2015年6月22日月曜日

衆院平和委員会が、学者らを参考人招致 意見を聴いて、どうするのか


笑止である。
今日、衆院平和安全法制特別委員会が、「憲法の番人」でない、と言ったはずの学者らを、参考人として招致。意見を聴いた。

意見を聴いて、どうするのか。 
これまでの、学者を「否定するかのごとき発言」は、どこへいったのか。

おかしな雲行きになってきた。
今度は、国会に来てもらって、意見を聴かせてもらうことになった。

これまでの「鼻息」は、どこに行ったのか。一体、何が起きたのか。
そのことについて、検討してみたい。


1) 西修名誉教授が、安保関連法案は、明白に憲法の許容範囲

西修(にし・おさむ)駒沢大名誉教授(憲法学)が、19日、日本記者クラブで
「憲法と安保法制」を、テーマに講演した。
これが今日の、国会の委員会での参考人招致への道を開いた、といえるだろう。
産経によると、発言の要旨は、以下の通りである。

 9条で自衛権の行使は認められている。集団的自衛権は個別的自衛権とともに主権国家の持つ固有の権利だ。安保関連法案は限定的な集団的自衛権の行使容認であり、明白に憲法の許容範囲だ。
 集団的自衛権の行使を認めないということは主権国家ではないということなのか。憲法上、許される必要最小限度の行使は有り得るのではないかという根本的な疑問に十分答えないまま何十年も過ごしてきたのが現状だ。
 国民の負託を受けている国会は自衛権行使の範囲、態様、歯止め(制約)、承認のありようなどについて審議を尽くすべきだ。
 厳しい国際情勢を冷静に分析することが肝要だ。安保関連法案は『戦争法案』だというレッテル貼りはやめよう。内容は『戦争抑止法案』だ。
西修・駒沢大名誉教授「安保関連法案、明白に憲法の許容範囲」=産経ニュース
西修氏が言いたいことは、安保関連法案を「戦争法案」だというレッテル貼りはやめよう。それは、「戦争抑止法案」だ、ということであろう。

氏は、集団的自衛権は、個別的自衛権とともに、主権国家の持つ固有の権利だという。
だが、何故か、それを行使するかしないかは、それぞれに国家が決めることである、という事については、言及しない。

日本国憲法は、限定的な集団的自衛権の行使を容認しており、明白に憲法の許容範囲だ、と述べる。
憲法のどこを、どう読めばこのような見解が引き出せるのか、到底理解できない。

では、何故、「日米安全保障条約」があり、日本に多くの米軍基地があるのか。
現在の主権国家の中で、このように、多くの他国の軍隊の駐留を許す国家があるか。

もっとも、西修氏は、2007年4月から、政府機関の一員であった。
日本の集団的自衛権保持の可能性を考える、総理大臣の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の、有識者委員であった。

いわば、今、審議中の安保法制案の原案の作成に関わった人物である。
その人物が、この法案を否定できるわけがない。

このことも、また、付け加えておくべきことであろう。


 2) 衆議院憲法審査会は、当面開かぬ、と自民党の船田氏がのべた

旗色が悪いと思ったのか、自民党の船田元(はじめ)氏が、衆議院憲法審査会を、当分開かない、と述べた。
自民党憲法改正推進本部の船田元本部長は18日のBS日テレ番組で、衆院憲法審査会について「しばらく休む予定だ」と述べ、当面開かない考えを明らかにした。船田氏は審査会の与党筆頭幹事。安倍政権が今国会成立を目指す安全保障関連法案の審議への影響を避ける意図がある。
 憲法審、当面開かぬ=自民・船田氏=時事ドットコム

自民党内からも、先の憲法調査会での、「人選のミス」を指摘されている。

とくに、山東昭子氏は、「辛らつ」だ。
大きなミスだ。誰も責任を取らず、曖昧に何となくお茶を濁す問題ではない、とまで述べている。

野党が、今のように勢いづいてきた「キッカケ」は、もちろん、憲法調査会での「違憲発言」だ。

この発言が、自民党の稲田氏の、「憲法解釈の最高権威は最高裁。憲法学者でも内閣法制局でもない」と、いう発言を生んだ。

その発言が、今度は、多くの学者を奮起させることになっている。
学者らは、安全保障関連法案に反対する、声明を出した。
この声明に賛同する学者の数は、今、3千人を超えた。

このことを伝えた記事は、「学者の見解を軽視するかのような政治家の発言が出たこともあって、さらにボルテージが上がっている。」と、書いている。

結果としては、「やぶへび」に、なってしまった。
さぞ、船田氏は、「ほぞ」をかんでいることであろう。

その結果、出てきた発言だろう。


3) 安保法制案の審議に、学者らを呼ぶ

稲田氏は、発言を打ち消すのであろうか。

あるいは、高村副総裁は、「最高裁の判決の法理に従って、何が国の存立をまっとうするために必要な措置かどうか、ということについては、たいていの憲法学者より私の方が考えてきたという自信はある」という発言は、どこにいったのであろう。

一転して、政治家(衆院平和安全法制特別委員会)が、「学者の意見」を聴くことにした、ようだ。
よばれたのは、5人。

与党は、西氏と元防衛相の森本敏氏を。

野党は、民主、維新、共産の3党で、慶応大名誉教授の小林節、元内閣法制局長官で弁護士の阪田雅裕、法政大大学院教授の宮崎礼壹の3氏を推薦した。

衆院平和安全法制特別委員会は22日午前、安全保障関連法案をめぐり参考人質疑を実施し、元内閣法制局長官の宮崎礼壹、阪田雅裕両氏は集団的自衛権の行使を可能とする法案を批判した。宮崎氏「行使容認は限定的なものも含めて憲法9条に違反しており法案を速やかに撤回すべきだ」と明言。阪田氏中東・ホルムズ海峡での機雷掃海はこれまでの政府見解を逸脱していると指摘した。両氏が国会で公式に発言したのは初めて。今後の法案審議に影響しそうだ
元法制局2長官が安保法案批判 国会で初言及、審議影響も=47ニュー
自民党の高村副総裁は、「学者の言う通りにしたら日本の平和が保たれたか極めて疑わしい」と、いう発言も、取り消すのであろうか。


ここにきて、国会での安保法制案の審議にまで、学者が、参考人として呼ばれた。
それは、(1)で検討した、西修氏らが、「憲法違反ではない」と、公に発言しだしたことと、関係することであろう。

事実、参考人の意見陳述の後の質疑においては、西氏や、森本氏への質問が集中した。

与党としては、「してやったり」ということになるのであろうか。
しかし、これはどう見ても、安倍首相や、与党の「悪あがき」にしか見えない。

安倍首相は、国政をになう訳でもない橋下に頼り、与党は、一度「否定した」学者を頼りだした。
これは、いかに自分たちに、「自信がない」かという事の証明だ。

今の自民党を見ていると、「マッチポンプ」という言葉が、ふさわしい。
火をつけてまわっては、あわてて消しとめる。見苦しいこと、この上ない。

この姿を見て、本当に国民が、安心して、国政を任せることができると思っている、のであろうか。
多くの国民に信頼されている、と「自負している」としたら、大きな考え違いをしている。


(関連サイト案内)
船田氏は「責任取れ」=自民・山東氏=時事ドットコム
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(2015年6月22日)


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