2014年5月30日金曜日

安倍首相の記者会見は、「おためごかし」、米国の都合を優先させた。

安倍首相の、先日の記者会見は、やはり、「おためごかし」であった、ようです。
この記事によると、閣議決定をいそぐのは、年末の日米防衛協力指針(ガイドライン)見直し」に「まにあわせる」こと、が目的のようです。


安倍晋三首相は29日の参院外交防衛委員会で、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更に関し、年末の日米防衛協力指針(ガイドライン)見直しまでに閣議決定したいとの意向を表明した。また輸入原油の多くが通過する中東のホルムズ海峡を念頭に、シーレーン(海上交通路)に機雷が敷設された場合に除去するため集団的自衛権を行使する必要があるとの認識を示した】

 先日の記者会見は、「おためごかし」

「ホルムズ海峡」を念頭において説明をした、と伝えられていますが、何故、この前の、日本の国民に向けての会見で、話されなかった、のでしょうか。

あの会見の時にこそ、「このような認識」について、丁寧に説明をする必要があった、と思います。

それとも安倍首相は、日本の国民には、「難しすぎて理解できない」であろうから、説明を省いた、のでしょうか。

安倍首相は、いかにも、日本の国民の「命と暮らしを守る」ようなそぶりを見せながら、会見では肝心の論点をはぐらかした、と思います。

国民が「納得しそうな内容」についてだけ説明をし、もっと重要な場面での「集団的自衛権を行使」については、国民に説明を省いた、といえるでしょう。

もっとも大事な、この答弁のような事態に対して、いかに対応するか、についてこそ、しっかりと説明すべきでした。


安倍首相は、日本の国民に対して、「丁寧に説明する」と言いますが、このような態度では、到底「説明をつくした」とはいえないでしょう。

* 今回も、 米国の都合が優先された 

この記事の伝えるところでは、「集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更」は、安倍政権の都合と言うよりも、米国の都合が優先された、ということになる、と思います。

「アーミテージ報告書」が要求する内容に沿うよう、憲法解釈をし、法律を改正し、米国の先兵となって、自衛隊の海外での武力行使を、本格化させる、ということのようです。

もっとも、もうすでに、現在の日本の自衛隊が海外でおこなっている行為は、集団的自衛権の行使にあたり、明確に日本国憲法に違反しています。

イラク戦争への派遣、ソマリア沖での活動、紛争地域での平和維持活動(軍事力をともなうものであるので、軍事活動)への協力など、多くの実例があります。

自衛隊が海外まで出ていくことは、自衛権の行使の範囲を超えており、どう言いつくろってみても、許されることではありません。
このような事は、どう「屁理屈」をこねようと、憲法違反に当たります。

「髪の毛、一本ほどの隙間」をみつけて、強引に行われた、結果の事です。
一方で、このような現実がありながら、初めて集団的自衛権の行使、を容認するかのような言動は、欺瞞以外、何物でもありません。

ですが、この事に対しては、大手のマスコミや、政治家の多くは、「目をつむっている」ように思えます。

今回、安倍首相がやろうとしていることは、憲法違反である自衛隊の海外派兵を、堂々と出来るようにしようということ、なのでしょう。

戦前には、出先の軍部が勝手に、戦闘行為を行って、それが結局は、戦争に発展しました。政府は、出先の軍部に「ひっぱられる」と言う形でした。

それを今度は、政府が主導して、行おう、というのです。
狂気の沙汰、といしか言いようがありません。
とても、まともな意識の下にあるとは、思えません。

 「総力戦」の時代にあっては、「後方支援」こそが、重要

末尾に、「日米防衛協力のための指針」抜粋をのせておきました。

これを読むと、もうすでに、集団的自衛権の行使は、日本の政府によって、容認されており、米国とも確認済み、である、ということになります。

特に、「後方支援」というのは、明確に戦争行為にあたります。
「後方支援は戦争行為ではない」、と言う解釈がありますが、間違いです。
現代のような総力戦の時代にあっては、むしろ後方支援こそが、重要なのです。

