発足当時の委員 |
だが、これで、再稼働の公算が強まった。
1) 日本経済新聞の記事より
原子力規制委員会が、九州電力川内原子力発電所1、2号機(鹿児島県)について、安全対策が新規制基準を満たしているとの審査書を正式に了承した。
安倍政権は、地元自治体の同意を得やすくするための支援を進めており、今冬にも再稼働する見通しのようだ。
『原子力規制委員会は10日、九州電力川内原子力発電所1、2号機(鹿児島県)の安全対策が新規制基準を満たしているとの審査書を正式に了承した。再稼働に向けた安全審査の合格第1号となる。
一般からの意見募集では火山の噴火を心配する意見などが寄せられたが、可能性は「十分小さい」などとして結論を変えなかった。政府は地元自治体の同意を得やすくするための支援を進めており、今冬にも再稼働する見通しだ。
規制委は申請を受け昨年7月に川内原発の審査を始め、九電が示した地震・津波対策や重大事故への対応策などを検討してきた。九電が過去の地震を考慮して川内原発の最大の揺れは620ガル(ガルは加速度の単位)、最大の津波の高さは6メートルと見積もったことについて、規制委はいずれも妥当と判断した。炉心が損傷するような重大事故への対策も十分だとし、審査書で新基準に「適合している」と結論づけた。
残る手続きとして、九電は川内原発の改造工事の認可を規制委から取り付け、規制委による現場の検査も受けなければならない。すべての事務的な手続きを終えるには数カ月かかるとみられる。・・・
規制委による安全審査が終了し、今後の焦点は自治体や政府の再稼働に向けた判断に移る。再稼働にあたっては、鹿児島県など地元自治体の同意が必要だ。規制委は10月中旬以降、川内原発周辺で開く住民説明会で審査の内容や安全対策などを説明する予定だ。
再稼働は冬以降になりそうだ。政府は規制委の審査を合格した原発から順次稼働させる方針だ。・・・』=日本経済新聞 9/10
2) 原子力規制委員会は、安全性の審査をしているわけではない
原子力規制委員会の田中委員長は、7月16日に、規制委の審査について、次にように述べた。
「新基準についての、基準の適合性を審査したのであって、安全性を審査したわけではない」
「”安全化か”とを問われれば、安全だ、とは申し上げない。国会でもなんでも、そう申しあげてきたところです」
原子力規制委員会は、 「九電が示した地震・津波対策や重大事故への対応策などを検討してきた」
その結果、「規制委はいずれも妥当と判断した。炉心が損傷するような重大事故への対策も十分だとし、審査書で新基準に「適合している」と結論づけた」
と日本経済新聞の、この記事も書いている。
つまり、田中委員長が言うように、原子力規制委員会は、あくまでも、「新基準に適合しているかどうか」を審査している。
では、新基準とはいかなるものか。
原子力規制委員会のホームページでは、次のように、説明されている。(一部省略)
東電の事故についての反省から、『地震や津波等の大規模な自然災害の対策が不十分であり、また重大事故対策が規制の対象となっていなかったため、十分な対策がなされてこなかった』という事故前の基準を改めた。
だが、『この新規制基準は原子力施設の設置や運転等の可否を判断するためのものです。しかし、これを満たすことによって絶対的な安全性が確保できるわけではありません。原子力の安全には終わりはなく、常により高いレベルのものを目指し続けていく必要があります。』とのべる。
安倍政権は、世界最高水準の基準であると認めているようだが、規制委は、「(この新基準を)満たすことによって絶対的な安全性が確保できるわけ」ではない、と明確に、安全性については、否定している。
だから、「規制委の審査を合格した」からと言って、川内原発の安全性を、規制委が、保障したわけではない。
3) 原子力規制委員会は、何をする所か
原子力規制委員会設置法によれば、原子力規制委員会とは、次のようなものである。
『・・・原子力利用における事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立って、確立された国際的な基準を踏まえて原子力利用における安全の確保を図るため必要な施策を策定し、又は実施する事務(原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉に関する規制に関すること並びに国際約束に基づく保障措置の実施のための規制その他の原子力の平和的利用の確保のための規制に関することを含む。)を一元的につかさどるとともに、その委員長及び委員が専門的知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使する原子力規制委員会を設置し、もって国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする。』
