2015年6月16日火曜日

維新の党、安倍政権にすり寄るか 「橋下商店」からの独立がカギ

維新の党が、真に自立するには、「橋下商店」から独立することが、カギになる。
安保法案をめぐる野党共闘にひずみが出ている。

6月12日の、安保法制審議における、維新の党の動き、安倍・橋下会談などが、原因だ。


1) 対案では、集団的自衛権の限定的な行使について、容認する方向

維新の党が、安保関連法案に関して、近く対案まとめる考えをしめした。
「日テレNEWS24」が、報じた。

★維新の党の松野代表は16日、現在審議されている政府の安全保障関連法案への党独自の対案を近くまとめる考えを示した。ただ、対案を基に与党と修正協議を行うことには否定的な考えを示した。
  松野代表「まず我々の考えをしっかり出す、現段階での修正協議というのは全く考えていない。それが私たちは野党ですから」
 維新の党は、安保関連法案について、党所属の全ての国会議員に参加を呼びかけて、今月20日に大阪で橋下最高顧問も加わって議論を行う方針。柿沢幹事長はその上で、党独自の対案を今国会の会期末である今月24日をメドにまとめる考えを示した。
 安保関連法案 維新、近く対案まとめる考え

記事は、続けて次のように述べる。
対案では、政府案に盛り込まれている集団的自衛権の限定的な行使について、事実上、容認する方向だ。

一方、政府が想定している、中東・ホルムズ海峡での、停戦前の機雷掃海作業などについての、(経済的危機を理由とした)集団的自衛権の行使については、認めないとすることを、盛り込む方針を決めている、と伝えている。


どうやら、維新の会は、安倍内閣に同調する構えのようである。
なぜ、ここにきて、こういう動きが加速化してきたか、という事のついては、このこのブログでも書いた。

このような維新の党の動きを、もちろん、安倍政権は、歓迎している。
さっそく、菅長官が、コメントをだした。

次に、それについて、検討する。 



2) 安倍政権にとって、「都合のいい」対案は歓迎する、というに過ぎない

菅官房長官は、維新の党の動きに関連して、修正案出てくれば対応したい、とのべた。
西日本新聞が、伝えた。

★菅義偉官房長官は16日の記者会見で、安全保障関連法案をめぐり、政府、自民党が維新の党と修正協議の検討に入ったことに関し「国会審議の中でより良い考え方が出てくれば、野党の修正案に対応するのは政府の基本姿勢だ」と述べた。
 菅氏「修正案出てくれば対応」 安保関連法案めぐり
「野党の修正案に対応」するのではなく、安倍政権にとって、「都合のいい」対案は、歓迎する、というにすぎない。
そもそも、この法案に、対案は必要ない。
反対か、賛成か、である。それにつきる。



また、衆院憲法審査会の地方公聴会において、意見陳述した6人のうち5人が、違憲の立場から見解を示したことについては、あいもかわらぬ「ごたく」を繰り返した。
「従前の憲法解釈との論理的整合性は保たれており、憲法解釈の恣意的な変更ではない」と述べた。

「違法性がない」といいたいのだろうが、それは、すでに否定されたことだ。
まだ、こんな「おためごかしの論」に、こだわり続けているのは、「こっけい」である。


3) 橋下氏の、「政界を引退する」という宣言は、どうなったのか

維新の党の最高顧問である、橋下徹氏が、「ツイッター」上において、「民主党との連携」を否定した。
これも、「日テレNEWS24」が報じている。

★14日夜の会談の影響なのか、橋下氏はツイッター上で野党共闘を明確に否定し、安倍政権に協力していく可能性をにじませた。橋下氏はいまだに強い影響力を持つだけに、維新の党が安全保障関連法案の審議に手を貸す可能性も出ている。
  橋下氏は自身のツイッターに「維新の党は民主党とは一線を画すべき。自民党と国の在り方について激しく論戦できる政党を目指すべき。維新はイデオロギーにとらわれず、既得権に左右されず、現実的合理性を重視する。民主党とは決定的に違う」などと書き込んだ。
 また、「民主党という政党は日本の国にとってよくない。なぜなら政党の方向性が全く見えない」とも書き込んでおり、民主党を厳しく批判し民主党との連携を強く否定した。
 維新の党・橋下氏 民主との連携を否定

橋下氏は「ツイッター上で野党共闘を明確に否定し、安倍政権に協力していく可能性をにじませた」というが、橋下氏は、政界を引退する、と宣言したのではなかったか。

そのような人物が、「 維新はイデオロギーにとらわれず、既得権に左右されず、現実的合理性を重視する」などと書く事自体、「おこがましい」。

橋下氏は、維新の党は、「橋下商店ではない」といっているようだが、この書き込みは、本当はそのようには思っていない。

いまだに、橋下氏の「個人商店である」、という意識から抜け出てはいない。
それを証明する書き込みだ。



もっとも、さすがに、維新の党内でも、この動きに反発する議員がいるようだ。 
「民主党との共闘を重視すべきとの意見もある」と、記事は付け加えている。

維新の党が、「橋下商店」から独立して、「株式会社」になるには、まず、橋下氏を最高顧問から外すことが必要だろう。
そうでないと、いつまでたっても、「自立できない大人」と、同じ状態が続くことになる。

4) 「維新の党よ、汝の日は、数えられたり」

多くの国民、学者、文化人などのよる、安倍政権包囲網が、出来つつある。
安保法制案を廃案に追い込む「大きなうねり」が、出来つつある。
3000人にのぼる学者が、結集した、というニュースも流れている。

このような中にあって、維新の党が、「橋下商店」にいつまでも頼り、いつまでも「引きずり回され」ているなら、維新の党に未来はない、であろう。

「維新の党よ、汝の日は、数えられたり」



(2015年6月16日)