2015年9月7日月曜日

池上彰氏の「解説」が必要なのは、国民ではなく安倍首相である

今頃になって、何を「とぼけた」ことを言っているのだ、と思う。池上彰(元NHKアナウンサー)氏が、憲法と安保法案について、テレビで国民に「解説」をするのだそうだ。
だが、池上氏の「解説」が必要なのは、安倍首相らである。


一方、安保法案に反対する「デモ」の勢いは、止まらない。6日にも、東京や札幌で、廃案を求める人々のデモがあった。

8月30日におこなわれた「統一デモ」について、菅長官は、「一部の野党、マスコミから『戦争法案』『徴兵制の復活』などと宣伝されており、大きな誤解が生じていることはきわめて残念だ」と述べた。

果たして、本当にそうか。
このことについて、再度、考えてみたい。


1) 国民は、自分で判断をして、自分なりの「意見」を持っている

菅長官は、8月30日の「デモ」をおこなった国民に対して、「誤った認識を解く努力をしていきたい」とも、述べている。

これは、長官が、国民が「デモ」をしているのは「誤った認識」に基づいている、と判断をしているということだ。

つまり、菅長官は、国民が「だまされた」結果、「操り人形」にされ、「デモ」をした、と思っている。これこそ、「とんでもない」誤解である。

国民は、「だまされた」訳ではないし、「操り人形」になっている訳でもない。
「しっかりと理解」した上で、反対の「デモ」をしている。

池上氏は、
「国会で集団的自衛権の行使をめぐって議論になっているが『難しくてよく分からない』という視聴者が多いように感じていた。何が論議になっているか、もう一度整理する内容になっています。安保法制だと憲法9条だけが注目されるが、9条だけでなく憲法の意味や全体像も紹介します」
という「思い」で、この番組で「解説」をする予定のようだ。
だが、この池上氏の「認識」自体が、「誤り」である。

今頃になって、池上氏に憲法や安保法案について、「解説」してもらう必要はない。(もっとも、どうしても、「したい」というのなら、それは、勝手だが)

国民は、すでに、この安保法案について、しっかりと「理解」している。
安倍首相をはじめ、中谷大臣、岸田大臣らの「答弁」は、二転、三転している。

つまり、安倍首相をはじめ、中谷大臣、岸田大臣らこそが、この安保法案を、「よく理解していない」事を見抜いている。

また、彼らの「答弁」が、国民を「あざむき」、「だます」ものであるということを、理解している。

池上氏は、
「老若男女に見ていただきたい。今若者の間でもデモなどの動きがあるが『日本はこうなってしまう“らしい”』と憶測やムードで自分の意見を決めず、事実に基づいて、判断してほしい。この番組が見てくださった方の『自分の意見』を形成する一助となればいいなと思います」(同上)
と述べているようだが、「余計なお世話」である。

≪「日本はこうなってしまう“らしい”」と憶測やムードで自分の意見を決め≫ていると思うこと、それこそが、池上氏の「憶測」である。

この池上氏の「認識」も、菅長官と同様に、大きな「誤解」に基づいている。
いまさら、わざわざ、池上氏に「NHK流のご教授」を頂かなくとも、十分に理解している。

この法案に反対している国民は、「憶測やムード」で、自分の意見を決めているのでも、「デモ」を行っているのでもない。

池上氏の「講義」を必要としているのは、国民ではなく、むしろ、安倍首相や、中谷大臣、岸田大臣ら、である。


2) 安倍政権や彼らの「取り巻き」が、「騒げば騒ぐほど」、「デモ」に「脅威」を感じていることが、明らかになる

安倍政権や、与党の「2悪人」が、「誤解」によるものだと、いくら騒ぎ立てようと、「目覚めた」国民の意識を、「沈静化」させることは、もう不可能である。

8月30日の「全国的規模」においての、デモに引き続いて、東京や札幌で、廃案を求める大勢の人々がデモに加わり、「戦争反対、憲法守れ」などと訴えた。(「北海道新聞})

東京・新宿では6日、法案に反対する大学生らのグループ「SEALDs(シールズ)」と、分野を横断する研究者でつくる「安全保障関連法案に反対する学者の会」が、雨の歩行者天国でデモを主催し、学生や大学教員、市民ら約1万2千人(主催者発表)が集まった。・・・
 札幌市中央区の大通公園では、北海道弁護士会連合会と道内4弁護士会主催の反対集会とパレードが行われ、約2千人(同)が「私たちは戦わない!」と書かれたプラカードを掲げ、反対の声を上げた。≫
このたびの「デモ」は、中央に「司令塔」が、存在する訳ではない。その点で、確かに、「統一性」を欠いたものである、かも知れない。

それは、一面的には「負債」である、と観ることが出来る。
だが、他方において、それは、「資産」でもある。

この「経験」は、日本の国民にとって、今後、大きな「財産」となることであろう。
日本の民主主義を発展させる、大きな「エンジン」の役目をはたすことになろう。

この「デモ」に、「ケチ」をつける人々は、彼らの「エネルギー」に「恐れ」を抱いているのだ。だから、「難癖」をつけたがる。

「デモ」の参加人数に、「極度」にこだわるのも、それが理由だ。
12万人(主催者発表)だろうと、3万人(警察発表)だろうと、「たいした」違いはない。

あれだけの国民が、誰に「命令」されたわけでもないのに、国会議事堂前を「埋め尽くした」、そのことが重要なのである。

そして、それが、たんに国会議事堂前に限らない、という事が、貴重なのである。

安倍政権や彼らの「取り巻き」が、「騒げば騒ぐほど」、彼らがこの全国的な規模の「デモ」の動きに、「脅威」を感じていることが、よく解る。


(関連サイト案内)
安保関連法案反対集会:新宿ホコ天で 札幌大通公園で=毎日
安保法案 今国会で成立“反対”65.6%ー=NNN
デモは数が問題なのか=大阪日日新聞

(2015年9月7日)