2015年6月24日水曜日

「自民党は、自民党が第一、米国が第2。国民は、第3、第4ではないか」

最近の安倍政権や与党のやり方は、「軌道」を逸している。
今の自民党にとっては、自民党が第一番目に大切。米国が第2目。国民は、第3番目、第4番目と、考えている。私には、そう思える。
安倍首相は、国会の会期を、95日間、延長した。一方、秋に予定されている自民党の総裁選は、
早くも、無投票の可能性が、強まっている。

このことについて、村上氏の考えを聴く。
3本の記事を取り上げて、ここ最近の自民党の「劣化」について、検討してみたい。


1) 国会を過去最長9月27日まで伸ばした、これは、民意を無視している証拠

衆院が、22日の夜の本会議で、今国会会期を9月27日までとすることを決めた。
95日間の延長幅である。
東京新聞の記事から。
「衆院は二十二日夜の本会議で、二十四日までの今国会会期を九月二十七日まで九十五日間延長することを自民、公明両党などの賛成多数で議決した。通常国会の延長幅としては現行憲法下で最長。与党は、他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法案の会期内の成立を図る。野党側は延長に反発し、民主、社民、生活の三党は本会議を欠席。維新、共産両党は出席して反対した。」
国会 過去最長9月27日まで 「違憲」論押し切る構え

安倍晋三首相は、記者団に対し、「過去最長の延長で十分な審議時間を取って徹底的に議論し、決める時は決めるという議会制民主主義の王道を進んでいくべきだと判断した」と説明した。

「議会制民主主義の王道」を行くのだという言葉が、むなしく響く、と感じるのは、私ひとりであろうか。

21日の共同通信が載せた国勢調査の記事では、次のような結果が出ている。

国民の66.7%が、安保法制案を憲法違反である、と答えている。
また、この法案に反対する国民の声も、58.7%に上る。


安倍首相は、十分な審議時間を取って、徹底的に議論する、と述べているが、まず、自分が、率先して、その姿勢を見せるべきである。
「はぐらかし」や、およそ考えることが出来もしないような、「たとえ話」を持ち出したりせずに、堂々と、正面から、答弁に立つべきだ。

これまでの政府の答弁の姿勢を見る限り、会期をいくら延長したところで、国民が十分に納得に出来るような、説明を聞くことは出来ないであろう。

これは、野党のせいではなく、政府が、「都合の悪い質問」になると、逃げたり、あらかじめ「質問書」を、受け取っていないから、急に言われても、「答えられない」などといって、答弁しないせいだ。

これまでの政府の姿勢を改めない限り、反対する国民は、増えるばかりであろう。
その意味では、このたびの会期延長は、かえって、政府の「墓穴」を掘ることになるだろう。


2)自民党の総裁選は、無投票の可能性が強まった

9月に、実施予定の自民党総裁選は、安倍首相の無投票3選になる。
このような見方が強まっている、と読売が報じている。
「今国会の会期が9月27日まで大幅延長されたことで、9月に実施予定の自民党総裁選は安倍首相(自民党総裁)の無投票3選になるとの見方が強まっている。9月下旬の投開票が想定されていたが、「安保国会が大詰めを迎える中で総裁選の機運は高まらない」(首相周辺)という事情からだ。内閣改造・党役員人事も10月にずれ込む見通しで、小幅改造にとどまるとの見方も出ている。
 自民党の谷垣幹事長は22日、国会内で記者団に「手続き上は国会中に(総裁選を)することに支障があるわけではない」と述べ、開会中でも総裁選は実施できるとの考えを強調した。」
自民総裁選、無投票強まる…内閣も小幅改造か
安保法制案を、まず、夏休み中に、「成立」させる。
そして、無投票で、総裁に再選。
その後、内閣の改造で、論功行賞を行う。
これが、安倍首相が描いている「シナリオ」ではないか、と思う。

それにしても、「情けないこと、この上ない」、事態である。
前回の総裁選は、5人で争っている。

どうやら、谷垣氏や、石破氏を、政権内に取り込んだことで、対抗馬の封じ込めに、成功した、といえるようだ。
国民に向かっては、「大口をたたく」のに、党内においては、「だんまり」を決め込んでいる。

国家存亡の危機にあって、「敵前逃亡」するに等しい行為である。


3) 「自民党は、自民党が第一、米国が第2。国民は、第3、第4ではないか」

これは、週刊朝日の記事からの、転載記事である。
サイト元は、dot.asahi。

前半は、「高村、谷垣両氏とは議論にならない」という事に関する、内容になっている。
「面白い」のは、後半の記事だ。

「なぜ、こんなことがまかり通るのか。一つは、2013年12月の特定秘密保護法成立で、政府に都合の悪い情報は出てこなくなった。メディアは自分たちの問題なのだから、このときにもっと問題点を指摘すべきでした。
 さらに、14年4月の国家公務員法の改正で600人の官僚幹部人事が官邸に握られた。これで官僚たちは、政権に対して正論も本音も言えなくなった。いずれも私が問題だと指摘してきたことですが、それを見過ごしてきたから、外堀はすでに埋まっていたのです。
 自民党の議員も小選挙区制になってから誰も意見を言えなくなりつつある。小選挙区制度の導入で、候補者の公認権と資金を党幹部が一手に握ることになり、党執行部に反対意見を言いづらくなっているからです。ある中堅議員は、『集団的自衛権の行使は、憲法改正をしてから認めるのがスジだ』と言う。だが、誰も表では発言できない。そこに危機を感じています」
 自民現職唯一の反対派が吠える「高村、谷垣両氏とは議論にならない」
この中には、3つのキーワードがある。
特定秘密保護法成立、国家公務員法の改正、小選挙区制度の導入だ。

とくに「議論にならない」のは、特定秘密保護法の存在が大きいと思う。
むしろ、この法律を作った目的のひとつ(しかも、それは、大きな要因である。)のは、この安保法制に関係する多方面の政策を、「スムーズ」に運ぶためであった、と思っている。

だから、国会の議論が、深まらないのは、この法律が関係している。

小選挙区制度の導入で、自民党内で、自由に意見をいう事が出来なくなった。
反対意見があれば、党の方針に逆らってでも、意見を言う。
こういう事が出来ない状況にあるとすれば、大変だ。

もともと、国会議員は、国民の代表である。
自民党の支持者や、党員の代表ではない。

戦前に、横暴を極める軍部を批判して、「陸軍は、陸軍が第一。国家、国民は、第2、第3ではないか」と、批判した政治家がいた。

今の自民党を見ていると、まさにこの言葉が、ぴったりである。
自民党が、今の姿勢を改めないとすれば、もはやこの党は、国民政党とは、いえない。

自民党は、大きく、変質した。しかも、それは、いちじるしい「劣化」である。
今や、自民党こそが、国民にとっての、「抵抗勢力」である。

「反国民的」政党である。
そう思える。

今の自民党にとっては、自民党が第一番目に大事。米国が第2。国民は、第3、第4ではないか。


(関連サイト案内)
・ 安保法案は憲法違反56% 共同通信世論調査=中日新聞
自民・二階氏「総裁選、淡々と様子をみとればいい」=朝日
安倍首相 10月に内閣改造へ 党総裁選の再選前提=スポニチ
国会周辺で安保関連法案に反対する大規模なデモ=テレ朝

 記事を一部、加筆訂正しました。2015/6/25

(2015年6月24日)



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