この本を読むことで、「児島 襄」と書いて「こじま のぼる」 と読む、と初めて知った。生前、「じょう」と呼ばれることを極端に嫌った、と言われる。
「戦史もの」が多い、作家、著作者である。
読み始めるまでは、この本は「戦史小説」か、と思っていた。
以前、日露戦争を少し「見たこと」があって、なんとなく「小説」のように感じた。
「この本もそうかな」、と言う気持ちで手に入れて、読み始めた。
*
今年に入って、4月ごろから「昭和史」に関する本を、集中的に読むことにした。
何故か。
それは以下の理由による。
8月15日が近ずくと、年中行事のように、「靖国神社の参拝」が問題化する。
また、何かと議論の対象になる「南京城、陥落の時の事」がある。
それ以外にも、「尖閣列島」問題。
それに関連して?日中両国による、「軍備増強」問題。
また、先日は、商船三井の「戦後賠償」問題が、マスコミの記事になったばかりでもある。
これらは、すべて、「日中戦争」にその根源がある。また、私の母の兄のうち、3人が出征し、2人が戦争で亡くなった。
二人とも、20歳そこそこの若者であった。私は、その二人の叔父の顔を「写真」でしか、知らない。
それは、後の「太平洋戦争」においてではあるが。
その意味で、私にとっては、この戦争は単なる「歴史」ではない。
今まで、それを真剣に学ぼうとしなかったことを、今更ながらに、悔やむ。
*
まず、入門的なものを、と思い、中央公論社の「日本の歴史」(旧版)から読み始めた。
しかし、全集ということでページ数に制限があり、当然、各巻により担当者も違うので、「途切れ途切れ」の感がする。
また、昭和史を学ぶには戦史が欠かせないが、このシリーズでは、『太平洋戦争』(第25巻目)として、一冊にまとめられているだけである。
これでは、充分なものには、ならない。
大まかな流れしか、わからない。
そこで、児島氏の「戦史シリーズ」を読むことにした。
本当は大正時代を取り扱った、『平和の失速』から読み始めるのがいいのだろうけど、まずは、この本からにした。
*
活字が小さいが、文章は短くて、読みやすい。
難解な表現もない。
時系列に記述が進み(当然であるが)、流れが把握しやすい。
大まかな表題だけなので、付箋に「小見出し」をつけながら、読み進めた。
この付箋は、便利である。
最近は、赤鉛筆で傍線を引くことはなく、この付箋だけを使う。
これだと、後で読み返した時にも、邪魔にならない。
いろいろな大きさのものが売られている。
5センチ、8センチ幅のものもあり、メモ代わりにもなる。
「月と日」のみ、で書き進められている(多くの場合)ので、適時、西暦も加える。
これも付箋を使う。
*
戦史なので、戦闘場面も出てくるし、戦闘後の惨状も描かれている。
この点は、覚悟がいる。
だが、それを避けていては、読む価値がない。
(別に命を取られるわけではないので)苦しいが、我慢して読み進める。
とにかく、本当に、詳しく描かれている。
しかも、「中国」側の状況も詳しく描かれているので対比できて、その点がとても良い。
ただし、地名が見慣れない漢字が多いので、慣れるまでは多少の時間がいる。
また、読み進めるには、(本文にも載せてあるし、「見返り」にも、「奥付き」にも印刷されている)が、地図が欠かせない。
ただ、戦闘現場の自然の配置は、大まかにしか分らない。
これは現地の行かないと、日本にいては、到底理解できない気がする。
*
日本が、戦争の泥沼に入っていくきっかけを作った、「満州事変」の所がさらりと触れられていることに、少し不満が残った。
理由は分らないが、あまり「深入り」することをあえて避けた気もする。
事件を起こした経緯についても、触れられてはいない。
また、戦史ということもあって、日本国内の政治状況については、浅くしか記述されていない。この点は、『天皇』という書名で、5巻本が出ているのでこのシリーズの次に読みたい。
いずれにしろ、この本を読むことで、随分、日中戦争の様相が分ってきた。
これを読みながら、改めて、中央公論社の『日本の歴史』(旧版)を読むと、日本の昭和の歴史が良く分る。
(読んだ本について)
『日中戦争』 児島 襄著 VOL1 1925-1931
1984年版 423p
アマゾンの通販にて購入。一冊、1円から、500円ぐらいだった。郵送費の方が多くかかった。古書なので、小口などに、黄ばみがあるが、読むには問題がなかった。
図書館で借りるよりは、購入して良かった。現在出されている新シリーズより「歴史」を考えることができるように思える。もっとも、パラパラと見ただけなので…。
