2015年8月23日日曜日

安保法案は「完コピ」、「米国の要請」に応えるものと、政府を追及

「完全にコントロールされている。」
「誰の国なんだ、この国は。」
「いつ植民地を止めるんだ、今でしょう。」
このように述べて、安保法案は、アーミテージ・ナイ・レポートの「完コピ」。「米国の要請」に応えるものと、政府を追及した。

この過激な言葉が飛び出したのは、8月19日の参議院でのことである。
質問にたったのは、山本太郎議員。

「何なんだ、これ、アメリカの”リクエスト通り”じゃないか」と述べ、米国に「追従する」安倍政権を、批判した。


◆ 山本議員ほど、政府を追い詰めた議員が、いたか。

「生活の党と山本太郎となかまたち共同代表兼政策審議会長」という、長い肩書の議員である。
元俳優であり、日本の国民にとっては、おなじみの「タレント議員」だ。

天皇に直接手紙を渡し、「非常識だ」と、「国中」から、批判を浴びたことでも、「有名」な議員である。また、原発の再稼働に反対する活動に、国会議員になる前から取組んでいた。

これまでの「タレント議員」の例にもれず、あまり「たいした」業績を達成するとは、思われていなかった。これが、今までの、山本議員に対する、一般的な評価のように思う。

ところが、この、これまでの評価が、まったくの「誤り」であることを、今進行中の安保法案の審議で、証明をした。

それどころか、山本太郎氏が、国会議員として、「一流」であることも、明らかになった。

一体、どのような人物が、「秘書」として控え、どのようなスタッフを抱えているのかは、知らないが、相当の「切れ者」が、付いているように思える。

そして、そのレクチャを短期間で理解したとすれば、山本議員自身が、相当な「能力の持ち主」であると、判断して間違いがないであろう。

安保法案の審議において、これまで、数々の議員が、質問に立った。
だが、山本議員ほど、「具体的な事例」を挙げ、政府を追い詰めた議員が、いたであろうか。

安倍首相、中谷大臣、岸田外相らの「心胆を寒からしめる(きもを冷やさせる)」質問を、おこなった議員があるか。恐らく、ほとんどない、と言ってよかろう。


◆ 「第三次アーミテージ・ナイ・レポート」、「砂川判決」の欺瞞性を追求

特に、この日、8月19日の質問は、「愁眉」であった。
少ない時間をフルに使い、政府が「のらり、くらり」の答弁をすることを見越し、効果的な手法を用いた。

これまで、野党の議員が触れてこなかった(もしくは、あまり触れなかった)、「第三次アーミテージ・ナイ・レポート」を取り上げた。

さらには、安倍政権の安保法案の「正当性の根拠」にあげる、「砂川判決」(最高裁判決=田中判決)も、取りあげ、中谷大臣、岸田外相を追及した。

さすがの岸田外相も、「しどろもどろ」の答弁になり、また「ゴマカシ」の答弁をした。




◆ 山本議員は、「末恐ろしい」可能性を秘めた議員

私は、この法案の国会審議が始まる前に、ふたつの記事を書いて、この審議に対する意見を述べておいた。

①≪安保法制審議 「帝国議会」に燦然と輝く名演説を超えられるか≫

≪安保法制審議  率直で、心のこもった討論を期待する≫

①は、暗い時代と言われた戦前の『帝国議会』の例を挙げて、そのような時代にあっても、憲政史上に「燦然と輝く」演説を行う、「代議士」らがいた。

そして、一旦彼らが、「登壇」すると、政府を「取り潰す」ほどの「力のこもった」演説をした。当時、幅を利かせていた「軍部の代表」をさえ、「心胆を寒からしめる」演説をした。このことを紹介した。

②では、安保法案に審議が、充実したものになるよう、―英国のサッチャー首相の言葉を引用して―真摯で、心のこもった「討論」をおこなってほしいと、要望しておいた。

それは、同時に、国民の要望でもある、と思う。

山本議員の質問は、この「要望」に、十分すぎるほど、「応えたもの」になっている、と思う。
もちろん、山本議員のみが、この要望に応えているだけ、ほかの議員が「応えていない」と、言いたい訳ではない。

それにしても、山本議員は、「末恐ろしい」可能性を秘めた議員だ。
このまま、成長し、日本の政界を支える人物になって欲しいと、心から願う。

(関連サイト案内)
米国の為の安保法案だ 生活の党の山本代表=Economic News
なぜ政府答弁は基本的なことで揺れ動くのか?=水野けんいち
戦後の日米関係を再考する時を迎えている=山本正樹
今回の集団自衛権の解釈改憲は、あまりにも愚かな政治判断・・=山本正樹

※ (一部、文章を差し替え。タイトルも、変更して再送しました。)

(2015年8月23日)