2015年6月9日火曜日

前立腺がんの死亡リスク2.5倍に 日本食による食生活を取り戻すとき

我々が、真剣に欧米型の食生活を見直すべき時がきている。
日本食に見られるような、野菜、豆類、魚などの食事をとると、前立腺がんにかかっても、死亡する確率が、低くなることが、あきらかにされた。

ところで、今日の日本人が、欧米型の食生活をするようになった原因は、どこにあるのだろうか。このことについて考えてみたい。



 CNNの記事より

米国において、改めて、日本食の良さが証明された、ようだ。
米国の、ハーバード大学の研究チームが、発表した。

前立腺がんと診断された男性が赤身肉や加工食品を中心とする欧米型の食生活を続けると、死亡するリスクは2.5倍に高まるという研究結果を米ハーバード大学の研究チームが発表した。
研究チームは非転移性の前立腺がんと診断された男性926人を対象に、5年間にわたって食事の内容を継続調査した。前立腺がんは一般的に進行が遅く、がんの中でも生存率が高い傾向にある。
欧米型の食生活、前立腺がんの死亡リスク2.5倍に 米研究  


また、10年間の追跡調査を行った結果では、欧米型の食生活が中心だった男性は、前立腺がんで死亡する確率が2.5倍にふえる。
全体的な死亡リスクも、67%高くなることが、判明した。

さらには、堅実型の食生活をしていた男性は、死亡リスクが36%低下する、という結果が出た、と記事は書いている。

冒頭にも書いたが、このことは、日本人の典型的な伝統食にみられるような食事をとることこそ、健康に良いことが、実証的に明らかにされた、といえるだろう。

ところで、その我々は、今日において、このような食事のとり方をしているであろうか。
和食といわれる食事を、普段に食べているであろうか。
現実には、欧米型の食事が、一般的なのではないだろうか。
このことについて、考えてみたい。


◆ 「パン食」が、学校給食が、欧米型の食事が「健康に良い」、と教えた

我々日本人は、戦後の荒廃のなかにおいて、やむなく、米国からの食糧援助を受けた。
とくに、小麦を多く輸入した。
その結果、パン食がふえた。

パンに、味噌汁はあわない。
シンプルな焼き魚も、あわない。
もちろん、漬物などは、論外だ。

そうなると、パンに合う食事をとるようになり、全体的に食事が、欧米化した。
肉や、肉を加工したハム・ソーセージを多く食べるようになった。

家庭の主婦が、外に働きに出ることが多くなるとともに、手軽な加工食品を利用することが、ふえた。
このことで、「家庭の味」は、失われた。

育ちざかりの子供らの学校給食も、パン食が中心であった。
パンと牛乳、それにいくらかの副菜がついた。
コメが豊作で余るようになっても、「ごはん」給食は、例外的にしか、おこなわれなかった。

子供らは、家庭の食事より、学校給食によって、欧米的な食事や、味覚をおぼえた。

学校給食は、子供らの頭に、欧米型の食事が、人間に取っては最適な食事である、という事をすり込むことに成功した。
そして、それは、次の世代にも、受け継がれることになった。

日本の伝統食は軽視され、「おふくろの味」が、忘れ去られた。


◆ 戦後に起こった一大変化は、テレビの「ホームドラマ」がおしすすめた

人間の生活において、衣・食・住は、基本である。

日本人の「衣」、つまり、服装は、着物から洋服になった。
「住」宅は、土と稲わらと木材でできた開放的な住居から、コンクリートや鉄板におおわれた密閉された住居にかわった。

その中で、一番大きく変化したのが「食」である。
地産・地消を基本とした伝統食から、欧米型の食事―いわゆる「洋食」と言われる食事―を、普段にとるようになった。

それは、原料の産地のはっきりしない、大量生産によって作られた加工食品を中心とした、食事でもあった。

また、食事のとり方も、「ちゃぶ台」と座布団での食事から、テーブルと椅子の食事へとかわった。
これらのことは、戦後に起こった一大変化である。

これらの変化を、加速化させ、全国的にしたものが、テレビであった。
とくに、「ホームドラマ」と呼ばれる、テレビ番組の影響が大きかった。

そして、それらの「ホームドラマ」は、東京で制作され、東京から全国に流された。
「東京での生活」のスタイルこそが、模範とされた。

それは、同時に、「欧米型の生活」のスタイルの模倣でもあった。
ドレスや、スーツを着飾って、一流のホテルで、ナイフとフォークを使って、「フランス料理」のフルコースをとる。
これが、豊かな食事の典型とされた。


◆ 地方の若者が都会に出て働く、これが地方を荒廃させた

テレビが、「東京での生活」のスタイルこそが、「理想の生活」であると宣伝したことは、日本の若者に大きな影響をあたえた。

このことで、地方の若者が、産まれた土地に住まず、都会に出て働く、という事が一般的になった。(もちろん、ほかにも理由はあるが)
それが、やがて日本の地方における「空気」となった。

地方の若者は、中学や高校を卒業すると、都会で働くか、都会の大学にいくようになった。

このことは、同時に、日本の地方における社会の衰退をまねく結果になった。
農村は後継ぎが減り、森林も人の手が入らなくなり、荒廃した。

それは、結果として、漁業の衰退を招いた。
山が、荒廃することで、栄養豊富な樹木が減り、川の水が、栄養素を含まない「ただの水」になってしまったからである。

そのことで、豊かであった、漁場がへった。
毎日が死と隣り合わせ、という過酷な環境であることも影響して、漁業のなり手も減った。

その結果が、今日の状態である。
地方には、若者が住み着かなくなり、高齢化がすすんでいる。

それと並行して、過疎化が進行している。
限界集落が増えつつある。


◆ 東京一極集中化こそが、今日の状況をつくりだした原因である

だからこれらのことは、いわゆる「少子化」と言われている現象とは、基本的には関係がない。
それは、経済の効率化をもとめ、文化の創造までも、東京一極集中化を図ることで実現しようとした、政治の問題である。
もっと言うなら、歴代の自民党政権が残した、日本の国民への「ツケ」である。


日本創生会議という民間団体が、とんでもない提言をしている。
元来、このような事態になったのは、東京一極集中化をおし進めてきたことに原因がある。

それを再び、地方にかぶせようとする。
とんでもない提言だ、と思う。

 食事の問題から、最後は、日本創生会議という民間団体にまで、話が飛び、まとまりのないものなった。
だが、この問題意識は、的外れであるとは思わない。
これからの課題とし、それぞれについて、より詳しい内容の記事を送ることができるようにしたい、と考えている。

(関連サイト案内)
★ 高齢者の地方移住は実現性が高い政策か=日本経済新聞 
★ 地方の介護人材流出に懸念=石破担当相=時事ドットコム
★ 知事「地方の負担増える」 高齢者移住へ懸念=さきがけ on the web

(2015/6/10 一部、訂正、加筆しました。)

(2015年6月9日)