そして、その第3条では、「原子力規制委員会は、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資するため、原子力利用における安全の確保を図ること(原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉に関する規制に関すること並びに国際約束に基づく保障措置の実施のための規制その他の原子力の平和的利用の確保のための規制に関することを含む。)を任務とする。』と規定されている。
つまりは、原子力規制委員会とは、あくまでも、「原子力利用における安全の確保を図ることを任務する」機関である、ということになる。
単に、「新基準に適合している」かどうかを審査し、判断するだけでは、規制委の本来の役目を果たしたとは言えないのである。
規制委は、川内原発が、「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全(が出来ており)・・・・ 原子力利用における安全の確保」が出来ているかどうかを、審査し、判断し、「安全である」という結論を出す必要がある。
その責務がある。
4) だれが、最終的な責任を持つのか
安倍政権は、「今回、改定されたものは、世界最高水準の基準であり、原子力規制委員会が、”安全である”と判断した原発については、再稼働する」と述べる。
田中規制委長は、「”安全か”とを問われれば、安全だ、とは申し上げない」と言い、安倍首相は、「原子力規制委員会が、”安全である”と判断した」ら、再稼働すると言う。
一体、誰が、最終的に責任を持つのか。
地震、火山の噴火について、これまでに、一度として、予知には、成功していない。
地震、火山の噴火の旅日に、甚大な被害にあってきた。
この度の、東電の事故は、地震、火山の噴火による災害が、自然災害に留まらないことを、実証した。
東電の事故は、今もって、全容が解明されてはいない。
また、現在、__事故から、3年が、経過したのに__溶け落ちた燃料が、どのような状態で、何処に存在するのかという事さえ、分らない。
このような状態で、再稼働をするのは、無責任極まる。
安倍首相は、常々、「国民の命と暮らしを守る」と述べている。
そうであるなら、川内原発の停止している事で、仕事を失った人々の生活を考えることが必要だ。
ただし、それは、川内原発の再稼働によらない方策を取ることが、重要だ。
≪関連サイト案内≫
*【社説】川内原発 規制委は安全に責任を=カナコロ 7/23
http://www.kanaloco.jp/article/75093/cms_id/92811
*規制委、九電に川内原発の審査合格書手渡し=日本経済新聞 9/10
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG1000C_Q4A910C1000000/
*川内原発 年内にも再稼働 =TV TOKYO 50th 9/10
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/newsl/post_74589
=47ニュース 9/11
http://www.47news.jp/CN/201409/CN2014091001001752.html
*川内原発再稼働を明言=地元に説明尽くす-菅官房長官
=時事ドットコム 9/10
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=fdg
*公募意見反映、形だけ 川内原発、疑問残し「適合」=東京新聞 9/11
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014091190070516.html
*火山の危険性は見直さず 川内原発「新基準」初の適合=中日新聞 9/11
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2014091002000258.html
*川内原発再稼働へ 40キロ圏内の水俣市は不安の声=テレビ熊本 9/10
http://www.tku.co.jp/web/news_article/%E5%B7%9D%E5%86%85%E5%8E%9F%E7%99%BA%E5%86%8D%E7%A8%BC%E5%83%8D%E3%81%B8-%EF%BC%94%EF%BC%90%E3%82%AD%E3%83%AD%E5%9C%8F%E5%86%85%E3%81%AE%E6%B0%B4%E4%BF%A3%E5%B8%82%E3%81%AF%E4%B8%8D%E5%AE%89%E3%81%AE?iframe=true&width=560&height=420
(2014/9/11)