2015年8月20日木曜日

武藤議員離党の「顛末」 自民による異例ずくめの対応は、「不可解」

あまりの「手際の良さ」に、唖然とさせられる。
これまでの自民党とは違い、異例ずくめの対応は、「不可解」であり、驚かずにはおれない。 
未公開株取引のトラブルで、自民党を離党した武藤貴也議員の「顛末」のことである。 



◆ 「クサいものにはフタ」で、「責任逃れ」。それで、いいのか自民党

それだけに、何か「胡散くさい」ものを感じる。
そのまま素直には、受け取れないのである。

 「クサいものにはフタ」をして、それで、「責任逃れ」をした、としか思えない。
それでいいのか、自民党。それで、政権党としての「責任」を果たした、といえるのか、と言いたい。

私は、これは「仕組まれた劇」であって、武藤議員が離党を申し出たという形になってはいるが、その実、自民党の執行部が、議員に「離党届」を出させた。

それで、武藤議員による「一連の騒動の終息」を、自民党執行部が「謀(はか)った」、ということではないか。そう思う。

もし、そうだとすると、あまりにも、強引で、姑息なやり方である。
そのうらには、何か、「とてつもない」陰謀が、隠されている、とさえ思えるほどだ。


◆ 自民党執行部による「電光石化」の対応

事の発端は、「週刊文春」のホームページの記事にある。

「学生デモ批判 武藤議員が“議員枠未公開株”で4100万円集金していた」というタイトルで、8月18日の午後4時に、掲載された。

その書き出しは、こうである。
≪安保関連法案反対のデモを行う学生集団を<「だって戦争に行きたくないじゃん」という自分中心、極端な利己的考えに基づく>と批判したことで知られる武藤貴也・自民党衆院議員(36)に金銭疑惑が発覚した。≫

その後、このことについて、21時48分に「47ニュース」が、まず、報じた。
記事は、「知人に未公開株の購入を持ちかけ、出資金の返還をめぐりトラブルになっていると19日発売の『週刊文春』が報じることが18日、分かった。」と書いた。

次に、翌19日の11時48分にテレ朝が、「安保法制に反対する学生デモを批判した自民党の武藤貴也衆議院議員に金銭トラブルがあるという一部報道を受けて、自民党が調査する方針を明らかにしました。」と報じた。


◆ 「天の声」が、出されたか。「異例ずくめ」の対応と、谷垣幹事長の態度

の時点では、まだ、自民党内においては、「軽々な話もできませんので、事実関係を把握したうえでご報告させて頂く」(佐藤国対委員長)という認識であった。

この19日の午前に都内で、公明党の井上義久幹事長と会談した谷垣幹事長も、武藤議員の週刊誌報道に関して、「事実関係を把握した上で報告したい」と説明していた。(「東京新聞」)

武藤議員も、この時点(③)では、「ご迷惑をおかけした皆さまに心よりおわびする。今後、関係者らと相談し、きちんと対応したい」とのコメントを発表しているだけである。

ところが、この1時間後には、武藤議員、辞任(④)のニュースが、流れた。

で、谷垣幹事長の発言も、「ご自身がきちっと説明責任を果たさなければならない」と言う見解に変わった。

その後、谷垣幹事長は、武藤議員の離党を受けての会見では、
「それは残念なこと。政治家というのは世間でよく、自分の行動なり自分の意図していることが十分理解されることをよく考えながら行動しないといけないだろうと思う。若い方にはそういうことも修行していただきたいと思う」
と述べるまでに至る。(この部分は、十分理解されること「なく」、と表現すべきと思うのだが)

この一連の自民党の動きは、「疑念」が生じる。
どこからか、「天の声」が発せられたのではないか。

そう思える「異例ずくめ」の対応である。


◆ 「離党」しても、自民党の責任は、回避できない

さて、当の武藤議員の言動も、これまでの経過のことを考えれば、「不可解」である。
ホームページや、ツイッターでの書き込みのことでは、「撤回はしない」と頑強に抵抗した武藤議員である。



さらには、「一方的かつ事実と異なる週刊誌の記事のために議員辞職することはできません」とも述べる。

そうであるなら、「辞職はもとより、離党する」必要はない。
この件に関して、何一つやましいところがないのなら、離党することの方が、「不自然」である。

そうすることは、かえって疑惑を産むだけのことだ。
事実関係に関して、「法的な場所でしっかりと明らかにして(いく)」自信があるのなら、今でも、自民党の執行部に対しても、明らかにすることが出来るはずだ。

もちろん、それは、国民に対しても、同様である。
これでは、ますます国民の武藤議員にたいする「疑惑」は、深まるばかりであろう。

公明党が、「辞職では済まない」と述べるのは、当然だ。

それにしても、谷垣執行部のやり方は、あまりに姑息であり、「性急」過ぎる。
たとえ、武藤議員が離党しても、「公認」した責任はあるし、これまでの議員の「言動」を見過ごしてきたことは、「回避」出来ないことである。


(関連サイト案内)
武藤衆院議員の離党届受理 自民党紀委=東京新聞
金銭トラブル・・・武藤議員「法律違反」の可能性があるのか?=弁護士
週刊文春の“吐血”報道に首相の事務所が抗議=BIGLOBE
自民離党の武藤氏に与党からも説明求める声 =日経

※ (タイトルを変更、加筆して、再送しました。自民党内からは、離党したとたんに、「説明責任」を問う声(稲田政調会長など)が、出始めています。2015/8/21)

(2015年8月20日)