2014年9月14日日曜日

LS:たとえ地球の裏側でも、日本に重大な影響があるなら、他国の防衛のためでも自衛隊を出す

石破氏は、驚くほどの率直さで、テリー伊藤氏の質問に答えている。
たとえ地球の裏側のことでも、日本の存立の危機なら、重大な影響があると判断出来たら、他国のためであっても、自衛隊を出す、と明解に述べた。

国家の「存立に重大な影響を与えるようなことであればやる」と言い切った。

だが、「最後は日本の民主主義がきちんと問われる」とした。


1) 『アサ芸プラス』の記事より__。


テリー伊藤が、石破茂氏と対談したもの。
石破氏が、率直に、テリー伊藤氏の疑問に答えている。

相手が、テリー伊藤氏という事もあってか、丁寧に分り易く、話している。
これまで、曖昧にしか説明されてこなかったことなど、重要な点を含んでいると思うので、ほぼ全文を掲載する。

ただ、長いので、3つに分けた。

2) 最後は、丁寧な議論しかない

この段の要点は、次のようなものである。

「日本国の存立に重大な影響を及ぼし、国民の権利が根底から覆される明白な危険である」
「これは日本を危うくする事態であります」
と判断すれば、集団的自衛権の発動が出来る。

ただし、「政府が判断しただけではもちろんダメで、国会が承認しなければ集団的自衛権の行使はできません」
つまりは、「最後は日本の民主主義がきちんと問われる」ことになる。

『石破 もし韓国から「助けに来てくれ」という要請があったとします。要請もないのに、「これが見捨てておかりょうか」みたいなのはダメですよ。要請があって「韓国が中国から攻撃を受けている」ということが「日本国の存立に重大な影響を及ぼし、国民の権利が根底から覆される明白な危険である」と日本が認めたとすれば、集団的自衛権の発動ができる。

テリー その時、韓国のほうが悪い場合だってあるわけじゃないですか。

石破 あります。

テリー その場合は、どうするんですか。

石破 ありえない話ではありますが、それは例えば、韓国が中国を侵略したというようなことですか。

テリー なぜそういうことを考えて質問させていただくかというと、イラク戦争の時、大量破壊兵器があるといってアメリカは突っ込んでいったけど、結局はなかったじゃないですか。今のロシアとウクライナだって、両方に主張があって、わかりにくいし。

石破 テリーさんがおっしゃるように、戦争の正義とは、国の数だけあるんですね。それぞれの国の言い分がある。だから例えば韓国が要請してきて、日本はそれを受け「これは日本を危うくする事態であります」と政府が判断したら、どうしてそういう判断をしたんだと国会で聞かれるわけですよ。

テリー そうですよね。

石破 だから政府が判断しただけではもちろんダメで、国会が承認しなければ集団的自衛権の行使はできません。だから、最後は日本の民主主義がきちんと問われるんですよ。

テリー でも、自民党が国会でも多数派になっているわけだから、結局それは政府と同じじゃないですか。

石破 いや、基本的にはかなり多様な意見を持った人々の集まりですから、そう安易に「右向け右」とはならないと思います。

テリー でもやはり、国をかけた大きな局面では、一枚岩になる可能性も大きいと思うんですよね。

石破 丁寧な議論しかないと思いますね。』=あさ芸プラス 9/11
http://www.asagei.com/26172

3) 距離的に遠くの国でも、存立に重大な影響を与えるのであれば、行く

ここでは、距離の問題が問われる。
いわゆる「地球の裏側」でも、行くのか、という事である。

―現実的には、考えにくいとしながらも、ー石破氏は、「たとえ地球の裏側であっても、その国が攻撃を受けたということが日本の存立に関わるような事態であると判断すれば行く」と、明解に述べる。

また、これまでの歴史に触れ、「日本の今までの戦争の歴史というのをきちんと検証しないと、アメリカの言うままとか、熱狂した世論に押されてとか、そんな判断をしかねない」とも述べた。

