2015年12月9日水曜日

アバディ首相=イラク政府の合意無き「部隊の展開」は、侵略行為

自身のFacebookの中で「イラク政府との合意なくイラク領内に展開されるいかなる外国の部隊も、我々は『侵略行為』とみなすだろう」と述べた。イラクのアバディ首相の言葉である。

もちろん、これは米国を念頭に置いたものであることは、間違いがない。



 イラクのアバディ首相の声明=「スプートニク」の記事

【3日木曜日、イラクのアバディ首相は、自身のFacebookの中で「イラク政府との合意なくイラク領内に展開されるいかなる外国の部隊も、我々は『侵略行為』とみなすだろう」と指摘した。

2日、米国政府のエルネスト報道官は「IS(イスラム国)戦闘員と戦うためイラクに約200人の特務部隊を派遣するとの米国の提案を、アバディ首相は支持している」と述べた。なお派遣についてのしかるべき決定は、先に米国防総省スポークスマンが明らかにしていた。

アバディ首相は、イラクに米国の特務部隊が派遣される可能性があるとの報道にコメントし「我々は、外国陸軍の限定兵力をイラクは必要としていないと、あらためて強く主張し、いかなる国にも、そうした部隊の派遣を求めない。我々は、そうした部隊の派遣を、侵略行為とみなすだろう」と強調した。】


 ブッシュ大統領の責任

当然のことである。このような声明を出すのが遅すぎたぐらいだ。いかなる国と言うのは、米国を指していることは、言うまでもないこと。

さすがに、イラクの政府も、米国の「傍若無人」ぶりに、我慢が出来なくなったようだ。それにしても、こうまではっきりと言うとは、「驚き」である。

ところが、米国は、IS(イスラム国)戦闘員と戦うため、イラクに約200人の特務部隊を派遣すると米国が提案し、それを「アバディ首相は支持している」と、2日に声明している。

米国は、アドディ首相が支持しているといい、その首相は、「侵略行為」と見なすと言う。本当に、米国は提案し、イラク側が、それを了承したのか。

もし、仮にそういうことであるなら、何故、アバディ首相が、このような声明を出す必要があるのか。本当のところは、米国が勝手に「決定した」ことなのではないのか。


米国は、今でも、イラクを米国の「植民地である」と勘違いしているのではないか。米国は、国連の決定を無視し、独自でイラクに侵略を始めた。

フセイン大統領を拘束し、勝手に裁判を行い、処刑した。その結果が、今のイラクだ。今のイラクの混乱をもたらした責任は、米国のブッシュ大統領にある。

だが、だからといって、米国が再びイラクで戦闘行為を始めることは、許されないことである。それは、新たな混乱をイラクにもたらすだけのことだからだ。

それは、イラクの国民に何のよい結果をもたらすことには、ならない。それは、イラクの国民自身が一番良く解っていることだ。

今日の混乱をもたらしたのは、米国のブッシュ大統領であり、米国である、ということを誰よりも自覚している。

もうイラクから出ていってくれ。二度とイラクに足を踏み入れないでくれ、というのがイラクの国民の正直な気持ちだろう。


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(2015年12月9日)

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