2015年9月27日日曜日

「琉球人・先住民の人権」を国連に持ち出すことは、間違いか

≪この美しい海こそ、取り換えることのできない「自然の贈り物」≫
<「沖縄の基地問題」>
誰が、何と言おうが、この美しい海こそ、取り換えることのできない「自然の贈り物」である。一度、壊せば、二度とは、戻ってこない。

現在の日本は、単一民族という事になっている。
だが、これほどの「認識」不足は、ないであろう。
沖縄はもちろんのこと、北海道も、もともとは、日本ではなかった。

北海道が、日本でなかったことは、江戸時代のころか、それより少し前の「地図」を見れば、ハッキリとする。

沖縄も、もとは「琉球」と呼ばれていた。中学、高校と、あまり「勉強熱心でなかった」私は、このことを長じてから、知った。歴史を自分で学ぶ中において、知ることが出来た。


◆ 県連幹事長の「進言」と、「琉球人・先住民の権利」

このたびの、翁長雄志知事の国連での演説について、自民党沖縄県連の具志孝助幹事長などが、翁長知事と面談し、国連でのスピーチに注文をつけた。

幹事長は、知事に対し、「(名護市辺野古の新基地建設の反対を)”琉球人・先住民”の権利として主張しないよう要請した。このことについて、翁長知事は「基本的な考えは(自民と)違わない。基地問題で先住民ということに触れたことはない」と理解を示した。(「沖縄タイムス」)

この「約束」は、演説においては、守られた。だが、演説後のシンポジウムにおいて知事は、「踏み込んだ」解説をおこなった。

600年前に琉球王国ができ、営々と独立国家として存在したが、1879年、日本国に併合された。 沖縄は独自の言語を持っていたが、使用を禁止され、良き日本人として頑張るよう勉強した。」と述べたのである。

ここでは、「琉球人・先住民の権利」としての主張はないが、―1879年に、日本国に併合されるまでは― 600年前に琉球王国ができ、営々と独立国家として存在した」、という事実は語られている。

もともとは、「日本の国土ではなかった」という主張である。それが、江戸時代が終わるとともに、強制的に日本の国土に、された。「武力的威圧」を持って、併合された。


◆ 戦後の沖縄社会と、米軍基地

戦争中は、「日本で唯一の地上戦があり、20万人が亡くなった。県民は10万人を超えた。住民は日本軍と一緒に逃げ惑い、独自の言語を使うことで”意味が分からない”とスパイ扱いされ、殺されることもあった」と紹介した。

さらに、戦後の動きについては、「戦争が終わると米軍が占領。ふるさとから遠く離れた収容所に住まわされる間に米軍が土地を強制接収し、基地を建設した。沖縄県民が”どうぞ”と差し出した基地はない」と、その理不尽さを訴えた。


本土と違い、沖縄は、長期の占領を余儀なくされた。このことについては、「1952年、日本は独立と引き換えに、沖縄を米軍の施政権下とした。高等弁務官がすべてを取り仕切り、自己決定権はない。過酷な人権問題の中、27年間、大変厳しかった」と、当時を振り返った。

問題の「普天間飛行場」についても、「普天間飛行場も差し出した基地ではない。そこが住宅街で危ない、老朽化した、そんな理由でおまえたち(沖縄県民)が新しい土地を提供し、そこに普天間を移すと言われ」、(非常に)理不尽さを感じる」と、述べた。

県民が継続して行っている「基地移設反対運動」についても、「現場では県民が新基地を造らせないと抗議している。日本政府は無視するように工事を進める」と、安倍政権の姿勢を批判した。

「基地ができれば米軍が使うので米国も当事者だ。米国は日本の国内問題と主張し、日本政府は後ろで米国が認めてくれないと言い、たらい回しにされる」と、「米国訪問での経験」(?)を語り、両政府の対応を批判した。

「自己決定権、人権という意味でも他の都道府県と沖縄は違う扱いだ」と、沖縄の現状が、人間の、沖縄県民の尊厳を傷つけている、とした。


◆ 「沖縄大連合」と、「野党大連合」とで、安倍政権を追い詰める

日本政府や米国政府についての翁長知事の認識は、事実を語ったものであるし、その「要求」は、正当なものである。

安保法案が、「可決された」ことで、沖縄の置かれた立場は、ますます、「困難を極める」ものになってくると思う。知事の立場も、さらに「厳しく、苦しい」ものになっていかざるをえない。

この時にあって、「本土に住む」我々に出来ることは、何があるのか。このことについて、政治評論家の森田実氏が、ある「提案」を行っている。

森田実の提言(=森田モデル)は、次のようなものだ。

これからの野党は、沖縄の翁長沖縄県知事をリーダーとする、沖縄アイデンティティーに立脚して、辺野古米軍基地反対の一点で結束している、沖縄大連合を見本にする。それを東京と日本本土で、沖縄と同じことをする。

(それは)すべての野党勢力が、沖縄と同じように、安倍首相の戦争政策阻止の一点で大同団結して、「政局大転換をはかる方向へ進む」、というものである。

(ここからは、わたしの「アイデア」であるが。)さらに、「沖縄大連合」の勢力と、安倍首相の戦争政策阻止「野党大連合」勢力との、「統合」(丸めて、団子にする、という意味ではない)を計る。お互いに連携をとって、安倍政権を追い詰めていく。

そのことで、まずは、安保法案を「廃案」に持っていく。

その後をどうするか。問題は、ここからである。(この点については、別の機会に改めて、検討したいと思っている。)


(関連記事案内)
米海軍1968年再編案 沖縄撤退を検討 辺野古移駐も想定=沖縄タイムス
辺野古抗議の動画投稿、米軍は問題視せず=沖縄タイムス
埋め立て承認取り消し 29日以降 沖縄県=沖縄タイムス
米太平洋軍司令官「基地提供は日本の義務」辺野古推進へ=沖縄タイムス

 シンポジュウムでは、知事以外の発言にも、重要なものがありますが、そのことについても、別の記事で、述べたいと思います。

(2015年9月27日)