2015年8月2日日曜日

「米軍機を止められない」のは、「日米地位協定」があるからだ

当然の判決である。
だが、問題は、米軍機にある。
「日米地位協定」があり、米軍機を規制できない、のだ。

裁判所が、住民の「命と暮らし」のことを考えれば、こういう判決以外に、ありえない。
東京高裁は、厚木基地の自衛隊機の深夜・早朝の飛行差し止めを命じる判決を出した。


ところで、肝心の規制すべき相手である、米軍機。
高裁の判決は、これには、「手をつけ」なかった。

1) 朝日の記事から

東京高裁は、厚木基地の自衛隊機の深夜・早朝の飛行差し止めを命じる判決を出した。
判決で、飛行差し止めと賠償を、16年末まで「認定」した。

「米軍と自衛隊が共同で使う厚木基地(神奈川県)の騒音をめぐる訴訟の控訴審で、東京高裁は30日、一審と同様に自衛隊機の深夜・早朝の飛行差し止めを命じる判決を出した。
さらに騒音被害に対する損害賠償について、将来分まで支払うよう国に命じた。ただし、米軍機が2年後に移転する計画があることから、騒音をめぐる状況が「変化する可能性がある」とし、飛行差し止めと賠償が認められるのは2016年末までとした。」

この判決について、朝日は、日本各地での「基地騒音訴訟」へ の影響について言及し、次のように書いている。
「自衛隊機の飛行差し止めを高裁が認めたのは初めて。基地騒音訴訟で、判決日以降の将来分の賠償を命じたのも初めてで、過去最高の計94億円とした。各地の基地騒音訴訟にも影響を与えそうだ。」

高裁は、判決理由としては、次のように述べた。
「この日の高裁判決は騒音被害をめぐる一審の判断を踏襲。とりわけ睡眠妨害は健康被害に直接結びつくとし、『重大な損害を生じる恐れがあると認められ、公共性や公益性で否定することはできない』と述べた。」

2) 子供や「お年寄り」は、特に「十分な睡眠」がいる

 睡眠妨害が、「健康被害に直接結びつく」のは、間違いがない。

特に、「育ちざかりの子供」の取っては、十分な睡眠をとることは、健康のためばかりではなく、「勉学」のためにも、「どうしても確保」される必要がある。

また、「お年寄り」への影響も、気になる。
「足腰が弱ってくる」と、外に出て活動することがへる。

いきおい、「家で過ごすこと」が多くなる。
そうなれば、「逃げ場」がない。

子供だけでなく、「お年寄り」にとっても、睡眠は、重要である。
また、日常的に、「静かな環境」が必要だ。

ところで、問題は、自衛隊機だけのことではない。


3) 米軍機が自由に飛べるのは、「日米地位協定」があるから

問題は、米軍機にある。
厚木基地は、もともとは、「在日米軍基地」である。

戦争が終結して、マッカーサー連合軍総司令官が、初めて日本の地を踏んだのが、この厚木基地である。
このことは、日本の国民には、すでに膾炙(広くしられている)されていることだ。

それを、自衛隊が、ベトナム戦争を「きっかけ」にして、共同で使用できるようになった。
自衛隊機が、ここを使用できるのは、そのためである。

東京新聞は、この判決についての「社説」を載せた
その中で、次のように述べ、「政府の対応」を求めた。
「自衛隊機の夜間飛行を差し止める判断は、二審でも維持された。厚木基地(神奈川)の騒音被害は、想像以上にひどい。爆音の主因はむしろ米軍機の方で、政府は運用規制を米国側と交渉すべきだ。・・・
 今回の司法判断では米軍機について「使用を許可する行政処分がない」という理由で訴えを退けた。ならば、政府が米国側と協議すべきではないか。」
ところが、安倍政権は、上告する意向のようだ。
中谷大臣が、「受け入れがたい」という見解を表明した

 「当省といたしましては、一部ではあるものの、自衛隊機の運行を差し止めるなどとの判断、これは受け入れがたいことでありまして、今後の対応につきましては関係機関と十分調整のうえ、上訴することを検討してまいります」
集団的自衛権の行使容認を「実行しようとする」、安倍政権が、これを容認できないのは、「当然の事である」と、いえる。

同時に、米軍機の問題に「手を付けること」が出来ないのは、「日米地位協定」があるからだ。

それは、航空特例法(日米地位協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律)である。

この法律により、米軍機は、「日本の空」を、自由に飛び回ることが出来るのである。

※ 航空特例法と、「日米地位協定」については、改めて、記事を投稿したい。

(2015年8月1日)