2015年9月26日土曜日

「土足で踏み込む、令状なし」の家宅捜索が、法治国家で許されるのか

もうすでにこの国は、「法治国家」ではなくなってきている。そのことを象徴する「事件」である。
東京では、「公安警察」が令状も見せずに、「土足」で家の中に踏み込み、家宅捜索を行った。
また、沖縄の辺野古では、テント村が襲われ、けが人が出た。しかも、こちらは、逮捕しただけ済ますつもりのようだ。」

1) 令状なしの、違法な「家宅捜索」

警視庁公安部公安第1課の、家宅捜索の件。これが、日本の警察の実態なのか。「背筋が寒くなる」ほどの光景だ。
≪9月16日の安保法案反対の国会前デモで、公務執行妨害容疑で逮捕された13人中6人が、いまだに勾留されている。警視庁公安部公安第1課は24日、6人のうち“ハンガーストライキ”で安保反対を訴えてきた学生1人について、彼が出入りしていたシェアハウス「りべるたん」(豊島区東池袋)に家宅捜索を強行。
 『日刊ゲンダイ』の記者が、取材で居合わせ、一部始終を目撃した。その時の「生々しい現場」を再現した記事を掲載した。

≪午後1時半。突然、シェアハウスのドアを乱暴に叩く音が鳴り響く。住人たちの反応も待たずに、警官が網戸をこじ開け、土足で踏み込んできた。あっという間に玄関に回り鍵を開けると、数人の警官がなだれ込んできた。玄関外にも約20人の警官がひしめく。≫
 令状を見せるように言うと、警官は「関係ねえよ!」と叫んだ、という。しかも、連絡を取ろうとする住民の手を、警官が抑えつけ、電話もかけさせなかった。撮影を続ける記者(日刊ゲンダイ』)には、2~3人の警官が跳びかかってカメラを押さえつけた。

これは、完全に違法捜査であり、「住居侵入罪」であろう。このような違法捜査において出てきた証拠(仮に何か出たとしても)は、「証拠」としては、使えない。

もちろん、このことは、公安も先刻承知の上で行っているのかもしれないが。もし、このような捜査が許されるのなら、もう、「法治国家」ではない。


2) 沖縄の辺野古基地前のテント村が、襲撃を受けた。

沖縄のへの基地の前のテント村が、襲撃を受けた。
沖縄タイムスが、次のように報じた。
19日夜から20日未明にかけ、政治団体の街宣車で乗り付けた約20人の男女が、名護市辺野古の新基地建設に反対する市民が常駐しているキャンプ・シュワブゲート前のテントに乱入した。
 居合わせた市民や県警の話によると、押しかけた男女は「テントをどかせ」などと罵声を浴びせ、横断幕やのぼりを引きちぎったり、カッターナイフで切ったりして乱暴を働いた。
制止する反対派市民ともみ合いになり、殴ってけがを負わせたとして襲撃した土木作業員の男性が傷害の疑いで、ほかに男性2人が器物損壊の疑いで逮捕された。≫
襲いかかった「暴漢ら」は、ツイッターを使って参加を呼びかけた上で、夕方から街宣車で威嚇(いかく)し、嫌がらせを繰り返していたらしい。

記事は、「昨年6月には、ヘリ基地反対協議会のテントが何者かに荒らされ、看板や掲示物などが壊される被害が出ているが、反対派の市民がいるときに公然と襲いかかってきたのは初めてである。」と書いている。

傍若無人とは、このことである。しかも、これは、安保法案が採決された翌日のことである。安保法案が、国会を通過したことで、「祝杯」を挙げる目的を持っておこなったことである、としか思えない。

そして、こちちらの「容疑者」は、逮捕されてはいるが、「家宅捜索」までは受けていないようだ。余りに片手落ちの捜査に思える。


3) 日本の社会は、「無法者」が跋扈する世の中に

安倍政権に歯向かった「デモ」の参加者には、家宅捜索を行う。一方で、安倍政権に歯向かって座り込みを続ける、基地移設に反対する人々を襲撃した「容疑者」は、大目に見る。

ハッキリしているといえば、それまでであるが、あまりにその取扱いが、ひどすぎる。安倍政権が、もし、このようなことを許すとしたら、沖縄の県民だけでなく、多くの「本土」の人間も、安倍政権のやり方を、容認することは、金輪際ありえないことであろう。

安倍首相が堂々と憲法を蹂躙し、違法な「安保法」を成立させたことで、今や、日本の社会は、無法者が跋扈(=大手を振って、のし歩く)する世の中となった。安倍首相をはじめ、中谷大臣、岸田大臣、自民党の高村副総裁、公明党の北側副代表らの「責任」は、重大である。万死に値する。

警官の不祥事も、気のせいか、このところ、目立つ。「上」が法律を守らなければ、「下」がそれに習うのは、理の当然である。


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(2015年9月26日)