2015年5月31日日曜日

未開封炭酸飲料は「武器」 米国の客室乗務員がイスラム教徒を差別

米国で、宗教差別がエスカレートしている。

 米国、ユナイテッド航空機を利用した、イスラム教徒の女性が、機内で差別を受けた、と抗議。未開封の炭酸飲料を注文したさいに、客室乗務員から、武器に使う恐れがある、との理由で拒否された。CNNが報じている。




未開封の炭酸飲料は「武器」 客室乗務員の発言が物議 米=CNN

◆ 今もって、ユナイテッド側からの正式の謝罪がない

これだけのことなら、ニュースになることはなかろう。
これがニュースになったのは、この客室乗務員が、他の乗客には、同じような対応をとらなかったから。

記事によると、この客室乗務員は、その直後、近くに座っていた男性に未開封の缶ビールを渡した。
「差別ではないか」とアフマド(差別を受けた女性の名前)さんが抗議すると、乗務員はいきなり男性の缶を開けてみせ、「武器にならないようにこうします」と言い放った、という。

こうなると、あきらかに、この客室乗務員は、イスラム教徒であるアフマドさんをを差別したという事が、明らかである。
この女性が、このことについて、フェイスブックに書き込むと、彼女を応援する投稿が相次いだという。

ユナイテッド側は、従業員や乗客を差別することはない、と主張。
アフマドさんに対し、理解を求める、とコメントを書き込んだ。
だが、乗務員やパイロットから謝罪を受けたものの、30日の時点で、ユナイテッドからの連絡はない、と記事は書いている。

◆ 29日にも、ムハンマド風刺画の展示集会があり、にらみ合いがあった

CNNは、昨日も、米国内におけるイスラム教徒への嫌がらせに対する記事を掲載した。
モスク前でムハンマド風刺画の展示集会、一触即発 米

米国、アリゾナ州フェニックスでのこと。29日。
「言論の自由」集会が開かれた。
イスラム教の預言者、ムハンマドの風刺画を、展示するためだ。

現場には、これに反対する人々も集まり、両者によるにらみ合いが続いた。
集会が開かれたのは、フェニックスにあるモスク(イスラム教礼拝所)「イスラミック・コミュニティー・センター」の前。

このモスクには、テキサス州で今月3日に行われたムハンマド風刺画イベントの会場で発砲し、警官に射殺されたエルトン・シンプソン容疑者とナディル・スーフィ容疑者が通っていた。

関係者は、この集会の目的について、「フェイスブック」上で、「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)とつながりを持つ武装した2人のテロリストがジハード(聖戦)を試みたテキサス州での襲撃事件に応答するものだ」としている、と記事は伝えていた。

◆ 自由の国、アメリカの名前が泣く

もし、これが反対の立場であれば、どうであろうか。
イエス・キリストは神ではない。
単なる人間にすぎない。
人類の救済者なんかではない。

このようなことを主張する、風刺画のイベントが行われても、米国人は寛容な態度で、接することができるだろうか。

米国人の祖先たちは、英国での宗教的迫害から逃れて、新大陸に渡ってきた人々であろう。
そうであるのに、今日の米国人の一部が、このような行動をとることは、自分自身を否定するに等しいことであろう。

それよりも何よりも、自由の国、アメリカの威信をおとしめる行為である。
なぜならば、宗教(信仰)に対する自由こそが、自由の出発点であり、原点。

しかも、それはキリスト教の歴史が教えることである。
その信仰の自由をめぐって、これまでに血を血で洗う戦いが繰り広げられてきたことは、十分に承知のことであるはずだ。

なのに、まだ、同じことを繰り返そうというのであろうか。
繰り返したいのであろうか。

今、自由で、広い心を持つ国という米国の看板は、大きく揺らいできている。
私にはそう思える。

(2015年5月31日)