<正村 戦後史(71)>
国会審議で、岸首相は「新安保条約における在日アメリカ軍にたいする日本側の防衛協力義務は、集団的自衛権ではなく、個別自衛権の発動だ」と答弁します。
この姿は、安倍首相と、そっくりです。
日本の国は、岸、佐藤、安倍と岸につながる「家系」によって、蹂躙されてきた、ということができると思います。
★ 新安保条約は、個別自衛権の発動
【4月10日、中国の主恩来首相は、全国人民代表大会における演説のなかで、「アジア・太平洋地域における相互相互不可侵条約が締結されれば、中ソ条約のなかにある対日条項は削除することも可能になる」と述べた。
・4月13日、外務省はアイゼンハウワーの訪日は6月19日に決定したと発表した。
・4月9日から炭労は臨時大会を開いて討議していたが、17日、藤林斡旋案拒否の結論を出した。三炭連は、三池労組を除いて中労委斡旋難を受諾して収拾するするという方針に傾いていた。
炭労加盟の他の諸組合がいずれも希望退職を受け入れる方向に動き、三井鉱山だけが突出した闘争をつづけてきたが、すでに限界にきているというのがその理由であった。
しかし、三井鉱山以外の炭労主力の代議員たちは受託に反対した。採決によって斡旋案拒否が決定すると、三鉱連は会場を去った。炭労大会は18日にようやく閉会となり、炭労幹部と三井鉱山以外の大手13組合の代表が三池労組とともに現地指導委員会を構成して闘争を再開した。
4月20日、岸首相は、「新安保条約における在日アメリカ軍にたいする日本側の防衛協力義務は、集団的自衛権ではなく、個別自衛権の発動だ」と答弁した。
同日、自民党は、衆議院安保特別委員会で審議日程の採決を強行した。川島幹事長は「単独審議も考慮中だ」と語った。安保改定阻止国民会議は、全学連の過激な行動を批判し、その反省を求める態度を決定した。これにたいし、全学連主流派は非難声明を発表した。
4月21日、文化人・芸術家などで組織されている安保批判の会は、政府与党の国会運営を批判し、岸内閣の退陣を要求するという声明を発表した。
同日、三池炭鉱労働組合は三鉱連を脱退して炭労に直接加盟することを決定した。
・4月22日、自民党は、野党の反対を押し切って安保特別委員会の議事を強行した。国会は混乱状態に陥った。社会党は非常事態宣言を発した。思想の科学研究会は、安保条約採決のまえに国会を解散して総選挙を実施すべきだと声明した。
総評と安保改定阻止国民会議が三池闘争勝利獲得・安保改定阻止中央決起大会を開催し、三井鉱山本社にデモを行った。4月23日、自民党は安保条約特別委員会の中間報告を求める動議を提出した。
この日、衆参両院議長はデモ対策のために警官5000人の出動を警察当局に要請し、社会党がこれに抗議した。同日、民主社会党が安保条約についての基本的態度を発表した。
1年まえの予告で安保条約を解消できるようにし、新安保条約の第3条(防衛能力を発展させること)と第5条(共通の危険への対処)を削除するなどというものであった。
5月5日、ソ連最高会議で、フルシチョフ第1書記兼首相は、ソ連領空を侵犯したアメリカの超高空偵察機U2型ジェット機を5月1日に撃墜し、操縦士を逮捕したと発表した。
同型のU2型機は前年9月4日に藤沢飛行場に不時着したことがあり、11月29日号の『週刊サンデー』に報道されたため、12月1日には国会で緊急質問が行われていた。
そのとき、藤山外相は気象観測用のアメリカ軍用機だ答弁した。アメリカは、現実にソ連国内で撃墜され、超高空偵察機の領空侵犯の動かぬ証拠がしめされたため、5月7日、偵察飛行の事実を認めざるをえなくなった。
のちには軍事偵察衛星による相手国領土の監視が日常化したが、この時点ではこの種の偵察機に情報収集を依存していたのである。】
★ 「事実を持って語らせる」
正村氏の「考察」は、章末で詳しく述べられているので、この時点においては、事実の記述に重点が置かれた文章になっています。
たんたんとした記述で「もの足りない」ように感じるのは、そのためです。
もともと、著者は「事実を持って語らせる」と言う方針のもとに、この本を「編んでいる」ので、こういう感じの文章になるのは、やむ得ないことと思います。
次回は、新安保条約の強制採決です。
(2015年12月22日)
