一言も、「自分の言葉」では、語らなかった。
最後まで、安倍首相自身の口から、「侵略をした」とは、明言しなかった。
本日の参議院での予算委員会で、共産党の山下芳生委員が、「戦後70年談話」について、安倍首相に質した。
◆ 安倍首相は、最後まで、「日本が侵略をした」と、自身の言葉で語らず
山下委員は、「総理は日本が、植民地支配をしたという認識があるか」と、安倍首相に質問した。(ビデオでは、4:40頃より、井上委員の質問が、始まっている)
これに対し、首相は「戦後70年談話」を読み上げるのみで、質問には「正面」から答えなかった。
そのため、何度か、質疑が中断した。
だが、安倍首相は、最後まで、自分の言葉では、「我が国が、植民地支配をした」とは、明確には、答弁しなかった。
韓国に対しての、「植民地支配をしたか」という問いにも、「懇談会の認識を受け止めたもの」という答弁を繰り返し、これまた、「総理自身の考え」を、示さなかった。
それは、中国や太平洋の国々に対する認識でも、同様であった。
中国の国民に「大きな損害と苦痛」を与えたことについて、従来の政府答弁の見解を援用して、説明するのみで、これまた、「自分の言葉」で、述べることをしなかった。
総理は侵略については、一貫して、「認めず、語らず」という姿勢であった。
◆ 安倍首相には、「日本が侵略をした。植民地支配をした」という認識がない
安倍首相は、なぜ、自分の言葉で、「日本が侵略をした。植民地支配をした」と語らないのか。
それは、安倍首相自身が、「日本が侵略をした。植民地支配をした」という認識を持っていない、からなのではないか。
何としても、自身の口からは、「日本が侵略をした。植民地支配をした」という事を、言いたくないようだ。
このやり取りを聴く中で、私は、「戦後70年談話」が、何故あのような内容の「談話」になったのかについて、「納得」が出来た。
安倍首相は、もともと、「日本が侵略をした。植民地支配をした」という歴史認識
を持っていない、のだ。
だが、その「認識」をそのまま、安倍首相の「戦後70年談話」として語れば、国内はもとより、隣国から、「猛烈」な反発を受けることは、「明白」だ。
だから、従来の談話を引き継ぐという形の、「談話」にした。「私は」という主語を入れなかった。「入れたくなかった」ということなのだ。
私は、そう、「納得」をした。
◆ この委員会後の国政調査であれば、「70年談話」への評価は、違った
また、日露戦争に対しては、「植民地支配をされた国々の国民に勇気をあたえた」、という認識を示した。
井上氏は、さらに、「では、韓国の人びとにも、同じように勇気を与えたか」と、質問した。
これには、「反論」することが出来なかった。
首相は、何も答えることが出来なかった。
それは、「当然だろう」と思う。
まさか、「勇気を与えた」とは、「口が裂けても」答弁することは出来まい。
今日の委員会の審議は、NHKの中継が、入った。
このやり取りを聴いた後であれば、日本の国民の「戦後70年談話」への評価は、もっと低いものになったことであろう。
(2015年8月24日)