2014年9月13日土曜日

 安倍首相 「紛争下では女性の名誉と尊厳が深く傷つけられた歴史がある」   

「紛争下では女性の名誉と尊厳が深く傷つけられた歴史がある」と述べた。
このような、持って回ったような言い方では、具体的に、どの国の、どの歴史的事実のことを指しているのかは、不明だ。


そのうえで、「深刻な反省のもとに、21世紀こそ女性に対する人権の侵害のない世界にしていく決意を共有したい」と、安倍首相が述べた。

政治家が、国民に向かって、理想や夢を語ることは、いいことである。
だが、その語られた内容が、「語った本人の行動」と整合性がなければ、__聞くほうにしてにしてみれば__すぐには、信じることが出来ない。

1) 日本経済新聞の記事より__。

都内で行なわれている、「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」が、分科会形式の討論に入った。

安倍晋三首相は、講演で、
来年には女性の地位向上を目指す国連組織の日本事務所を都内に開設することも表明」した。

『政府、経済界で女性の活躍できる社会づくりを議論する「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」は13日午前、都内で分科会形式の討論に入った。

これに先立ち、安倍晋三首相は講演で「紛争下では女性の名誉と尊厳が深く傷つけられた歴史がある。深刻な反省のもとに、21世紀こそ女性に対する人権の侵害のない世界にしていく決意を共有したい」と訴えた。・・・

首相は講演で、日本政府の取り組みについて「世界の女性が技術を習得し、それを生かして家計を助け、経済的に自立するお手伝いをする」と述べた。来年には女性の地位向上を目指す国連組織の日本事務所を都内に開設することも表明した。


 分科会に参加した岸田文雄外相は「日本は『誰一人取り残さない』という覚悟で女性の能力向上や権利保護など広範な支援を行っていく」と訴えた。

有村治子女性活躍相は「女性が輝く社会の実現は女性だけでなしえるものではない。男性、女性それぞれの思いを実現できる社会をつくり、次世代に引き継ぎたい」と語った。』=日本経済新聞 9/13


2) この社会に生きる人々を、男性、女性に分ける事に、違和感をもつ

政府、経済界が開いたということであれば、女性に経済活動に参加してもらう、という事が、主な目的であろう。


まず、「女性の活躍できる社会」という考え方そのものに、疑問を感ずる。

女性の活躍できる場は、政府、経済界が、考える事なのか、という事だ。
政府、経済界が期待しているのは、「産業界で、活躍している女性』を作り出したい、ということであろう。

だが、「産業界で、活躍している女性」だけが、女性として輝いているのか。

子育て中の女性、親の介護で毎日苦労が絶えない女性、自治会などで奉仕する女性など、要するに、経済活動に無縁な人__必ずしも無縁ではないのだが__は、女性として輝いていることには、ならないのか。

確かに、これらの人々は、経済的に見れば、__一見すると__生産活動とは、無縁な所にいる。
だが、よく考えてみれば、立派に、社会的に有用な活動をしている。

子育て中の女性は、子供を育てる、という、社会にとって、最も基本になる、重要な役目を果たしている。

親の介護で毎日苦労が絶えない女性も、行政では手が届かない所で、立派に、働いている。

自治会などで奉仕する女性も、地域社会のために、役立っている。
地域の安全、交流、一人暮らしの老人への声掛けなど、本来なら、行政が受け持ち、やるべきことだ。

もちろん、これだけに限らない。
自分のすきな趣味に生きている女性も、それはそれで、人生が充実しているのなら、輝いてみえることであろう。

経済的な、生産的な部門でのみ、活躍する事が、女性として輝いていることなはならない。
また、富を作り出すことだけが、生産的とは限らない。

財貨を産みだすこと。その生産に携わる者のみが、社会的に有用な行いをしている訳ではないのである。

岸田文雄外相の言葉も、大げさだ。
出来もしないのに、『誰一人取り残さない』などと言う言葉を口にすべきではなかろう。

覚悟をするのは良いが、せいぜい、「政府において可能な限り」遠い言葉で止めておくべきだ。
誰一人取り残さない』などと述べてても、誰も信じる訳がない。

「大げさな、リップサービス」と受け止められる。
悪くすれば、非常識と取られかねない。

少なくとも、国際的なな会議で使うべき言葉とは思えない。

最後に、有村治子女性活躍相のいう「男性、女性それぞれの思いを実現できる社会」と言う言葉には、違和感を持つ。


安倍首相がやったように、ただ、単に、女性を登用すれば、それで、女性を尊重した事に成ると思うのは、誤解も甚だしいと言わねばならないであろう。

より、根本的には、この社会に生きる人々を、男性、女性に分ける事そのものに、違和感をもつ。
これは、私の偏見であろうか。

(2014/9/13)