国会審議で、岸首相は「新安保条約における在日アメリカ軍にたいする日本側の防衛協力義務は、集団的自衛権ではなく、個別自衛権の発動だ」と答弁します。
この姿は、安倍首相と、そっくりです。
日本の国は、岸、佐藤、安倍と岸につながる「家系」によって、蹂躙されてきた、ということができると思います。
★ 新安保条約は、個別自衛権の発動
【4月10日、中国の主恩来首相は、全国人民代表大会における演説のなかで、「アジア・太平洋地域における相互相互不可侵条約が締結されれば、中ソ条約のなかにある対日条項は削除することも可能になる」と述べた。
・4月13日、外務省はアイゼンハウワーの訪日は6月19日に決定したと発表した。
・4月9日から炭労は臨時大会を開いて討議していたが、17日、藤林斡旋案拒否の結論を出した。三炭連は、三池労組を除いて中労委斡旋難を受諾して収拾するするという方針に傾いていた。
炭労加盟の他の諸組合がいずれも希望退職を受け入れる方向に動き、三井鉱山だけが突出した闘争をつづけてきたが、すでに限界にきているというのがその理由であった。
しかし、三井鉱山以外の炭労主力の代議員たちは受託に反対した。採決によって斡旋案拒否が決定すると、三鉱連は会場を去った。炭労大会は18日にようやく閉会となり、炭労幹部と三井鉱山以外の大手13組合の代表が三池労組とともに現地指導委員会を構成して闘争を再開した。
4月20日、岸首相は、「新安保条約における在日アメリカ軍にたいする日本側の防衛協力義務は、集団的自衛権ではなく、個別自衛権の発動だ」と答弁した。
同日、自民党は、衆議院安保特別委員会で審議日程の採決を強行した。川島幹事長は「単独審議も考慮中だ」と語った。安保改定阻止国民会議は、全学連の過激な行動を批判し、その反省を求める態度を決定した。これにたいし、全学連主流派は非難声明を発表した。
4月21日、文化人・芸術家などで組織されている安保批判の会は、政府与党の国会運営を批判し、岸内閣の退陣を要求するという声明を発表した。
同日、三池炭鉱労働組合は三鉱連を脱退して炭労に直接加盟することを決定した。
・4月22日、自民党は、野党の反対を押し切って安保特別委員会の議事を強行した。国会は混乱状態に陥った。社会党は非常事態宣言を発した。思想の科学研究会は、安保条約採決のまえに国会を解散して総選挙を実施すべきだと声明した。
総評と安保改定阻止国民会議が三池闘争勝利獲得・安保改定阻止中央決起大会を開催し、三井鉱山本社にデモを行った。4月23日、自民党は安保条約特別委員会の中間報告を求める動議を提出した。
この日、衆参両院議長はデモ対策のために警官5000人の出動を警察当局に要請し、社会党がこれに抗議した。同日、民主社会党が安保条約についての基本的態度を発表した。
1年まえの予告で安保条約を解消できるようにし、新安保条約の第3条(防衛能力を発展させること)と第5条(共通の危険への対処)を削除するなどというものであった。
5月5日、ソ連最高会議で、フルシチョフ第1書記兼首相は、ソ連領空を侵犯したアメリカの超高空偵察機U2型ジェット機を5月1日に撃墜し、操縦士を逮捕したと発表した。
U2型ジェット機の残骸 |
同型のU2型機は前年9月4日に藤沢飛行場に不時着したことがあり、11月29日号の『週刊サンデー』に報道されたため、12月1日には国会で緊急質問が行われていた。
そのとき、藤山外相は気象観測用のアメリカ軍用機だ答弁した。アメリカは、現実にソ連国内で撃墜され、超高空偵察機の領空侵犯の動かぬ証拠がしめされたため、5月7日、偵察飛行の事実を認めざるをえなくなった。
のちには軍事偵察衛星による相手国領土の監視が日常化したが、この時点ではこの種の偵察機に情報収集を依存していたのである。】
★ 「事実を持って語らせる」
正村氏の「考察」は、章末で詳しく述べられているので、この時点においては、事実の記述に重点が置かれた文章になっています。
たんたんとした記述で「もの足りない」ように感じるのは、そのためです。
もともと、著者は「事実を持って語らせる」と言う方針のもとに、この本を「編んでいる」ので、こういう感じの文章になるのは、やむ得ないことと思います。
次回は、新安保条約の強制採決です。
(2015年12月22日)
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