「日中戦争」の時に、日本がやろうとした「媛蒋ルート」を断つための、インパール作戦は、その典型でした。
戦争においては、戦闘に必要な物資の補給こそが、不可欠のことなのです。

米軍も、「太平洋戦争」においては、日本軍の多くの輸送船を沈没させました。
それにより、肝心の、兵員の補充、武器、弾薬、食料の補充がほとんどできなくなり、現地の日本軍は、およそ考えられないような、みじめな戦闘をやるはめになりました。

物資の補給がとだえたこと(肝心の戦闘による、というよりも)で、多くの兵士が飢餓や空腹、病気で、倒れていった、のでした。

ですから、後方支援こそが、戦闘を左右し、ひいては戦争の結果を左右する、と言っても過言ではありません。

当然、その「後方支援」に対して、攻撃が加えられることは、避けられない、ことです。それは、直接に、日本の本土を目標にしたもの、になるでしょう。
これでは、かえって、日本の国民が、危険にさらされること、になるでしょう。

「日本や日本人を守る」と言いながら、かえって危険にさらすようでは、本末転倒である、と言わざるを得ません。(終了)

* 「日米防衛協力のための指針」の抜粋(参考のために)*

(目的) 日本に対する武力攻撃及び周辺事態に際してより効果的かつ信頼性のある日米協力を行うための、堅固な基礎を構築

2 日本のすべての行為は、日本の憲法上の制約の範囲内において、専守防衛、非核三原則等の日本の基本的な方針に従って行われる。

 III 平素から行う協力
2 安全保障面での種々の協力
 日米いずれかの政府又は両国政府が国際連合平和維持活動又は人道的な国際救援活動に参加する場合には、日米両国政府は、必要に応じて、相互支援のために密接に協力する。日米両国政府は、輸送、衛生、情報交換、教育訓練等の分野における協力の要領を準備する。

3 日米共同の取組み
日米両国政府は、このような共同作業を検証するとともに、自衛隊及び米軍を始めとする日米両国の公的機関及び民間の機関による円滑かつ効果的な対応を可能とするため、共同演習・訓練を強化する。また、日米両国政府は、緊急事態において関係機関の関与を得て運用される日米間の調整メカニズムを平素から構築しておく。

IV 日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等
2 日本に対する武力攻撃がなされた場合


日本は、日本に対する武力攻撃に即応して主体的に行動し、極力早期にこれを排除する。その際、米国は、日本に対して適切に協力する。このような日米協力の在り方は、武力攻撃の規模、態様、事態の推移その他の要素により異なるが、これには、整合のとれた共同の作戦の実施及びそのための準備事態の拡大を抑制するための措置警戒監視並びに情報交換についての協力が含まれ得る。

(ロ)


自衛隊及び米軍が作戦を共同して実施する場合には、双方は、整合性を確保しつつ、適時かつ適切な形で、各々の防衛力を運用する。その際、双方は、各々の陸・海・空部隊の効果的な統合運用を行う。自衛隊は、主として日本の領域及びその周辺海空域において防勢作戦を行い、米軍は、自衛隊の行う作戦を支援する。米軍は、また、自衛隊の能力を補完するための作戦を実施する。


(ㇹ) 後方支援活動
 自衛隊及び米軍は、日米間の適切な取決めに従い、効率的かつ適切に後方支援活動を実施する。
 日米両国政府は、後方支援の効率性を向上させ、かつ、各々の能力不足を軽減するよう、中央政府及び地方公共団体が有する権限及び能力並びに民間が有する能力を適切に活用しつつ、相互支援活動を実施する。その際、特に次の事項に配慮する。
(以下、略)

≪関連サイトの案内≫

* 47NEWSの記事 

* 日米防衛協力のための指針

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/kyoryoku.html#1


(2014年5月30日)