(2014年5月8日)
「戦史もの」が多い、作家、著作者である。
読み始めるまでは、この本は「戦史小説」か、と思っていた。
以前、日露戦争を少し「見たこと」があって、なんとなく「小説」のように感じた。
「この本もそうかな」、と言う気持ちで手に入れて、読み始めた。
*
今年に入って、4月ごろから「昭和史」に関する本を、集中的に読むことにした。
何故か。
それは以下の理由による。
8月15日が近ずくと、年中行事のように、「靖国神社の参拝」が問題化する。
また、何かと議論の対象になる「南京城、陥落の時の事」がある。
それ以外にも、「尖閣列島」問題。
それに関連して?日中両国による、「軍備増強」問題。
また、先日は、商船三井の「戦後賠償」問題が、マスコミの記事になったばかりでもある。
これらは、すべて、「日中戦争」にその根源がある。また、私の母の兄のうち、3人が出征し、2人が戦争で亡くなった。
二人とも、20歳そこそこの若者であった。私は、その二人の叔父の顔を「写真」でしか、知らない。
それは、後の「太平洋戦争」においてではあるが。
その意味で、私にとっては、この戦争は単なる「歴史」ではない。
今まで、それを真剣に学ぼうとしなかったことを、今更ながらに、悔やむ。
*
まず、入門的なものを、と思い、中央公論社の「日本の歴史」(旧版)から読み始めた。
しかし、全集ということでページ数に制限があり、当然、各巻により担当者も違うので、「途切れ途切れ」の感がする。
また、昭和史を学ぶには戦史が欠かせないが、このシリーズでは、『太平洋戦争』(第25巻目)として、一冊にまとめられているだけである。
これでは、充分なものには、ならない。
大まかな流れしか、わからない。
そこで、児島氏の「戦史シリーズ」を読むことにした。
本当は大正時代を取り扱った、『平和の失速』から読み始めるのがいいのだろうけど、まずは、この本からにした。
*
活字が小さいが、文章は短くて、読みやすい。
難解な表現もない。
時系列に記述が進み(当然であるが)、流れが把握しやすい。
大まかな表題だけなので、付箋に「小見出し」をつけながら、読み進めた。
この付箋は、便利である。
最近は、赤鉛筆で傍線を引くことはなく、この付箋だけを使う。
これだと、後で読み返した時にも、邪魔にならない。
いろいろな大きさのものが売られている。
5センチ、8センチ幅のものもあり、メモ代わりにもなる。
「月と日」のみ、で書き進められている(多くの場合)ので、適時、西暦も加える。
これも付箋を使う。
*
戦史なので、戦闘場面も出てくるし、戦闘後の惨状も描かれている。
この点は、覚悟がいる。
だが、それを避けていては、読む価値がない。
(別に命を取られるわけではないので)苦しいが、我慢して読み進める。
とにかく、本当に、詳しく描かれている。
しかも、「中国」側の状況も詳しく描かれているので対比できて、その点がとても良い。
ただし、地名が見慣れない漢字が多いので、慣れるまでは多少の時間がいる。
また、読み進めるには、(本文にも載せてあるし、「見返り」にも、「奥付き」にも印刷されている)が、地図が欠かせない。
ただ、戦闘現場の自然の配置は、大まかにしか分らない。
これは現地の行かないと、日本にいては、到底理解できない気がする。
*
日本が、戦争の泥沼に入っていくきっかけを作った、「満州事変」の所がさらりと触れられていることに、少し不満が残った。
理由は分らないが、あまり「深入り」することをあえて避けた気もする。
事件を起こした経緯についても、触れられてはいない。
また、戦史ということもあって、日本国内の政治状況については、浅くしか記述されていない。この点は、『天皇』という書名で、5巻本が出ているのでこのシリーズの次に読みたい。
いずれにしろ、この本を読むことで、随分、日中戦争の様相が分ってきた。
これを読みながら、改めて、中央公論社の『日本の歴史』(旧版)を読むと、日本の昭和の歴史が良く分る。
(読んだ本について)
『日中戦争』 児島 襄著 VOL1 1925-1931
1984年版 423p
アマゾンの通販にて購入。一冊、1円から、500円ぐらいだった。郵送費の方が多くかかった。古書なので、小口などに、黄ばみがあるが、読むには問題がなかった。
図書館で借りるよりは、購入して良かった。現在出されている新シリーズより「歴史」を考えることができるように思える。もっとも、パラパラと見ただけなので…。
(2014年5月8日)