2015年12月18日金曜日

傾斜生産方式による産業構造の転換と、三池闘争

<正村 戦後史(68)>
傾斜生産方式による産業構造の転換をはかったが、石油エネルギーへの転換が世界的に進行し、日本もその対応に追われた。こうした中で、行われたのが、石炭産業の「合理化」でした。


「合理化」と言えば耳触りがいいのですが、 その内容は、実際には「首切り」のことです。


 産業構造の転換と「首切り」(=合理化)

【予想以上に高い成長率の実現は予想以上に早い産業構造の変化をもたらし、幾つかの産業の斜陽化を促進した。

景気の高揚の行き過ぎによって生ずる国際収支の赤字を解消するために繰り返し実施された金融引き締め政策は、一時的に成長率を引き下げ、不況をもたらしたが、その不況のなかで構造的に斜陽化した産業がとくに大きな打撃を受けることになった。

1958年の「なべ底不況」のときには繊維、海運、石炭などの産業がとくに深刻な困難に陥り、人員整理が行われ、政府の援助が求められた。繊維産業では、通産省の行政指導のかたちで実質的な不況カルテルが実施され、操業短縮や設備廃棄が行われた。

合成繊維の登場などによって苦境に追い込まれた旧来の化学繊維(主としてレーヨン)産業では、生産の縮小と雇用の削減が避けられなかった。・・・・

・石油へのエネルギー転換が急速に進行したために、石炭産業の斜陽化はますますはっきりしつつあった。・・・

・1959年1月19日、三井鉱山は、6000人の希望退職募集、大幅賃下げ、労働条件と福利厚生関係費の引き下げ、職制の強化を内容とする合理化による会社再建案を労働組合に提示した。

1月27日、三鉱連(三井炭鉱労働組合)は合理化案撤回要求の闘争を指令し、3月以後、三池炭鉱を中心に連続ストを決行した。しかし、4月6日には、1324人(うち三池炭鉱は152人)の退職を受け入れて妥協した。

ほぼ、同じ時期に明治、住友、古河、杵島、日鉄などの石炭企業でも合理化案が提示され、争議が起こった。これらの企業では、三井鉱山の争議の前後にいずれも人員整理を含む合理化案を受け入れ順次妥結した。

三井鉱山では退職者が当初の合理化案にはるかに及ばなかったので、第2次合理化案の提示は必至であった。三鉱連の側では、会社側の合理化案にたいする対処の方針をめぐって意見の対立が起こった。

砂川、芦別、山野、田川の各炭鉱の組合は、指名解雇などの厳しい形態の整理を回避するためにはある程度の合理化案を受け入れざるをえないという態度を示した。

しかし、三池と美唄の組合は会社側の合理化案は実質的に組合活動そのものの破壊を意図しているとして強力な闘争を主張した。たしかに、会社側は、労働組合のこれまでの職場闘争を生産阻害行為とみなし、職場の労働組合活動家を「生産阻害者」として指名解雇の対象にしようとする姿勢をしめすようになった。・・・・

三池争議


8月29日、三井鉱山の会社側は、三井6山で合計4580人(うち三池で2210人)の人員削減、賃金の大幅削減、福祉関係の支出の削減、三池製作所(機械部門)の分離別会社化、職場規律の確立(労働組合の職場闘争の排除)を内容とする第2次合理化案を提示した。

三池以外の炭鉱では会社側の「肩たたき」(職制が個々の労働者に非公式に退職を勧告すること)の効果を含めて希望退職が予定人員に達した。しかし、三池炭鉱では2210人の予定にたいして142人の応募があたにすぎなかった。

11月になって中央労働員会の中山伊知郎会長が三池について斡旋を試みたが成功せず、11月12日には団体交渉が決裂した。12月2日、会社側は、三池炭鉱の1492人にたいして指名退職を勧告した。

指名されて退職勧告をうけたものには労働組合の活動家、社会党員、共産党員が多く含まれており、労働組合そのものの影響力の削減が会社側の主たる目標の1つであることがはっきりした。

12月8日、労働組合側は、三池地区で「解雇返上デモ」を行った。しかし、11日、会社側は1214人の氏名解雇を通告した。こうして、三井炭鉱は、労使の全面的対決の場となったのである。】


 「総資本と総労働の対決」

戦後すぐの第1次・2次読売争議、1948年の東宝争議、49年の東芝争議、54年の近江絹糸争議、60年の三井・三池争議等、昔の争議はいずれもその時期には一点集中の大争議でした。

武装警官、アメリカ軍の戦車、装甲車、それに戦闘機まで出動し、「来なかったのは軍艦だけ」と言われた東宝争議、「総資本と総労働の対決」と言われた三池争議」(<委員長のきまぐれ「週報」>さんのブログから、引用させていただきました)など、この頃の日本の労働組合運動からは、想像も出来ないような「闘い」が繰り広げられました。

この三池炭鉱の闘争は、新安保条約改定阻止に大きな影響を及ぼすことになっていったと思います。

次回は、さらに詳しくその内容を見ていきます。

(2015年12月18日)

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