2015年6月1日月曜日

安保法制審議 「日米防衛協力のための指針」の検討が急務  

シンガポールで行われていたアジア安全保障会議が終わった。
この会議において、米国が、日本に対する南シナ海関与の強化に期待していることが、鮮明となった。
日本側は、前向きに受け止めつつも、中国との緊張が続く東シナ海の対応で手一杯。米国の関心が特に高い共同哨戒は、引き続き慎重に検討していく構えだ。
ロイターが報じた。


焦点:日本の南シナ海関与に高まる米国の期待、共同哨戒は慎重検討=ロイター


 南シナ海で、中国と米国が、衝突する可能性がある


ロイターは、
共同声明は、日本の安全保障政策の変化にも言及。「地域及び世界の安全保障に、より大きな役割を果たそうとする日本の最近の取り組みを歓迎し支持した」とし、自衛隊の役割が南シナ海にまで広がることへの期待を強くにじませた。
と書いている。

南シナ海は、台湾のずっと南に位置する地域である。
この地図でもわかるように、多くの国が主張する海域が、複雑に入り組んだ地域である。

現在、中国が埋め立てをしていて、米国との間で、一発即発の危機に陥っている地域だ。
CNNは、31日には、 米国防長官、中国に南シナ海埋め立て作業の即時中止を要求 、と題する記事を掲載してもいる。

記事の最後では、米中央情報局(CIA)のマイケル・モレル元副長官が、南シナ海情勢をめぐる米中間の対立に関連して、両国が将来のある時期に戦争状態に突入する危険性を間違いなく抱えている、と述べたと紹介している。



◆ 日米の軍事同盟は、「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)が、基本

もちろん、この指摘は、重要だ。
だが、もっと重要なことが、声明文に 書かれている。
それは、「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)についてである。

日米豪防衛相会談共同声明 は、2項で次のようにいう。
日豪防衛大臣は、各々の米国との同盟の力がアジア太平洋地域の平和と安全にとって不可欠であることを再確認し、米国のこの地域へのリバランスに対する継続的支援を強調した。
この意味において、日米防衛大臣は、新たに策定された「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)に基づいて緊密に連携していくことを確認し、豪州及び地域の同盟国やパートナーとの3か国間及び多国間の安全保障及び防衛協力を推進していく共通の意図を確認した。
ここでは、日米防衛大臣が、先に改定された”ガイドライン”にもとづいて連携を強めていくことを確認した、ということが強調されている。
さらに、3か国間、多国間の同盟についても、検討されたようだ。


◆ 安保法制案の審議は、「日米防衛協力のための指針」との関係をただすべき

このことは何を意味するのか。
この”ガイドライン”の改定は、5月に、安倍首相が米国を訪問した時におこなわれた。

だが、それは、日本の国会の審議を経たものではない。
このようなことが行われたこと自体、国会を軽視するものであり、議院内閣制の原則にそむくものではないか。

安倍首相が、安保法制案を夏までに成立させると、米国での議会演説において述べたことが、問題視された。
だが、本当に問題になることは、安倍内閣が勝手に、ガイドラインの改定に応じたことではないのか。

今、日本の国会では、安保法制案に審議が行われている。
本来なら、この法案が、国会において審議、可決された後に、”ガイドライン”の改定を行うのが、適法な措置というものだろう。

今、国会で審議中の安保法制案がどうなるかは、まだ、分からない。
だが、それがどうなろうとも、これからの日米間での軍事作戦は、この「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)に沿ったものになる。

そうだとすると、今の安保法制案に審議について、野党は、この”ガイドライン”との関係について、もっと追及する必要があるのではないか。
むしろ、そのことを問いただすことこそが、重要なことではないか。

今日の国会審議を聞きながら、そう感じた。

(2015年6月1日)