『テリー 韓国は日本に近いし、友好国だからわかりますけど、距離的に遠くの国というのはどうなんでしょうか。

石破 距離で制限を設けるべきか、という問題ですね。たとえ地球の裏側であっても、その国が攻撃を受けたということが日本の存立に関わるような事態であると判断すれば行く。現実には考えにくいケースではありますが。

テリー そうすると、例えば石油は日本の存立に関係するということも言えますね。そういう利益のことをいうと、どこの国とも日本は利害関係があって、そこもまた難しいところですね。

石破 何度も申し上げますが、それが存立に重大な影響を与えるようなことであればやるが、ほとんど貿易もないし、あまり関係がない‥‥ということであれば行かない。

テリー そういう時に、それでもアメリカは行きました。「何で日本は来ないんだよ」って言われる可能性はないんですか。

石破 可能性はあるでしょう。そういうリスクは負わなければ何もできません

テリー その辺りが、国民も「わからないなあ」と思うところじゃないですか。

石破 ですから、これからわかってもらえるように一生懸命、説明します。日本の今までの戦争の歴史というのをきちんと検証しないと、アメリカの言うままとか、熱狂した世論に押されてとか、そんな判断をしかねないんです。ですから、私は問われているのは日本の民主主義であり、自民党も含めて、その時の政党だと思っていますよ。』=同上

4) 熱狂に駆られた決断というのは間違いを犯しやすい。

さいごに、ヒットラーを例にだし、「政治家って、熱狂に迎合したいという誘惑がいつもある」

「常に自分を自制するという部分を持っていないと、非常に危ないことになりかねない」と言う危険が、あるという。

「国民から歓呼の声で迎えられたいという誘惑にどれだけ勝てるか」
この事を政治家はいつも、心しなくてはならない、と締めくくっている。

『テリー それはそうですよね。それから、僕はテレビマンだから、もし自衛隊員が海外で亡くなったら、どんな報道のしかたが起こるのか、ということを考えるんです。アメリカだと、柩を星条旗でくるんで国に持ってきて、その映像をブルース・スプリングスティーンの「ボーン・イン・ザ・USA」と一緒に流して、テレビで放映される。そうするとアメリカ人がどんどん高揚して、右傾化していくということが実際にあったじゃないですか。日本でも、日の丸に包んだ柩の映像を流すと、どんどん日本が右傾化していくんじゃないか‥‥という気もするんですよ

石破 そこはもう一面あって、そういう悲痛な場面を報道することによって「こんなことはかわいそうじゃないか。戦いはもうやめましょう」という番組の作り方もできますよね。

テリー それはそうですけど、私は78割、高揚してしまうほうになるんじゃないかと思うんですけど。

石破 ですが、熱狂に駆られた決断というのは間違いを犯しやすい。

テリー そうですね。

石破 でも、政治家って、熱狂に迎合したいという誘惑がいつもあるんです。テレビだって、雑誌だって、視聴率を取りたい、販売部数を上げたいという誘惑がいつもあるはずなんです。だからメディアや政治家、世の中に大きな影響力を持っている人、あるいは媒体というのは、常に自分を自制するという部分を持っていないと、非常に危ないことになりかねないという気持ちは、私はいつも忘れたくないと思っています。熱狂にあおられてした決断は間違いのほうが多い。国民から歓呼の声で迎えられたいという誘惑にどれだけ勝てるかということは、我々はいつも心しなければいけないことなんです。ヒットラーなんて最たるものですよね。私は、どうやったら戦争にならないかをずっと考えているんですよ。』=同上

5) 安倍首相に、このような誠実さ、率直さがあれば、事態は違った

冒頭にも述べたように、石破氏は、驚くほどの率直さ、テリー氏の質問に答えている。

もし、安倍首相に、このような誠実さ、率直さがあれば、これほどまでに、紛糾しなかったであろう。

国会の議論も、十分に納得のいくまで、続けられたのではないかと思われる。
もっとも、石破氏が、総理大臣であったなら、安倍首相のような手法をとることはなかったであろう、と思われるのであるが。

これは、これで、ー是非は別としてーすっきりとした議論である。
 
(2014/9/14)