2015年8月1日土曜日

社説比較 磯崎補佐官の「更迭」問題と、「法的安定性」議論

国会での混乱を避けるためには、「これ以外にとるべき道」は、ないという判断であろう。
磯崎補佐官の国会招致が、決まった。
当然のことである。
そこで、地方紙の社説を取り上げ、
磯崎補佐官の「更迭」問題と、「法的安定性」について、いかなる見解を示しているが、比較してみた。


1) 磯崎補佐官を、8月3日の委員会に参考人招致へ

「理事懇談会で鴻池委員長の裁断により、8月3日の委員会に参考人」としてよぶことになったと、民主党のホームページに、くわしい「経過」が、載っている。

「この参考人招致の実現を受け、4日に7時間コースで総理出席、NHKテレビ入りでの集中審議、5日には6時間コースで一般質疑を開催することを受け入れた」との記述もある。

このことをめぐり、マスコミの各社が、社説を掲載している。
この記事では、それを地方紙に限って、各社の結論部分について引用し、比較してみたい。

北海道新聞、東京新聞、信濃毎日、西日本新聞、琉球新報を、取り上げる。
特段の理由はない。
私が、普段に閲覧することが多い「webページ」だから、というだけのことである。


2) 各社の結論部分の比較

北海道新聞は、法案の撤回を主張した。
「だが民主党の福山哲郎幹事長代理は、86年の内閣法制局長官答弁や2004年の政府答弁書などで、歴代政権が限定的な行使も明確に否定していたと指摘した。
  横畠氏のこれまでの答弁は、福山氏が指摘した通り「虚偽」と言われても仕方あるまい。
 関連法案が憲法違反である疑いは一層強まった。首相が真に憲法や法的安定性を尊重していると言うのなら、法案を撤回すべだ。」

東京新聞も、撤回を求める記事になっている。
「誤った考えでつくられた法案を成立させるわけにはいかない。
 特別委は礒崎氏を三日に参考人招致することを決めたが、首相は礒崎氏を更迭し、安保法案を撤回すべきだ。安保政策の見直しが必要なら、法的安定性を重視する補佐官の下で出直すべきである。」

信濃毎日は、安倍政権の論理には、「説得力がない」として、撤回をすべき、とした。
「この点をただされても、政府は安保環境の変化など従来の説明を繰り返している。『憲法の範囲内だと完全に自信を持っている』と観念的な答弁を重ねる。説得力のある反論や説明ができない法案は撤回すべきだ。」

西日本新聞は、「撤回」については、言及を「避けた」記事になっている。
「日本への脅威が増しているのだから、法的安定性など細かいことは言っておられない-。安倍政権はそう考えているように見える。
 一見もっともらしく思えるが、実はこれが一番危ない。脅威や非常時を理由に『法の秩序』を軽視する姿勢を容認すれば、やがては軍事の暴走を招くからだ。
 礒崎氏の発言で「安保法案は合憲」とする政府の主張の基盤は、さらに揺らいだ。安倍政権はそれでも、法案成立へと突き進むつもりなのだろうか。
琉球新報。「ごり押し」は、許されず、「廃案」にすべきと、した。
「安保法案の審議は参院に舞台を移したが、首相らは衆院審議と同じ答弁を繰り返している。首相は『丁寧に説明』すれば国民の支持は広がると自信を示していたが、実際には法案への理解が広がるにつれ反対が増えている。そうした現状が念頭にあるのではないか。
 参院で法的安定性について正面から議論すべきだが、国民の大半が違憲と指摘する法案をごり押しするような暴挙が許されていいはずがない。現実を直視すれば、法案は廃案にするしかない。

3) 安倍首相は、「厳しい決断を迫られること」になった

いずれも、「厳しい」見解を載せた。
また、磯崎補佐官の「関係がない」という発言は、安倍首相の「気持ちを代弁するもの」という見方をしている。

いわば、磯崎補佐官と、安倍首相は、「一心同体」と観ている。

特に、北海道新聞は、「首相が真に憲法や法的安定性を尊重していると言うのなら、法案を撤回すべきだ」と述べ、安倍首相の「姿勢」に「疑問」を投げかけた、社説になっている。

これは、もし、磯崎補佐官を「更迭」しなければ、安倍首相は、磯崎補佐官と「心のなかでは、同じ気持ちでいる」という観方をしめしたものだ。

ここにきて、安倍首相は、「厳しい決断を迫られること」になったようだ。

(2015年8月1日)