ぶつもりなのであろう。高名な学者を呼んでくるのだろうか。

もし、そうなら、「笑止」といわねばならないだろう。安保法案の審議においては、さんざん学者をバカにしたり、無視をした自民党の国会議員が、学者を読んで何を学ぼうというのか。

おまけに、「報告書」さえ作成しないとは、それでは「飲み屋さん」で「居酒屋談義」をやるのと変わりがないではないか。それとも、公にしてはまずいような「報告書」になる可能性があるので、作成しないということか。

そのような「いい加減な勉強会をすることなど、――たとえ、党内における勉強会と言えども――いやしくも公党であり、まして政権党である自民党に許されることとは到底、思えない。

このような機関を設置することは、最近とみに自民党が「右傾化」していることと無関係ではあるまい。そして、おそらく、その中心的な「検証」課題は、満州事変以後の歴史にあるであろう。

そして、日本は中国や韓国を侵略したのではない、という特定の「歴史観」を自民党の国会議員らに強制するつもりなのであろう。

(2015年11月20日)