2015年12月23日水曜日

選挙対策だ「TPPは、国民総生産を実質で14兆円引き上げる」

国会審議対策であり、参議選の対策のためのものだろう。東京オリンピックに続いて、政府までが「水増し」の試算を行っている。TPPの発効に伴う経済効果を、実質で14兆円あまりになると見込んだようだ。国民総生産を押し上げると、試算した。
近く、その試算を公表する予定のようだ。  

だが、どのような試算をしようと、TPPは日本経済を破壊する。TPPは、米国による日本再占領を目論むものである、ことに変わりがないのである。


 国内総生産を実質で約14兆円、押し上げる=「毎日新聞」の記事から


環太平洋パートナーシップ協定(TPP)発効に伴う日本への経済効果について、政府が国内総生産(GDP)を実質で約14兆円(約3%)押し上げるとの試算を取りまとめる方針であることが22日、分かった。関税撤廃や通商ルールの統一などで貿易や投資が拡大すると見込んだ。24日に公表する。

 ・・・、新たな試算は効果が4倍超に拡大する。13年当時の試算は、農産品の関税がTPP発効と同時にゼロになるとの前提で、関税以外の通商ルール統一の効果も勘案していなかった。
 試算は、関税撤廃で見込まれる工業製品の輸出増や小売業や金融分野での外資規制緩和に伴う海外事業拡大を盛り込んだ。域内の外国企業による対日投資が促進され、日本国内の雇用も拡大するとした。農林水産分野は全品目の19%で関税が残るため、マイナスの影響は限定的と判断。ただ、条件の異なる複数の試算と示す方向だ。】


 「思惑」そのもの

TPP交渉参加前の、2013年3月の試算では、GDPの押し上げ効果を3.2兆円としていた。それが、急に14倍に膨れあがった。

毎日新聞」の記事は、「経済効果を最大限見積もることで、審議をスムーズに進めたいとの思惑もあるとみられる」と、結んでいる。


毎日がいうように、「思惑もあるとみられる」どころの話ではなく、むしろ「思惑そのもの」だろう。まずは、「国会優先ありき」で、国会審議を円滑に運ぶための「試算」であることは、「ミエミエ」である。

さらに、問題は、14兆円あまりの押し上げ効果の「期間」が示されていないことが、問題である。正式の発表において、いかなる数字が示されるのかは、その時になってみないと解らない。

もし、仮にこれが「単年度における効果」であるとすれば、消費税のさらなる引き上げは、必要がない、ということになる。

一億総活躍も必要がない、ということになるだろう。雇用は増大し、税金は増収が見込まれ、経済は活性化する。

「薔薇色」の未来が待っている、ということになる。「TPP万々歳」である。だが、果たして、この通りにいくのか。

「試算」というものは、投入する数字を少し変えれば、算出される数字は、何とでも、なる。計算式も、計算するもの「胸先三寸」である。


 「ISD条項は主権侵害、民主主義の否定だ」

かって、自民党の稲田政調会長は、TPPは「第3開国」どころか、「壊国」だ、と述べたことがある。自民党が野党時代のことである。

ところが、自民党が政権に返り咲くと、自民党が交渉すれば、「絶対」にうまくいく。「壊国」にはならない、と述べた。

「180度転換」する見解を表明した。また、中国を不愉快にまでして、何故TPP化、と述べたことがある。それは、どうなったのか。

さらに、「ISD条項は主権侵害、民主主義の否定だ」とも、言っていた。この時は、野党だったから、民主党を攻撃するために、「ウソやでまかせ」を言ったのか。

政治家は、自身の言った言葉に「責任を持つ」というのが、最低限の「ルール」だろう。「ISD条項」は、交渉で何とかなる「ルールではない」はずだ。

この「「ISD条項」こそが、TPPの主要眼目であり、これをもってして、米国は日本の「再占領」を構想している。だからこそ、稲田氏もあれほど、烈しい言葉で、民主党を攻撃したはずだ。

そのことは、対談の相手をした田中康夫氏が、一番よく解っていることだ。稲田氏は、米国のシンクタンクで講演をしたとき、私が自民党の「自民党の政策責任者をしています」とあいさつをしたことがある。

その稲田氏は、かって、民主党が推進するTPP交渉を「こき下ろした」人物である。その稲田氏が、180度の転換を計って、TPP交渉を称賛した。

このような人物が率いる「自民党」を、誰が信じると言うのか。このような人物がいる政党が与党である政権が出した「試算」を、国民が信用すると思っているとしたら、大きな間違いである。

(2015年12月23日)

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