2015年5月15日金曜日

安保法案についての安倍首相の会見 誠実さに欠ける

前回もそうであったが、全体に誠実さに欠ける、というのが正直な感想です。到底ありえないような状況を想定しての説明は、安倍首相自身が誠実さに欠けるところがある、と思わざるを得ません。

昨日の安倍首相のテレビ会見について、思うところを記事にしてみます。評論というよりは、会見から読み取れることについての感想と思っていただくほうが良い。書いている内にそのような文章になりました。









 安倍首相の会見

・・・ですから、私は、近隣諸国との対話を通じた外交努力を重視しています。総理就任以来、地球儀を俯瞰する視点で積極的な外交を展開してまいりました。
いかなる紛争も、武力や威嚇ではなく国際法に基づいて平和的に解決すべきである。この原則を私は国際社会で繰り返し主張し、多くの国々から賛同を得てきました。外交を通じて平和を守る。今後も積極的な平和外交を展開してまいります。

「近隣諸国との対話を通じた外交努力を重視 」といい、「地球儀を俯瞰する視点で積極的な外交を展開」という。これらが、どうして、近隣諸国との外交と関係するのか。

北朝鮮やロシア、中国などと本当に真剣な外交をしたといえるのか。
大いに疑問である。


ただたんに、世界中にお金を気前よくバラまいてきただけのことではないか。
しかも、現在の日本は、財政難のさなかにある。
消費税は10%に引き上げられようとしている。
社会保障費は削られ、また、教育予算などが削られようとしている。
その一方で安倍政権は、国民から、お金を吸い上げることばかり考えている。

 「日米安全保障条約」は。米軍はなぜ日本にいる

米軍と関係については以下のように述べた。
私たちのためその任務に当たる米軍が攻撃を受けても、私たちは日本自身への攻撃がなければ何もできない、何もしない。これがこれまでの日本の立場でありました。本当にこれでよいのでしょうか。
では聞こう。
米軍はなぜ日本の国に基地を作り、駐屯しているのか。
なぜ日本の各地に米軍基地がこんなにも多く存在するのか。
日本にある米軍基地

特に沖縄と、東京に集中している。
この地図を見ればわかるように、日本の首都、東京は、ぐるりと米軍基地に取り囲まれている。

米軍基地によって東京がとりかこまれている。この事は、日本は米軍にのど元に短剣を突き付けられているという事にほかならない。

これは、元はと言えば、先の大戦で、米国との戦争に負けたからである。だから、日本軍が武装解除された。それで、丸裸になった。

その代りに日本の国土に米軍が駐屯する。そして、日本の国土を守る。
これが「日米安全保障条約」に他ならない。

米軍が攻撃を受けても、私たちは日本自身への攻撃がなければ何もできないのではなく、初めから、それは想定されていたことである。

そうでないとしたら、何故、独立国である日本の国土に、かくも多くの米軍基地が存在する。
日本は土地を提供し、米軍の駐屯を許す。その代りに米軍が日本を守る。
それが取り決めではないか。

日本は他国に対して武力の行使が出来ない。
そういう憲法を持つ。
そして、そういう憲法を押し付けたのも、米軍である。

何故、日本が米軍を助ける必要がある。
日本が助けなければならないような米軍なら、必要がない。日本の米軍の基地もいらない。
米軍に日本から出ていってもらえばよい。

その上においての日米平和条約なら、歓迎する。
本来、安倍首相が説明すべきなのは、この点であろう。


 なぜ、「そのようなことは絶対にあり得ません」といえるのか

安倍首相は、集団的自衛権を行使することについて、次のように説明した。

私たちの命や平和な暮らしが明白な危険にさらされている。そして、その危機を排除するために他に適当な手段がない。なおかつ必要最小限の範囲を超えてはならない。この3つの要件による厳格な歯止めを法律案の中にしっかりと定めました。さらに、国会の承認が必要となることは言うまでもありません。極めて限定的に集団的自衛権を行使できることといたしました。
「私たちの命や平和な暮らしが明白な危険にさらされている」のであるとすれば、何も集団的自衛権を持ち出すまでもない。
自己防衛は、人間に固有の権利である。

集団的自衛権とは、自国への攻撃がなくても軍事同盟国への攻撃を自国への攻撃とみなして、共同して敵国に対処することをいう。
自己防衛とは、その本質を異にする。
決して、重なり合うところなどない。

専門家の中でも、これを誤解している。だから、このことを区別するのは、重要だ。
国民が、米国の戦争に巻き込まれる危険性を心配するのは、当然のことである。

このことについては、以下のようにのべた。
それでもなお、アメリカの戦争に巻き込まれるのではないか。漠然とした不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。その不安をお持ちの方にここではっきりと申し上げます。そのようなことは絶対にあり得ません。新たな日米合意の中にもはっきりと書き込んでいます。日本が武力を行使するのは日本国民を守るため。これは日本とアメリカの共通認識であります。
「そのようなことは絶対にあり得ません」というが、なぜそういい言い切れるのか。
およそ、この世の中で、「絶対にない」ということなど、ない。
そういっても過言ではない。

このことは、いくら安倍首相が言い切ろうとも、国民は納得しない。
「新たな日米合意の中にもはっきりと書き込んでいる」のなら、いったい、何をオバマ政権と合意し、約束をしたのか。

米国は安倍首相が言うようには、受け取ってはいない。
彼らは、二枚舌は使わない。
正直に言う。

安倍首相もこの際、オバマ政権と何を約束したのか、はっきりと国民に説明しべきである。
そうでないなら、首相の言葉を信用することは出来ない。

 後方支援とは兵站。戦闘そのもの

次に述べた安倍首相の言葉にこそ、大きな間違いがある。
ここは、この会見の中で、特に重要なところである。
我が国の平和と安全に資する活動を行う、米軍を始めとする外国の軍隊を後方支援するための法改正も行います。しかし、いずれの活動においても武力の行使は決して行いません。そのことを明確に申し上げます。
かの石原慎太郎氏でさえ、後方支援については、「公明党はずいぶん色々なことを言ったみたいだが、後方支援という言葉が出てくるが、後方支援とは兵站だ。戦闘そのものだ。そういうものの概念もはっきりさせずに後方支援という言葉で濁すのはダメだ」とはっきりと述べている。(注①)

後方支援が戦闘行為ではない、などという事を、自衛隊の最高指揮官である安倍首相がいえば、世界中の笑いものになる。

だから、「米軍を始めとする外国の軍隊を後方支援するための法改正」とは、戦争するための法改正である。
法律を改正をするならするで、はっきりと米軍の軍隊と一体になって、戦闘行為をすることも当然ありうる、と説明すべきだ。

あるいは、米国から要請を受けて断りきれなかった、というのなら、そう国民に説明すべきだ。
ここは決してあいまいにすべきところではない。

(注①)

中国は自滅したらいい」「(それが)世界にとって好ましい」「孫の代には中国の属国に…」石原慎太郎氏が直言=産経west

※ 長くなりました。ここでいったん筆を止めて、続きは、次回にしたいと思います。

(2015年5月15日)